AP/Carolyn Kaster
- アメリカのトランプ大統領はここ数日、アマゾンに対する批判を繰り返している。
- 大統領は、アマゾンがアメリカの郵便公社を利用する一方で、他の小売業者よりも納めている税金が少ないと主張しているが、それを裏付ける具体的な証拠は示していない。
- しかし、2016年の大統領選への立候補に向け、トランプ陣営もアマゾンで買い物をしている。
- これは、いかにアマゾンを避けて通ることができないかを示す好例だ。
トランプ大統領は明らかに「アマゾン好き」ではない。
ウェブメディアAxiosがトランプ大統領はアマゾンに「執着している」と報じて以来、大統領はここ5日間で3度、アマゾンについてツイートしている。
その主な主張は、アマゾンがアメリカの郵便公社を利用し、他の小売業者と公平な競争条件で戦っていないというものだ。だが、それを裏付ける具体的な証拠は示していない。
こうした大統領の主張は批判にさらされている。大量のデータを示し、預けた荷物の量に応じた大量割引を適用しても、アマゾンはむしろ郵便公社の維持に貢献しているという。
そして、トランプ大統領自身も、選挙キャンペーン中にはアマゾンを利用してきた。CBS Newsが引用したFEC(連邦選挙委員会)の記録によると、トランプ陣営は2015年と2016年に、大統領選への立候補に向けてアマゾンで15万8498.41ドル(約1680万円)を使い、それを「事務用品」として計上している。
注文件数は379件で、1件あたりの金額は平均418.20ドル(約4万4000円)。一番大きな買い物は3890ドル(約41万2000円)で、付箋紙ばかり注文していたわけではなさそうだ。
それだけではない。FECの記録によると、選挙戦とは切り離された組織「Donald J. Trump for President committee」もまたアマゾンで2000ドル(約21万2000円)を使っている。これは選挙戦の後、2017年のことだ。
トランプ大統領は、アマゾンに対する自身の懸念は「選挙のずっと前から」口にしてきたものだと強調している。だとすれば、現実的な代替手段さえあれば、陣営がアマゾンで買い物をすることはなかったのかもしれない。だが、そんな選択肢はない。慌しく時間に追われる陣営にとって、送料無料、2日後の配送、豊富な品揃えを誇るアマゾンは、頼りになるオプションだったのだろう。
アメリカのオンライン小売業界におけるアマゾンの規模とシェアは飛び抜けて大きい。それは顧客にとって重要かつ手放せないサービスを提供することで獲得してきた地位であり、だからこそ他社は容易に競合できないのだ。
(翻訳、編集:山口佳美)