Reuters/Lucas Jackson
- イギリスにあるアマゾンの倉庫に潜入取材したジェイムズ・ブラッドワースはタブロイド紙ザ・サンに、倉庫の従業員は「ビンにおしっこをしている」と語った。トイレに行くことで、目標を達成できなくなることを恐れてのことだ。
- 同氏はまた、従業員は「さぼった」と見なされ、ペナルティを受けることを恐れていると語った。
- 4月16日(現地時間)に発表された別の調査でも、複数の従業員が具合が悪いと報告すると、それが妊娠中であっても、作業が不十分、あるいは休憩していたとしてペナルティを受けたと語った。
- アマゾンは、これらの話は倉庫の労働環境を正確に反映したものとは認識していないと述べた。
- 同社は調査結果に異議を唱えた。また従業員のトイレの時間を計測していないと述べた。
アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは世界一のビリオネアだろう。純資産は約1120億ドル(約12兆円)にのぼる。だが同社の倉庫で働く、少なくとも何人かは厳しい状況にある。仕事中にトイレにも行けない。
イギリスの低賃金をテーマにした書籍を執筆するために、ジェイムズ・ブラッドワース(James Bloodworth)は同国にあるアマゾンの倉庫に潜入した。彼は、商品をピックアップするために巨大な倉庫の中を走り回る従業員が「トイレ・ボトル」を持っていることに気づいた。トイレの数が少なく、トイレに行くと時間がかかるためだ。
「最上階のフロアで働く従業員が一番近いトイレに行くには、階段を4つ下りなければならない。だから従業員はビンにおしっこをしている。『さぼった』とペナルティを受け、トイレに行って仕事を失うことを恐れているから」とブラッドワースはザ・サンに語った。
アマゾンは、倉庫の従業員が商品を棚からピックアップし、梱包する時間を測定していることで知られている。そして、厳密に休憩時間や目標を設定している。目標を達成できなかったり、休憩時間が超過すると警告を受ける。
別の調査では、イギリスのアマゾン倉庫で働く従業員の約4分の3は、トイレを使うことを恐れていた。時間が超過するかもしれないからだ。4月16日(現地時間)に発表されたこの調査は、241人のイギリスのアマゾン倉庫の従業員が回答したと述べた。
調査は、ある従業員が匿名で語った言葉を引用した。目標は「劇的に増える」「トイレに行く時間がないので、水は飲まない」などだ。
他の人は「目標は毎年、アップする。足は2本しかないのに、商品を完ぺきにピックし、休憩時間内にトイレに行くには走らなければならない。1時間に120個の商品を梱包するのは、恐ろしく大変だ」と語った。
「1分間に2個、梱包しなければならない」
調査はまた、アマゾンに入社してから、大きな不安を感じるようになったという回答者の声も伝えた。
病気になると罰せられると答えた人も
また、妊娠中に具合が悪くなった時に警告を受けたと語った人もいた。
アマゾンはこれらの話に異議を唱えている。同社はBusiness Insiderに次のように述べた。
「アマゾンは創業当初から、イギリスの数千の従業員に他に負けない給与や社員特典とともに、安全で建設的な職場を提供している。当社は調査に答えた人が当社で働いていたという事実を確認していない。また、これらの話は倉庫の労働環境を正確に反映したものとは認識していない」
「当社はすべての従業員に優れた職場を提供することに注力している。3月、当社はリンクトインにおいて、イギリスで人気の職場の7位に選ばれた。アメリカでは1位に選ばれている。また当社は倉庫の見学会も開催しており、ユーザーはアマゾンで『購入』ボタンをクリックした後、どのような作業が行われているかを実際に確認することができる」
アマゾンは従業員のトイレの時間を計測しておらず、仕事の目標は当人の以前のパフォーマンスに基づいて設定していると述べた。
また従業員の成長について、あるいは病気で休む際に「適切な裁量権」を行使できるようにアドバイスをしており、さらに法律面や経済面、仕事に関するアドバイスとともに、各職場において仕事面での健康と理学療法のサポートも行っていると述べた。
(翻訳、編集:増田隆幸)