サウジアラビアのハイパーループ、実現にまた一歩近づく

ドバイのハイパーループの駅の完成予想図)。

ドバイのハイパーループの駅の完成予想図)。

Virgin Hyperloop One

サウジアラビア王国の経済は、1世紀近く、その膨大な石油埋蔵量に依存してきた。

しかし近年、石油価格は急激に下落しており、サウジアラビアは経済の多様化と石油依存からの脱却を目指している。

同国王室は、国内の都市の近代化を目的として、経済改革計画「ビジョン2030」を作成、計画の一環としてハイパーループを建設し、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の主要都市を結ぶことを考えている(ハイパーループは減圧したチューブの中をポッドが走行する高速移動システム)。

4月9日(現地時間)、ロサンゼルスに拠点を置くヴァージン・ハイパーループ・ワン(Virgin Hyperloop One)とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Saudi Crown Prince Mohammed bin Salman)は、ハイパーループのポッドのプロトタイプを発表した

もし、このシステムが実現すれば、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の間の移動に劇的な変化が起きるだろう。ヴァージン・ハイパーループ・ワンによると、1時間の通勤時間はわずか数分になる。

計画の詳細を見てみよう。

サウジアラビアのハイパーループは中東の主要都市、ドバイ、リヤド、ジッダ、アブダビなどを結ぶ予定。

ドバイの街並み

ドバイの街並み

Kamran Jebreili/AP

しかし、具体的なルートはまだ不明。同社は2016年後半、ドバイ道路交通局と、ドバイとアブダビを結ぶルートの調査について合意したと発表した

上空から見た駅の完成予想図。

上空から見た完成予想図

Virgin Hyperloop One


ヴァージン・ハイパーループ・ワンによると、高速鉄道よりも2~3倍速い。

駅の完成予想図。

駅の完成予想図。

Virgin Hyperloop One


ポッドは時速約700マイル(約1100キロメートル)で移動し、ドバイとアブダビを12分で結ぶ。車だと通常2時間かかる。

ポッド内部の完成予想図。

ポッド内部の完成予想図。

Virgin Hyperloop One


リヤドとジッダは現在10時間かかるが、わずか76分間に短縮される。リヤドとアブダビも8時間半から48分になる。

ドバイのハイパーループ駅の完成予想図

Virgin Hyperloop One


運行を管理するコントロール・ステーションの完成予想図。

制御室の完成予想図

Virgin Hyperloop One


特殊なモーターを使って、減圧されたチューブの中を走行する。

チューブ内の予想図

Virgin Hyperloop One


ビジョン2030用のポッドのプロトタイプ。

真横から見たポッドのプロトタイプ

Virgin Hyperloop One


乗客はアプリを使ってポッドを呼ぶ。アプリには、駅のどのゲートに、いつポッドが到着するかが表示される。

上空から見たポッドのプロトタイプ

Virgin Hyperloop One


駅には120のゲートが設けられ、1時間あたり8500人以上の乗客が乗り込める。

斜め前から見たポッドのプロトタイプ

Virgin Hyperloop One


ヴァージン・ハイパーループ・ワンはラスベガスの北にある試験トラック「デヴループ(DevLoop)」で、システムのテストを行っている。

ネバダ州にあるヴァージン・ハイパーループ・ワンの試験トラック。

ネバダ州にあるヴァージン・ハイパーループ・ワンの試験トラック。

Virgin Hyperloop One


2017年12月、実物大のシステムのテストに成功。最高速度は時速240マイル(約390キロメートル)に達した。

2017年12月、デヴループで実物大のシステムのテストに成功。最高速度は時速240マイル(約390キロメートル)に達した。

Virgin Hyperloop One


ハイパーループを実際の都市で構築するのは初めて。まだ困難で壮大な挑戦だ。

チューブの間のつなぎ目を溶接する作業員。

チューブの間のつなぎ目を溶接する作業員。

Virgin Hyperloop One


エアシューターは、小さな荷物を運ぶ手段として古くから使われてきたが、人を運ぶとなると、技術面やコスト面で大きな課題が浮上する。

試験トラックの内部。

試験トラックの内部。

Virgin Hyperloop One


例えば、チューブ内でポッドを走らせるには、極めて強力な減圧システムが必要になる。またシステムは大量の熱を放出する。チューブの中に空調設備を追加すれば問題は解決できるが、チューブのサイズがより大きくなり、コストもあがる。

試験トラックの内部。

試験トラックの内部。

Virgin Hyperloop One


ハイパーループのアイデアを世に広めたのは、テスラのCEOイーロン・マスク氏の功績。同氏のトンネル掘削スタートアップ「ボーリング・カンパニー(The Boring Company)」も独自のシステムを開発している。

ボーリング・カンパニーのトンネルの完成予想図。

ボーリング・カンパニーのトンネルの完成予想図。

The Boring Company/YouTube

2017年7月、マスク氏はアメリカ北東部の主要都市を結ぶハイパーループ・システムを地下に建築するための「口頭による行政承認」を得たとツイートした

同社は現在、ワシントンDCとロサンゼルスにハイパーループを導入する2つのプロジェクトに取り組んでいる。最初の掘削作業を2017年後半、ロサンゼルスの試験場で開始した。

しかし、同社が正式なトンネルを建設するには、何十億ドル、そして何年もの時間が必要だ。

ロサンゼルスがあるカリフォルニア州には、大規模な建設プロジェクトを規制する環境品質法(Environmental Quality Act)が存在する。ニュースサイトのカーブド(Curbed)は、プロジェクトの審査だけでも最低3〜4年はかかるだろうと報じた

ヴァージン・ハイパーループ・ワンとサウジアラビア政府は、ハイパーループは経済成長を刺激し、同国の産業に多様性を生み出し、製造業およびテック産業を成長させ、地域の雇用拡大を促進すると考えている。

ヴァージン・ハイパーループ・ワンのポッドの3Dイメージ。

ヴァージン・ハイパーループ・ワンのポッドの3Dイメージ。

Virgin Hyperloop One


「本日の皇太子の訪問と話し合いにより、 サウジアラビア王国にヴァージン・ハイパーループ・ワンを建設する計画は新たなフェーズを迎えた」と同社CEOロブ・ロイド(Rob Lloyd)氏は4月2日、声明で述べた。

ヴァージン・ハイパーループ・ワンの試験トラック。

ヴァージン・ハイパーループ・ワンの試験トラック。

Virgin Hyperloop One

出典 :Virgin Hyperloop One

サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、様々な先進的な交通手段を検討している。2018年はじめに、ドバイは自律走行型ポッドのテストを開始した。数年以内に地域内での交通手段として実現するかもしれない。

ドバイ道路交通局が開発した世界初の自立走行型ポッド。2018年2月28日。

ドバイ道路交通局が開発した世界初の自立走行型ポッド。2018年2月28日。

Thomson Reuters

出典:Reuters

巨大なハイパーループ・システムの建設は、さらに野心的な挑戦となるだろう。

同社のビジョンをアラブ首長国連邦の関係者に説明する同社CEOのロブ・ロイド氏。

同社のビジョンをアラブ首長国連邦の関係者に説明する同社CEOのロブ・ロイド氏。

Virgin Hyperloop One


[原文:Saudi Arabia plans to build a Hyperloop that would shrink commutes from hours to minutes — here’s what it could look like

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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