育児休暇は「取るかどうか」ではなく「どれだけ取るか」 —— スウェーデンで増加する「ラテ・ダッド」とは?

赤ちゃんをあやす男性

Halfpoint/Shutterstock.com

  • スウェーデンの母親と父親それぞれの育児休暇をめぐる政策は、先進国の中でも非常に充実している。
  • カップルは育児休暇を別々に取ることが義務付けられているため、スウェーデンでは子どもと2人きりで過ごす"ラテ・ダッド"と呼ばれる父親の姿がしばしば見られる。
  • 多くの西側諸国とは違って、スウェーデンでは育児休暇を取ろうとしない父親は、周囲から冷ややかな目で見られている。

"有閑マダム"は忘れよう。スウェーデンには、"ラテ・ダッド"がいる。

スウェーデンに移住したアメリカ人の父親たちを取材したNBCニュースの特集記事で、記事を執筆したアレクサンダー・スミス(Alexander Smith)氏とウラジミール・バニッチ(Vladimir Banic)氏は、スウェーデンでは子どもが生まれた父親が育児休暇を取るのは非常に一般的で、育休を取らない父親は周囲から冷ややかな目で見られると書いている。

その結果、「ストックホルムでは今、"ラテ・ダッド(latte dads)" —— スリングで赤ちゃんを抱いていたり、小さな子どもを連れ歩く、ひげをたくわえた比較的若い男性 —— があふれている」という。

スウェーデンで"ラテ・ダッド"の生活を送っているのは、アメリカ人だけではない。スウェーデンのマルメ(Malmö)で子育て中のイギリス人ジャーナリスト、リチャード・オレンジ(Richard Orange)氏は2012年、The Observerに書いている。

「1974年に育児休暇の共有が始まって以来、ベビーカーを押す男性の姿は当たり前の光景になっている。彼らは"ラテ・パパ"と呼ばれている」

「わたしが午前中によく行く、マルメにある無料で立ち寄れる遊び場では、ママたちよりパパたちの方が多いこともしばしばだ。ふと気付くと、子どもたちが木製のブロックやガラガラ、太鼓で遊んでいるのを、わたしも床に座って、寡黙なスウェーデン人のエンジニアや、全身にタトゥーを入れたバイカー、インドのチェンナイから移住してきたコンピューター・エンジニアたちと一緒に見ている」

オーストラリアのSBSは2014年、スウェーデンに住むオーストラリア人アンドリュー・ギラード(Andrew Gillard)さんについて、記事を書いている。ギラードさんも、"ラテ・ダッド"もしくは"ラテ・パパ"は見慣れた光景だという。「オーストラリアで同じようなものを目にすることは、恐らくないだろうね」同氏はSBSに語った。「30歳前後の男性4、5人のグループが、ベビーカーを押してカフェに行ってラテを飲んでいるんだ」

"ラテ・ダッド"がここまで広く知られるようになったのは、彼らがコーヒー好きだから、ではない。彼らの存在は、世界で最も先進的なスウェーデンの育児休暇がもたらしたものだ。スウェーデン政府は、子どもの父親と母親は480日(16カ月)の育児休暇を給料の約80%(上限あり)を受け取りながら取得することができ(双子の場合は日数が増える)、男女が休暇を共有することとしている。つまり、スウェーデンでは父親もこの16カ月のうちの少なくとも一部を取らなければならないのだ。育児休暇の日数は、子どもが8歳になるまで有効だ。

「昨今、スウェーデンの父親にとって、考えなければならないのは『子どもと一緒にいるために休暇を取るかどうか? 』ではなく、『どれだけ休暇を取ろうか? 』だ。大半は、3カ月から9カ月を取っている」スウェーデン人の父親ヨナス・フリッド(Jonas Frid)さんはThe Australianのマーティン・ダウブニー(Martin Daubney)氏に語った。

大半の西側諸国とは、大きな違いだ。

中でも休暇の取りづらさで知られるアメリカでは、政府は企業に対し、従業員に有給の育児休暇を与えるよう義務付けてすらいない。これは、先進国としては非常にまれだ

もちろん、スウェーデンも完璧ではない。こうした寛大な制度が利用できる代わりに、国民が納める税金は高い。しかし、子の親になるには非常に良い場所と言えそうだ。特に"ラテ・ダッド"にとっては。

[原文:Sweden is apparently full of 'latte dads' carrying toddlers — and it's a sign of critical social change]

(翻訳、編集:山口佳美)

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