Memo Akten/Vimeo
羨ましさすら感じる、幻想的な世界。
人間が学んだ知識や経験したことに基づいて世界を見るのと同じように、人工知能は訓練で得た知識に基づいて世界を見ます。ただ、子どもと違って、AIが学び知ることは人為的に制限できます。そうやって限られた情報のみを持ったAIは現実世界をどのように見て、解釈するのか…。こちらはそんな興味深い実験のデモンストレーション。
Memo AktenのVimeoチャンネルには、ディープラーニングと人工知能の限界を押し広げる実験動画がたくさんあります。その中でも最新ビデオ『gloomy sunday』は、AIの世界を見る能力がどのようにして操作されてしまうのかを見られるという点において面白い作品です。この動画では、ライブ配信中のウェブカムから得たイメージを、「あらかじめ見たもの」に基づいてAIが理解しようとする例をみっつ取り上げています。この動画のAIが「あらかじめ見たもの」とは「波」と「炎」そして「花」のみ。
Memo Akten/Vimeo
AIはその3つしか知らないわけですから、布地を揉む動作がそのまま波の動きとなり、ケーブルが岩礁に変換され、手の動きが炎の揺らめきや鮮やかな花として生成されます。その解釈は美しいと同時に不気味であり、花の絵画を用いて生成した花恐竜を彷彿とさせます。
Aketnさんいわく、「事前に訓練されたディープニューラルネットワークがあらかじめ見たものという観点から、見ているものを理解しようとしながらライブカメラからの情報を予測しようとする。まるで私たちのように、あらかじめ知っているものだけを見て取ることができるのです」とのことですが、「波」、「炎」そして「花」だけしか知らないと世界はこうも美しく見えるものなのか…。
同じ対象を見ていたとしても知識や前提が違うから、それぞれの目には異なって映る。そんな事実に改めてハッとさせられます。
Image: VimeoVideo: VimeoSource: Memo Akten via Prosthetic Knowledge
Andrew Liszewski - Gizmodo SPLOID[原文]
(訳:たもり)
ギズモード[日本版]より転載(2018年3月28日公開の記事)