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- アメリカと中国の貿易戦争への恐れもあり、国際貿易をめぐる緊張は高まり続けている。
- 中国、メキシコ、カナダは、貿易摩擦の直接的な影響を受けやすい。
- シティのアナリストによる最近のメモによると、他にもそうした貿易摩擦の影響を受ける国があるという。
- 中でも、タイ、台湾、スイスは、保護主義の台頭により、大きな影響を受けそうだ。
国際貿易をめぐる緊張が高まり続ける中、エコノミストたちはグローバル経済と世界中の個人の暮らしにとって、本格的な貿易戦争が何をもたらすのか、懸念している。
保護主義的な姿勢を強めるアメリカのトランプ大統領の視線の先には、中国、メキシコ、カナダがある。4月3日(現地時間)には、約500億ドル(約5兆3600億円)相当の中国製品に関税を課す計画を発表した。ローマテリアル、建設機械、農業機器、電子機器、医療機器、消費財がその対象に含まれる。
中国はこれにただちに反応、100以上のアメリカ製品に関税を課す考えを示した。その規模は総額500億ドルを超える。
これらの関税が実際に課されるかどうかはまだ分からない。だが、それが現実となれば、関係する業界だけでなく、その他の部分でも両者の経済に大きな影響を及ぼすだろう。そして、その影響は輸出入にかかるコストを増大させ、他の国にまで広がる可能性もある。
その影響を国ごとに定量的にはかるのは難しいが、シティ(Citi)のアナリストたちはそれぞれの国のデータを使って、GDP(国内総生産)に占める対米輸出の割合と、アメリカの株式市場に対するエクスポージャーから評価した。
それをまとめたのが、以下のチャートだ。
Citi
「最近発表された関税が直接的に与える経済的なインパクトは小さい。しかし、さらなる保護主義の台頭は、成長のダウンサイド・リスクとインフレのアップサイド・リスクとなる」ロバート・バックランド(Robert Buckland)氏の率いるシティのアナリスト・チームは書いた。
「輸出中心(特に対アメリカ)の株式市場(韓国、台湾)とセクター(工業、自動車、テクノロジー)が最もリスクにさらされている」
シティは、貿易をめぐる緊張の高まりを懸念しているが、その一方で全面的な貿易戦争が現実のものになるとは考えていない。
「貿易と投資ルールの緩やかな引き締めという、シティのエコノミストたちのベースケースは変わっていない」アナリストたちは書いた。「本格的な貿易戦争ではない」
[原文:This chart shows the countries most at risk from a US trade war with China]
(翻訳、編集:山口佳美)