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サンフランシスコのスカイラインに新たな「宝石」が加わった。
今年7月に完成予定のセールスフォース・タワーはサンフランシスコ市内で高度もコストも最も高い建築物だ。デベロッパーのボストン・プロパティーズ(Boston Properties)が約326メートルの高層ビルの建築に費やしたコストは、約11億ドル(1222億円)と推定されている。
4月6日木曜日(現地時間)、構造部の完成を祝したセレモニーが、サンフランシスコ市長のエド・リー( Ed Lee )氏とセールスフォースのCEOマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏の同席の下に行われた。
「サンフランシスコやベイエリアで、タワーが見えない場所はないだろう」とベニオフ氏。
今回、Business Insiderはこの巨大タワーの内側を隅々までチェックした。
近年絶好調のセールスフォースとCEOのマーク・ベニオフ氏
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セールスフォースは今年初めに創立18周年記念を迎えた。フォーチュンの2017年度版「最も働き甲斐のある企業100選」で8位にランクインし、順調に行けば3年後、1000億ドル企業に成長するとの予測もある。
セールスフォース・タワーは完成まで後少し。ファイナンシャル地区にそびえ立つ61階建ての高層ビルは完成後、シカゴ以西の立ち入り可能な建築物の中で一番高いものとなる。
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当初トランスベイ・タワーと呼ばれていたが、セールスフォースが命名権を取得。ボストン・プロパティーズに対し、30フロア分のリース料として15年分、総額5億6000万ドル弱(約623億円)を支払う予定だ。
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140万平方フィート(約13万平方メートル)のうち、約70%はベイン・アンド・カンパニーやアクセンチュア、不動産会社のCBREなどに賃貸される。
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セールスフォース・タワーは「ただのオフィスビルよりずっとすごいもの」と語るのはペリクラーク ペリ アーキテクツのフレッド・クラーク(Fred Clarke)氏。サンフランシスコの未来の明るさを示す「楽観主義の象徴」だという。
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ボストン・プロパティーズによると、建設現場では700人もの作業員が7月の完成に向け、昼夜問わず働いている。
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クラークによると、セールスフォース・タワーは隣接するミレニアム・タワーとは違い「地盤にしっかり固定されていて安全だ」という。ミレニアム・タワーは不安定な地盤が原因で徐々に傾き、沈みかけているらしい。
セールスフォース・タワー(左)に隣接するミレニアム・タワー
Beck Diefenbach/Reuters
サンフランシスコの58階建て高層ビル沈没、責任はいずこに?
セールスフォース・タワーは丸みを帯びたスレンダーなシルエット。高さ4メートルもの天井と建物の側面を覆う3メートルのガラス窓のおかげでたくさんの日光が差し込み、開放的な雰囲気だ。
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各フロアには鉄製の自動日よけを装備。一日を通して差し込む日光を調整し、光量を最大限生かしながら、オフィスが温まり過ぎるのを防いでくれる。
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source:ペリ クラーク ペリ アーキテクツ
セールスフォース・タワーは、同じく建設中の新トランスベイ・トランジット・センター直通。11の公共交通機関を通してベイエリアの各エリアをつなぐ予定だ。
Transbay Transit Center
すぐ横には、バスターミナルの屋上庭園と10万平方フィート(約9300平方メートル)のショッピングエリア。セールスフォース・タワーも小売業を展開する予定だが、詳細は未公表。
Transbay Transit Center
セールスフォース・タワーは2017年末までにセールスフォースの従業員1万人の新たな職場となる。
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「『あなたのオフィスは最上階のどこに作るの?』と何度聞かれたことか。最上階に私のオフィスはないよ」と語るベニオフ氏。
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セールスフォースのオフィスは地上階から数えて30フロアあるが、最上階とその真下のフロアはチームミーティングやイベント用のコミュニティ・スペースとして活用する。大のハワイ好きであるベニオフ氏は、コミュニティ重視の自社文化にちなんで、最上階の61階を「オハナ・フロア」(ハワイの言葉で「家族」を意味する)と名付けたという。また、セールスフォースは非営利団体(NPO)や非政府組織(NGO)に対し無償でイベントスペースを貸し出す予定だ。
今回、この頼りないエレベーターで最上階の真下の60階まで昇ることができた。
Melia Robinson/Business Insider
この絶景は一見の価値ありだ。
Melia Robinson/Business Insider
ニューヨークやドバイであれば周囲の高層ビルの影に埋もれてしまうだろうが、セールスフォース・タワーは、サンフランシスコの数々の名所を見下ろす存在となる。
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60階は工事まっただ中。床には巨大なガラスパネルが積み上げられ、転落防止用にケーブルが張り巡らされている。
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セールスフォース・タワーで開く会議は、感動ものになること間違いなし。
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source: Steelblue、Transbay Transit Center、Transbay Transit Center、Pelli Clarke Pelli Architects
(翻訳:近松瑛真)