官僚主義は「病気」—— JPモルガンCEOの戦い

JPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏

全ての組織は官僚主義化の進行と積極的に戦わなければならないとJPモルガン・チェースのCEOジェイミー・ダイモン氏は語った。

Getty/Win McNamee

  • JPモルガン・チェースのCEOジェイミー・ダイモン氏は毎年、株主宛てに書簡を発表している。
  • 同氏は社内にはびこる官僚主義を「病気」と呼び、JPモルガンでの5つの取り組みを紹介した。
  • 社内会議を制限する、手続きを常に見直す、自己批判精神を保つ、などだ。

毎年恒例の株主宛ての書簡の中で、JPモルガン・チェースのCEOジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏は、同社のような大企業にはびこる官僚主義に触れた。

官僚主義は「病気」で、「優れた人材を追い出し、意思決定を遅らせ、イノベーションを阻害し、しばしば悪質な社内政治の温床となる」と同氏は記した。

またトップは常に、組織における官僚主義化の進行と積極的に戦わなければならないとし、JPモルガンでの5つの取り組みを紹介した。

1. 社内会議を制限する

社内会議は「時間とお金の大きな無駄」とダイモン氏は記した。

会議がどうしても必要な場合、責任者は明確なアジェンダを準備し、事前に出席者に配布しておく。そして会議では、明確な決断を下す。

聞いたことがある内容ではないだろうか? 他の経営トップも、不必要な会議に対して同じような嫌悪感を示している。

例えば、アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は、会議を黙って資料に目を通す時間から始めることが多い。出席者が意見をまとめることができ、残りの時間がより効率的なものになるからだ。

一方、テスラのCEOイーロン・マスク氏は、会議中に黙っていた出席者に「君は何も発言していない。なぜここにいる?」と言ったと伝えられている。

2. 緊急性の高い問題に集中して取り組む「作戦室」を設ける

会議の焦点を絞り、効率的に行うだけでなく、JPモルガンではビジネス上の個別の問題に対して、少人数のチームを割り当て、解決に取り組む。

「それぞれの作戦室は専門のメンバーで構成され、数週間もしくは数カ月後の単位で問題解決に取り組む」

ダイモン氏によると、作戦室は2018年に導入され、クライアントとの取り引き、業者のマネジメントなどの問題に取り組んでいる。

3. 社内の手続きを常に見直す

ダイモン氏はこれを「再想像(reimagining)」と呼んでいる。

「適切な人材を全員、ひと部屋に集め、特定のプロセスについて考え、ゼロから完全に再想像する」

最近では、あるチームがユーザーエクスペリエンスの再構築に成功した。ダイモン氏はチームは、「時代遅れ、もしくは最近の規制で不要となった手続き」を特定し、変更もしくは削除したと記した。

4. 自己批判精神を保つ

ダイモン氏はもう1つの「病気」を指摘した。「うぬぼれ」だ。

「それは通常、思いあがりや成功から生まれる。将来の失敗の証だ」

同氏によると、うぬぼれを防ぐために、JPモルガンの経営陣は、自身の行動を分析し、弱みに目を向けている。

ダイモン氏の見解は『insight』の著者で、組織心理学者のターシャ・ユーリック(Tasha Eurich)氏の見解を思い出させる。

ユーリック氏は、出世の階段を登り、自己認識力が低下する現象のことを「CEO病」と呼ぶ。そしてすべてのリーダーは、部下から正直なフィードバックをもらえるよう、部下に働きかけるべきと述べる。フィードバックが上手な部下にピンポイントで依頼するだけでも良い。

5. 自主性を重要視する

「アジャイル(機敏な)・マネジメント」は、ダイモン氏が「アジャイル・テクノロジー(agile technology)」をマネジメントに当てはめた造語。

「製品やサービスの担当者による小規模なチームが、カスタマーエクスペリエンスを向上させるために技術者と連携する」

ポイントは、彼らに彼らがベストだと思う解決策の決定権を与えること。

「そのためには、彼らに必要な権限とリソースを与えなくてはならない。また、失敗しても処罰されないと理解していることも重要だ」

[原文:Jamie Dimon says bureaucracy is 'a disease' — and JPMorgan takes 5 steps to combat it (JPM)

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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