参加費1万ドル、TEDに参加してみた!

TEDトークで話をするトレイシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)氏。

TEDトークで話をするトレイシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)氏。

Ryan Lash/TED

TEDカンファレンスに実際に参加するという体験は、オンラインでTEDトークを見た際に感じる期待や興奮を裏切らない。サイエンティスト、アーティスト、起業家、CEOといった人たちに、とっておきのアイデアを披露してもらえる圧倒的な体験だ。

2018年のTEDには、スペースXの社長グウィン・ショットウェル(Gwynne Shotwell)氏や建築家のレンゾ・ピアノ(Renzo Piano)氏、ハーバード大学の心理学者スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)氏といった大物スピーカーが登壇した。彼らの多くは期間中ずっと会場にいるから、あちこちで彼らを見かけることは珍しくない。

また、登壇はしないが、多くの有名人がTEDに来ている(報道関係者が具体的な名前をあげることは許可されていないが、ツイッターを少し調べればすぐに分かる)。

カンファレンスの参加費は1万ドル(約107万円)、だが選ばれた初参加者向けに、5000ドルのチケットもある。

スピーカーによるトークに加えて、会場には参加者を夢中にさせる、多様な楽しい体験やビュッフェ、ワークショップがある。

実際、TEDとはどんなものなのか? 2018年のTEDカンファレンスに参加してみた。

TEDはここ数年、カナダのバンクバーにあるバンクーバー・コンベンション・センター(Vancouver Convention Center)で開催されている。

外から見たTEDトークのコンベンションセンター

Marla Aufmuth/TED

TEDが始まったのは1984年、初めてのカンファレンスはカリフォルニア州モントレーで開かれた。最近では、カンファレンスは月曜日から金曜日にかけて開催されている。参加には申し込みが必要、だが人数は制限されており、今年は最大1500人しか参加できなかった。チケットは何カ月も前に売り切れてしまう。

会場は港にあるため、オーシャンビューが楽しめる。

建物内から見えるオーシャンビュー

Ariel Schwartz/Business Insider


筆者は毎朝、まず最初にビュッフェコーナーに足を運んだ。様々なメニューがあり、すべて原材料の詳細が添えられていた(ビーガン向け、あるいはグルテンフリーなども記載されていた)。

会場内のビュッフェ

Ariel Schwartz/Business Insider


普通のカンファレンスよりも間違いなく美味しかった。

会場内のビュッフェ

Ariel Schwartz/Business Insider


ビュッフェに満足できなければ、地元の屋台もいくつか出店している。どの屋台もランチに、美味しい料理を無料で提供している。

会場外のフード・トラック

Ariel Schwartz/Business Insider

ディナーは毎日、いろいろなものが選べる。例えば「ジェファソニアン・ディナー」では、「幻覚剤の未来」や「都市部と農村部の格差」などのテーマから、興味があるものを選び、地元レストランで同じテーマに興味を持った参加者と食事を楽しむ(もちろん、すべて無料)。

