アップルのCEO、ティム・クック氏。
Lucy Nicholson/Reuters
- アップル(Apple)は中国のスマートフォン市場で激しさを増す競争に直面している。UBSのアナリスト、スティーブン・ミルノビッチ(Steven Milunovich)氏は顧客向けのメモで書いた。
- アップルのハイエンド端末市場におけるプレゼンスは低下している。
- 中国のスマートフォン市場そのものの成長も鈍化している。
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アップルが中国で壁にぶつかっている —— 。UBSのアナリスト、スティーブン・ミルノビッチ氏は顧客向けのメモで書いた。
iPhoneのメーカーである同社の中国におけるプレゼンスは2015年にピークに達し、その後、下り坂にある。「2015年の4Gへの移行とiPhone6/6 Plusの登場により、アップルの成長はサムスンを大きくリードしていた」ミルノビッチ氏は指摘する。「だが今は、販売台数は横ばい、長期的な成長はわずかと我々は見ている」
中国におけるアップルの歴史的なピークは2015年、iPhoneの販売台数の25%を中国が占めたときだ。だが、マーケットシェアはそれ以降、19%まで下がっているとミルノビッチ氏は言う。
同氏はその主な理由をとして、2つ挙げている。
第一に、現地のハイエンド端末市場での競争が激化していること。「ハイエンド端末をめぐるファーウェイとの競争や、6sレベルの端末をめぐるその他メーカーとの競争により、シェア拡大が阻まれた」同氏は言う。
ハイエンド市場でアップルの競争力は依然として高いが、ミルノビッチ氏はそのマーケットシェアですら徐々に低下していると指摘する。iPhoneの値段が上がるにつれ、端末を買える人が減っていると言う。
「2015年のピーク時、我々はアップルが消費者のティア1、ティア2の層で40~50%のシェアを占めるだろうと考えていた。今日では20~30%近いだろう」
UBS
第二に、ローエンドな市場はアップルにとってプラスにならないことが挙げられる。
「ティア3、ティア4でのアップル成功の理由が、流通の少なさと古い機種をより安価に提供していることとは考えづらい」ミルノビッチ氏は言う。「値を下げてもティア3、ティア4でアップルがシェアを伸ばすチャンスはほとんどないと我々は見ている。なぜなら競合する業者は多く、その一方で古いiPhoneには新しい機能がなく、バッテリーも小さいからだ」
中国におけるスマートフォンの市場シェア(2013年~2017年)。濃い色から、アップル、サムスン、ローカルブランド、その他を表している。
UBS, Gartner
加えて、スマートフォン市場全体の成長が鈍化していることもアップルに影響を及ぼしている。「市場が飽和状態であること、アップグレードのサイクルが長くなっていることから、市場全体として成長が鈍化し始めた」ミルノビッチ氏は指摘する。
3月にモルガン・スタンレーが顧客向けのメモで指摘したように、端末の売り上げが鈍化するにつれ、アップルはそのサービス事業を伸ばしてきた。「アップルのプラットフォームは、特にサービス事業の収益化によって価値が増している」モルガン・スタンレーのアナリスト、ケイティ・ハバティ(Katy L. Huberty)氏は書いている。
アップルの株価は、2018年に入ってから約2%上がっている。
[原文:Apple's dominance in China is over, UBS says (AAPL)]
(翻訳、編集:山口佳美)