驚きの「中国ユニコーン企業」は164社、62社が“新顔”—— 政府2017年報告を読み解く

シャオミ

カリスマ創業者、雷軍CEOが率いるシャオミは、不振からの復活を遂げた。

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中国科学技術部が3月下旬にまとめた「2017年中国ユニコーン企業発展報告」によると、中国の2017年時点のユニコーン企業(企業価値10億ドル、日本円で1060億円以上の非上場企業)は前年の131社から33社増加し164社だった。

中国科技部は、設立10年以内の企業をユニコーン企業と定義している。2017年に上場や合併、あるいは設立10年を超えたため、ユニコーン企業でなくなった企業が20社、また企業価値の低下によりユニコーン企業でなくなった企業も9社あったため、164社中4割近い62社が“新顔”だった。

“中国ユニコーン”企業数は前年から約25%増加

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ユニコーン企業164社の企業価値総額は6292億ドル(約67兆円)。前年の4867億ドルから29%増加した。

事業内容を見ると、Eコマースが33社で最も多く、フィンテックが21社で2位。その他ヘルスケア、エンターテイメント、物流、交通分野が目立った。

164社は19都市に分布し、そのうち70社が北京に集中している。このほか上海が36社、アリババが本社を置く杭州が17社、テンセントやファーウェイがある深センが14社で、ユニコーン企業の8割超が4都市に位置している。

100億ドル超「スーパーユニコーン」は半分が北京に立地

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企業価値が100億ドル(約1兆600億円)を超える“スーパーユニコーン”は10社。うち5社が北京に本社を構える。北京は清華大学、北京大学など理系に強みを持つ大学が立地するほか、ベンチャーキャピタル、政府機関が集中しており、資金調達面で優位性がある。また、上位10社の企業価値は計3352億7500万ドルで、全体の過半を占めている。

企業価値トップは昨年に続き、アリババの金融子会社で、モバイル決済のアリペイ(支付宝)や信用スコアの芝麻信用を運営するアント・フィナンシャル。2位は配車サービスの滴滴出行で、3位はスマートフォンメーカーのシャオミ(小米科技)だった。

上位10社の事業内容は以下の通り。

1:アント・フィナンシャル

アリババグループの金融子会社。アリババがECサイトの顧客に提供していた決済システム「アリペイ」の事業を切り離し、2014年に設立された。以後、さまざまな金融事業を手掛け、アリババグループの投資でも重要な役割を果たしている。2017年のIPOを計画していたが、延期された。

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2:滴滴出行(ディディ・チューシン)

中国版ウーバーと呼ばれることもある配車アプリの巨人。タクシーを捕まえるのに苦労する中国で、予約の利便性と料金の透明性を大幅に高め、瞬く間に浸透した。テンセント系の「滴滴打車(ディーディーダーチャ)」とアリババ系の「快的打車(クァイディダーチャ)」が2015年に合併し、ほぼ独占的な地位を手にした。2016年には、ウーバーの中国事業も買収した。

滴滴出行のマスコット

滴滴出行のマスコット。

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3:シャオミ(小米科技)

「中国のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれる雷軍(レイ・ジュン)氏が2010年に設立したスマートフォンメーカー。創業者のカリスマ性と、インターネット直販モデルで2010年代前半に爆発的な人気を博したがその後失速。最近、店舗展開型にビジネスモデルをシフトするとともに、スマホ以外に商品ラインナップを広げて復活した。2018年中のIPOを目指している。

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インターネット販売モデルから店舗型モデルにシフトしたシャオミ。

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4:アリババクラウド

アリババのクラウドサービスを担い、中国ではシェアの半分を握る。アマゾンウェブサービス(AWS)を急追し、日本ではソフトバンクと組んで事業を展開している。

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5:美団点評(メイトゥアンディエンピン)

食べログのような口コミサービスや、グルーポンのような共同購入サービスなどを手掛けていた美団と大衆点評が2015年に合併。O2Oサービス業界首位になった。テンセントの出資を受けて、フードデリバリーではアリババが完全子会社化を決めたEle.me(飢了麼)としのぎを削る。3月に配車アプリ事業を正式に立ち上げ、滴滴がほぼ独占している市場に切り込んだのに続き、4月4日、シェア自転車ユニコーンのモバイク(摩拝単車)を買収したと発表した。

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美団の出前アプリの画面。


6:寧徳時代新能源科技(CATL)

福建省寧徳に本社を置く。新エネ自動車に燃料電池を供給しており、国内では出荷量首位。世界全体ではパナソニック、比亜迪(BYD)を追いかける。中国政府のエコカー普及政策の恩恵を受け、急成長した。2017年秋に日本法人設立。

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7:今日頭条(Toutiao)

AI(人工知能)を活用したニュース配信プラットフォーム。実際はニュースだけでなく、ブログや動画などが多く配信され、SNS機能もある。ユーザーの好みに最適化されたコンテンツがアルゴリズムで表示され、都市の規模別にプッシュ通知の時間を変えているとも言われる。低俗なコンテンツが多いと、中国国営メディアから名指しで批判を受けたこともある。IT系ユニコーンには珍しく、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の出資を受けていない。

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8:菜鳥網絡(Cainiao)

アリババのECサイトが急成長し、ネットセール時期に配送パンク問題が噴出していた2013年に設立された物流プラットフォーム。国内外の物流会社と協業し、ビッグデータを活用して、効率的な物流網構築を進めている。

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アリババのECサイトから発送される荷物を仕分けする作業員。

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9:陸金所(Lufax)

国内最大の保険グループ平安保険集団の傘下企業で平安保険が43%の株式を保有している。2011年に設立された当初は、お金を貸し借りしたい個人をつなぐP2Pプラットフォームだったが、最近は総合フィンテック企業として業務を拡大している。4月に香港でIPOを予定する。

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10:借貸宝(ジエダイバオ)

お金を貸し借りしたい個人をつなぐP2Pプラットフォーム大手。お金を借りたい女性が、担保として身分証明書の写真とともに裸の写真を提供し、返済できないときに写真がばらまかれたり販売される「裸ローン」問題の舞台にもなった。

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借貸宝の公式サイトより。


(文・浦上早苗)

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