Xperia Ear Duoは「外音取り込み」と「アシスタント機能」をかけあわせた異色のワイヤレスイヤホンだ。
- 職場で作業BGMを流すのに最適。周りの声も聞き逃さない。
- 移動中でも通話やLINEが使えるアシスタント機能が便利。
- 3万円超はやや割高感があるが、外音取り込み機構と豊富なアシスタント機能を搭載したデバイスとしては他に類を見ない。
コンセプトの発表から約1年。ソニーモバイルは、左右独立型ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」を4月21日に発売する。同機は、外音を遮断するのではなく、イヤホンの音と外音をあえてミックスする特殊なイヤホン。内蔵の音声AI(スマートアシスタント)を、文字通り「身体に装着して」使える機能が魅力だ。
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ひとあし早く試用した製品で、日常的な利用体験がどんなものなのか、お伝えしてみよう。
Xperia Ear Duoは、専用アプリを入れたスマートフォンがないと真価を発揮できない。
・今回はnuroモバイル版Xperia XZ PremiumとXperia Ear Duoを組み合わせて試用。OSバーションはAndroid 5.0以上でBluetoothのHFP(Hands Free Profile)対応デバイスであれば同等の機能が利用できる。
・iOSの場合はiOS 10以上のiPhoneでのみ利用可能。アシスタント機能を中心にAndroidで使える一部機能は動作しないので注意
自分だけに聞こえるBGMを持ち歩けて、人の声も聞こえる「集中イヤホン」
外音取り込み機構が最も役立つのは、他人とのコミュニケーションがある場所だ。
一般的にはまだ「仕事中のイヤホンなんて絶対禁止」という職場が多いのは承知の上であえて書くと、Xperia Ear Duoが最も活躍したのが、「職場」だった。
働き方や雇用形態が多様化するなかで、フリーアドレスは当然として、外部オフィスとしてのコワーキング活用も増えている。「部内の連絡は基本、Slackなどのチャットツール」という文化は、スタートアップ起業を中心に一般的になりはじめている。
こうした環境で「音楽を聞き流しながら集中モードで仕事をする」働き方がアリな仕事場だとしても、ヘッドホンをしていて上司や同僚から話しかけられても気づかない、というのは正直気まずい。
Xperia Ear Duoは、この問題を見事に解決する。物理的に外音を取り込んでいるため、周りの声や音を聞き逃さない。50〜60%程度の音量で音楽を再生しながら仕事をしていても、周りの話し声や呼びかけは自然に耳に入ってくる。声が聞こえないケースがあるとすると、よほど音楽に集中しているか、音量を最大まで引き上げているかでは? と思える。
話しかけられた際は、左耳の本体の側面をワンタップすれば音楽の再生は瞬時に止められるので、すぐに会話に切り替えられる。
本体のタッチ操作以外にも、頭を振るヘッドジェスチャーで音楽機能の操作などが可能。
「耳に入れるイヤーピースに穴が空いている」という構造から、音漏れがどの程度なのか気になるかもしれない。周囲の編集部員に聞いてみたところ、70%の音量時に「至近距離で、注意深く聞けば聴こえるレベル」とのこと。周囲が静かな環境では少し音量を落とせば、音漏れに関しては問題なさそうだ。
移動中にも次の予定やハンズフリー通話ができる
本体の「SONY」ロゴのあたりで、タップ操作は行う。
移動中の使用感を見ていく。外を歩いているときに、新着メールの確認や、電話やLINEで連絡したいなど、意外とスマートフォンを使ってやりたいことは多い。
実はこれらはすべて、Xperia Ear Duoなら「画面を一切見ずにハンズフリーで実行できる」。
たとえば、音声読み上げ機能を使うと、メールや各種アプリのLINE、Facebookメッセンジャー、Twitterなどの通知情報は自動的に読み上げてくれる。IoTを「イオット」と読み上げるなど、たまに発音が気になることもあるが、おおむね問題ない。
また、こちらから何かアクションを起こしたいときは、右耳側の本体の側面をタップし、アシスタントの「お話ください」という合図のあとに以下のようなコマンドを話して実行する。
- 「次の予定は?」 → カレンダーに登録された次の予定の時間やタイトル、場所を読み上げ。
- 「渋谷の天気は?」 → 天気情報を読み上げる。
- 「●●さんに電話して」 → 電話帳を検索し、名前を確認後に通話。
雑踏や車が行き交う場所でも、発声内容をしっかりと認識した。
本体に合計4つ搭載されたマイクによるノイズリダクションが効果的なのか、人通りが絶えない東京・渋谷の雑踏で話しても、音声コマンドが正確に実行されたのは正直驚いた。
LINE送信機能は発展途上、実用性はイマイチ
LINEの送信には、事前に友達ごとに“呼び名”を設定する必要がある。また、Xperia Ear Duoから送信したメッセージにはClovaで送ったことが明示される仕様になっている。
なお、Xperia Ear Duoの目玉機能の1つである「LINE送信機能」は通常のアシスタント操作とは少し手順が異なる。LINEを送信するには、以下の手順でLINEのアシスタント「クローバ」を呼び出す必要がある。
- 本体右側をタップし、アシスタントを呼び出す。
- 「クローバ、●●にLINEを送って」と話す。
- クローバが起動し、送信内容を聞いてくる。
- 送りたい内容を話す。
- クローバが聞き取った内容を復唱する。
- 内容を確認して、送信するかキャンセルするか決める。
LINEを送信するのにこれだけの手順を踏むのは、正直なところなかなか億劫だ。
また、クローバそのものの完成度の問題なのか、ソニーモバイル純正のアシスタントやGoogle アシスタントと比べると音声認識の精度が相対的に低いと感じた(誤認識がある)。意図しない内容を送らないためにも、クローバによる内容の復唱はやっぱり必要だ。
なお、クローバの起動はスマートフォンアプリの設定から、タッチパッドの長押しや2度押しなどの操作に割り当てることも可能なので、ある程度高速化はできる。
Xperia Ear Duoの「体験」は新しい
Xperia Ear Duoの「耳をふさがないAI搭載無線イヤホン」という新しいコンセプトは、実際その体験も新鮮だった。“耳元にいる秘書”という感覚で使えるのもなかなかおもしろい。
バッテリー駆動時間は公式スペックで1充電につき最大4時間。1日中装着しっぱなしで使いたい人には足りないかもしれないが、個人的には4時間でも十分で、電池切れ前に打ち合わせなどで外してしまう方が多かった。
多少のネックがあるとすると、ソニー直販サイトでは3万2270円(税込)という本体価格だ。一般的に3万円超のワイヤレスイヤホンは高めの部類だし、同ジャンルの無線イヤホンとしても、高価な部類に入る(例えば、アップルの「AirPods」は直販価格1万8144円(税込)だ)。
Xperia Ear Duoは典型的な体験型製品なだけに、まず使ってみないと価値が伝わりづらい。実機の体験展示は、全国5店舗のソニーストア(銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神)などで行なっている。気になる人は実機を試してみてほしい。
(文、撮影・小林優多郎)
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