プライベートランチやプライベートディナーに招待される参加者もいる。

プライベートランチ・チケット

Marla Aufmuth/TED


今年のオープニング・パーティーには究極の甘い誘惑があった。ドーナツの壁だ。

ドーナッツで装飾された壁

Lawrence Sumulong/TED


期間中、会場外で行われているイベントに参加することもできる。追加費用がかかるものもある。

会場外活動の受付

2017年のイベントの1つ、潜水艦体験。

Ariel Schwartz/Business Insider


筆者は自動運転のBMW i3のプロトタイプのテスト走行に参加した。

自動運転のBMW i3

自動運転のBMW i3

Ariel Schwartz/Business Insider

テスト走行の会場はバンクーバー・コンベンション・センターの地下。スムーズで快適だった。

会場内のアクティビティもバラエティ豊か。ロボットと遊んだり、

ロボットと遊ぶ参加者たち

Jason Redmond / TED


ラウンジでリラックスしたり、

寝転ぶ参加者

Jason Redmond/TEDs


VR(仮想現実)の世界を探検したり。

VRを体験する参加者

Lawrence Sumulong / TED


会場内の書店では様々な本が販売されていた。ほとんどはTEDスピーカーが執筆したもの。

会場内の書店

Marla Aufmuth/TED


会場の2階はオフィス家具大手スチールケース製の静かなワークスペース。机、ソファのある個室スペース。

作業スペース

Marla Aufmuth/TED

筆者は記事を書くために、かなり使わせてもらった。

ワークショップは、TEDトークで刺激され、オーバーヒート気味の頭を休ませるのにちょうど良い。

ワークショップの風景

Ariel Schwartz/Business Insider

筆者は2017年、「データを通して理解する都市のレジリエンス(環境変化を乗り越える柔軟性)」というワークショップに参加した。参加者は、世界中の都市部が直面しているリスクを表した地図をノートパソコンを使って体験。

さらによりクリエイティブなワークショップも。

似顔絵を持つ男性

Jason Redmond/TED


会場にはホールは1つしかないので、TEDトークを生で聞くには列に並ばなくてはならない。

公演のために並ぶ人たち

Ariel Schwartz/Business Insider

特に人気のトークの場合、開始30分前には列ができていることもある。席は先着順なので、ホールに入った後はちょっとした競争。

2万5000ドルのドナー会員は、別の列から入場し、最前列に座ることができる。

プレス関係者は後ろの席へ。ノートパソコンの使用が許可されていたのは、後ろの2列のみだった。だが、その席でもトークは素晴らしかった。

拍手をする参加者たち

Bret Hartman/TED


スピーカーはステージに上がるかなり前から、トークをスムーズに進められるようコーチングを受ける。

今年のスピーカーの1人で、ドルビー・ラボラトリーズのチーフ・サイエンティスト、ポッピー・クラム(Poppy Crum)氏。

今年のスピーカーの1人で、ドルビー・ラボラトリーズのチーフ・サイエンティスト、ポッピー・クラム(Poppy Crum)氏。

Bret Hartman/TED

ネットで話題になるTEDトークはごくわずかだが、多くのトークも同じくらい刺激的。だが、TEDのステージに上がることは大きなプレッシャーだ(ネットでの知名度アップや、本の執筆を依頼されるか否かがかかっている)、途中で言葉に詰まるスピーカーもいる。

TEDの動画編集技術は素晴らしく、トーク中にちょっとしたハプニングがあったとしても、動画ではカッコ良く見えるように編集してくれる。

スピーカーはしばしば、トークの後に指定された場所に現れ、聴衆と直接話をする。

講演者と話せる空間

Jason Redmond/TED


会場内のほぼ全員が追跡可能。名前タグにはオプションで追跡機能を付けることができる。TEDコネクト(TEDConncet)アプリを使うと、他の参加者がどこにいるかが分かる。

追跡可能なネームタグ

Jason Redmond/TED

他の参加者が、トラッカー機能を使って筆者を探し出したことが数回あった。なかなか便利。

全員がホールでトークを見るわけではない。そもそも、ホールには全員分の席はない。だが、会場内には数十台のモニターと様々な形の椅子があるので、好きな姿勢でトークを見ることができる。

会場内に設置されたスクリーンと席

Marla Aufmuth/TED


こんな席もあった。

公演視聴用のクリエイティブな席

Lawrence Sumulong/TED


過去には、TEDは参加者に「お土産の洞窟(gift cave)」から好きなものを選ばせたこともあった。

スーツケース

Rimowa

2018年の参加者には、高級ブランド「リモワ」の特製スーツケースが渡された。普通のカンファレンスのお土産品とはかなり違う。そう、TEDは普通のカンファレンスとは違う。

[原文:What it's like to attend the TED talks, where attendees pay $10,000 to learn the next big ideas

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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