舞茸のお粥サクッと作るインスタ映え“料理男子” —— 女性が料理しなくても「気にしない」

インスタグラムに続々とあがる、完璧な料理たち。「インスタ映え」を狙った、キラキラ女子のアカウントとお思いだろうか。

食卓を囲む料理

手の込んでいそうなオシャレな料理を写真にとってインスタグラムにアップする料理男子が出現している。

提供:取材協力者

実はこちらの投稿者は、大手広告代理店に勤める社会人3年目の男性。

野菜たっぷり、栄養バランスばっちりの夜ごはんをサクッと作っている。そして、後ろにおしゃれな雑誌が写り込む完璧な構図と光の入り方。なんでもない日常のごはんが、こんなに眩しく切り取られるなんて……と、思わず惚れ惚れしてしまう。

「舞茸のお粥」なんて凝った料理、私には一生思いつくことも、作ることもないだろう。

そして、こちらは外資系コンサル企業出身の男性。結婚後は、2人分の料理があがる。

豪華な料理

料理男子はランチョンマットとコースターでオシャレ度を増す演出も欠かさない。

提供:取材協力者

まるでkurashiru(レシピ動画サイト)のCMにも出演中の女優、木村文乃のインスタのようである。木村文乃といえば、お魚やお野菜を中心にした、素朴な日常ご飯を頻繁に投稿し、人気を集めている。魚や野菜を中心にした、凝りすぎない等身大の日常ご飯を頻繁に投稿し、人気を集めている女優さんのインスタグラムに、勝るとも劣らないレベルだ。

こんな素敵なお家ごはんをサクッと作り、フォトジェニックな写真をインスタグラムにあげる料理男子が、筆者(1994年生まれ)の周囲に出現しはじめている。

「お茶の入れ方、分からない」

ここで、これまでの日本の男性と料理の関係性を振り返ってみたい。

内閣府の資料によると、日本の男性が子育てや家事に費やす時間は、先進国中最低の水準にとどまっている。

特に、今の50代の男性は、料理をしなくて当たり前。ノーリツが行った調査でも50代以上の男性の約9割が、家事割合は半分以下と回答した。彼らは自分が独り身になった場合、料理への不安が強いと答えている。なんとも心もとない調査結果だ。

50代後半になる私の父も、その一人だった。私が幼稚園児だったころ、熱を出した姉を病院に連れて行くため、母は少し早く家を出た。

無邪気にも、お茶漬けを食べたいと父に頼んだところ「ごめん、お茶の入れ方がわからない」と申し訳なさそうに呟いたのだ。仕方なしに、ご飯にお湯をかけて“お湯茶漬け”を食べた日のことは、今では笑い話になっている.

そんな父も最近では、一人でこだわり麻婆豆腐を作り、娘にお裾分けまでしてくれる。本当に時代は変わりつつあると感じる。

そこは統計にも表れ始めている。日本では、共働き比率が上昇を続け、いまでは全世帯の6割を超えている。

国立社会保障・人口問題研究所の全国家庭動向調査によると、夫の家事分担比率は14.9%。1998年に比べ、3.6%増加している。

ABCクッキングスタジオのホームページにも、「集まれ!料理男子。」の特設ページが登場。「奥さまとの家事シェアを考えている方」もターゲットに、1万人以上の男性会員がいることを発信している。

女性だけが家事をする時代ではなくなってきたのだ。50〜60代の父親世代も変わる、そして、私たちミレニアル世代の男性は、さらに変わってきている。

インスタに現れる料理男子たちは、この時代の変化を加速させる存在になり得るだろうか。

女子だと「狙ってる」感

大手IT企業勤務のムツミさん(23・仮名)は「男性がサクッと料理をしているのは、生活もしっかりしてるんだなと感じてポイントが高い」と話す。

料理している男性

女性にとっても料理男子は高評価(写真はイメージです)。

Shutterstock/ Kzenon

本気で働く女子には、これまでの性別役割分業に捉われないライフスタイルが、“イケてる”男性として魅力的に映るようだ。

一方で、女性が「『ちょっと思い立って、作っちゃいました〜〜〜!』とお菓子の写真をあげているのをみると『狙ってるな』と思う」(ムツミさん)

女子の料理インスタは敬遠され、男子の料理インスタの方が、受け入れられる時代なのかもしれない。

とはいえ、同じレベルの料理を付き合う相手にも求められると思うと、女性にとってはプレッシャーになる。

実際のところはどうなのだろう。

「できなくても、気にしない」

1番目のインスタグラムの投稿主は有名私立大学を卒業後、大手広告代理店に就職。誰もが羨むハイスペックなのに、今回の取材も二つ返事で快諾してくれるオープンさを兼ね備えている。

やっぱりパートナーにも同じレベルを求めるのだろうか。実際に話を聞いてみた。

「いや、全く思わない……。料理は好きだし、気分転換だと思っているので。できる分には越した事はないけど、できなくても、気にしないです」

インスタグラムの投稿には、女性たちから「お皿が綺麗!」「おしゃれ」「料理上手くなったね」などの反響が寄せられるそう。

今の20代にとって、女性の方がより料理できて当たり前という、男女の役割分担の意識も少しずつ薄れつつある。料理男子のインスタグラムがポジティブに受け止められる時代だ。

変化の加速には、「イケてる」って大事だ。筋トレしていることをアピールするように、麻布十番かどこかのバーで飲んでいるのをアピールするように、料理している男子こそが、かっこいい時代になればいい。

彼らの存在が、他国と比べても極めて低い、日本の男性の家事参加率をアップさせる後押しに、少しでもなればと思う。

(文・ 新居日南恵 )


新居日南恵(manma代表): 株式会社manma代表取締役。1994年生まれ。 2014年に「manma」を設立。「家族をひろげ、一人一人を幸せに。」をコンセプトに、家族を取り巻くより良い環境づくりに取り組む。内閣府「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」、文部科学省「Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」有識者委員 / 慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科在籍。

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