東京メトロ構内で30分朝活スタート、通勤途中にプチ学びは広まるか?

東京メトロのホーム

朝の通勤ラッシュが「学びの場」に変わるかもしれない。

朝の通勤途中に、地下鉄構内でサクッと30分だけ、仕事に役立つプチ学びをしませんか?

東京メトロは、地下鉄駅構内の空きスペースを使って、通勤客向けに「気軽な学び」の新事業を4月18日から始める。スキルを売りたい人と買いたい人をつなぐスキルシェアサービスの、ストリートアカデミー(ストアカ)とのコラボ事業だ。東京メトロ永田町駅構内の駅チカ商業施設を皮切りに、東京メトロ沿線の首都圏から近郊エリアで、順次拡大する予定という。

国土交通省の調べで、混雑率ワースト1の東西線を擁するなど、ラッシュの過酷さで知られる東京メトロだが、朝の通勤のイメージを少しでも前向きに変えたいとの思いがあるという。生涯、学びながら働き続ける人生100年時代の到来で、「おとなの学び」が注目されている。新年度、通勤途中のプチ学びは広まるか、注目だ。

出勤前に顔の印象講座

東京メトロとストアカが共同で始めるのは、「30分でまなべる!ビジネスパーソンのためのメトロde朝活」と名付けた、気軽なプチ講座だ。朝の7時半から8時までの30分間、すぐに仕事で使えるような、以下のテーマをまずは用意している。ストアカが、自社プラットフォーム上で人気の講師を派遣する。

  • 「人前での上手な話し方」(4月18日)
  • 「評価が上がる顔の印象マネジメント」(4月25日)
  • 「ストレスと疲れが消えるマインドフルネス」(5月10日)
  • 「職場のコミュニケーション」(5月17日)

4〜5月は実証実験的に開始。その後も、東京23区や千葉県など郊外の駅構内でも展開、通勤途中の朝活を広めていくという。全講座は2000円、定員20人、朝食・コーヒー付で、激しい混雑で知られる首都圏の通勤ラッシュのひと時に、新たなイメージを加えたい考えだ。

地下鉄内の風景

社会人の「学び直し」が注目されている。

朝の混雑率は東西線で199%

国土交通省の鉄道混雑率調べ (2017年)によると、千葉県の西船橋市から東京都中野区までをつなぐ東京メトロ東西線の「木場→門前仲町」間は、混雑率が199%とワースト1位。この状態ではスマホを見るのも困難だ。また、東京メトロによると、東京都の会社通勤者817万人の平均通勤時間は全国最長の往復1時間42分という。混雑と長い通勤で朝からストレス値が高まりがちな実態がある。

一方、リクルートワークス研究所の調査によると、社会人で「学び行動をしている人」は2017年で7割に達した。「学ぶ」の定義が少し違うが2000年の「最近1カ月に、自分の意志で仕事に関わる新しい知識やスキルを身につけたり、資格を取るための取り組みをした」の2割未満に比べると、社会人の学びへの関心の高まりを感じさせる。

教えたい人と学びたい人をインターネット上でマッチングする、シェアリングエコノミーのストアカは、2012年のサービス立ち上げ以来14万人以上が利用し、「おとなの学び直し」の広まりを感じているという。

受講者が多いのは「Excel講座などビジネススキルを上げるものに加え、最近では写真の撮られ方など自分磨き系も人気を集めている」(ストアカ広報)という。

とはいえ、残業が日常化している職場がまだまだ多い日本では、往復2時間近い通勤をしながら終業後に「さあ、勉強しよう」というのは、ハードルが高そうだ。

早朝の仕事前のフレッシュな時間帯に、通勤がてら学ぶことが習慣化すれば、日本の大人の学びも朝の通勤風景も、変わり始める期待がある。

東京メトロの広報担当者は「利用客のみなさんに、気軽に通勤時間をより有意義にしていただくことで、生活に新たな価値を提供できれば」と話している。

(文・滝川麻衣子、写真・今村拓馬)

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