3700万個を超えるゴミ、南太平洋の無人島の知られざる悲惨な現状

ゴミで埋め尽くされた白浜

Jennifer Lavers

南太平洋の中央に位置する小さな島は、ずっと無人島だった。だが、今やその白い砂浜は、3700万個を超えるゴミで埋め尽くされている

世界でも有数の人里離れた島であるヘンダーソン島(Henderson Island)には、毎日、南極以外の全ての大陸からゴミが流れ着く。漁網や浮き、ペットボトル、プラスチック製品などが岩や砂にぶつかり、小さな破片となって散乱している。

2015年、タスマニア大学の研究者であるジェニファー・ラバーズ(Jennifer Lavers)は、プラスチック汚染の広がりを調査する目的でヘンダーソン島を調査した。同氏の研究論文は、それ以来、ネットで拡散を続けている

同氏が共有してくれた島の画像を見てみよう。

ジェニファー・ラバーズは、グーグル・ストリートビューでヘンダーソン島を初めて見た。彼女は島々がゴミに埋め尽くされる様子を何年間も記録してきた。ヘンダーソン島はその典型。

グーグルストリートビューで見たヘンダーソン島その1

Google Street View


足を踏み入れた人はほとんどいない。島はニュージーランドと南アフリカの間に位置し、最も近い人里から71マイル(114キロメートル)も離れている。ラバーズはニュージーランドから貨物船に乗り、ルートを変えてもらって島に上陸した。

グーグルストリートビューで見たヘンダーソン島その5

Google Street View


島に上陸した時、「月面に初めて降り立ったような気分になった」とラバーズはBusiness Insiderに語った。だが、すぐに何か変だと気づいた。

2015年、ヘンダーソン島の崖を登るジェニファー・ラバーズと調査隊のリーダー、ステフェン・オッペル。

2015年、ヘンダーソン島の崖を登るジェニファー・ラバーズと調査隊のリーダー、ステフェン・オッペル。

Jennifer Lavers


ゴミの状況は思っていた以上にひどかった。ゴミの破片が海岸を覆い尽くしていた。

ゴミの山

Jennifer Lavers

ラバーズによると、大きな海流がプラスチックの破片を運ぶ。そして、海流と海岸線がぶつかるところにゴミは溜まっていく。プラスチックは太陽光を浴びて脆くなっているので、砂や岩などの固い物にぶつかると簡単にバラバラになる。

ラバーズと調査隊は、島のゴミの数を数える作業を開始した。

ヘンダーソン島には水がないので、ラバーズたちは2日かけて、貨物船から島へ水を運んだ。「こんなところが? と思うくらい体中が筋肉痛になった」とラバーズは語った。

グーグルストリートビューで見たヘンダーソン島その2

Google Street View


そして森にテントを張り、雨水を集めるためにシートを張った。コーンや豆などの缶詰が主な食料。

缶詰の山

Jennifer Lavers


「3カ月半の調査が後半にかかる頃には、私たち7人は全員、缶詰チキンには飽き飽きしていた」とラバーズ。缶詰チキンはまだ大きな容器2つ分も残っていた。

パレル一杯の缶詰

Jennifer Lavers


彼女はまた「南国の島に行く時には、どう考えても、ココナッツミルクは持って来なくていい」ことも学んだと語った。食べ物はあったものの、島の生活環境は快適ではなかった。

ココナッツ

Jennifer Lavers


アトランティック(Atlantic)のインタビューで、ラバーズは嵐の時にはココナッツなどの木々がテントに何度も打ちつけたと語った。また、鋭い岩が靴を切り裂いたため、ロープで縛ったこともあった。

グーグルストリートビューで見たヘンダーソン島その4

Google Street View

出典:The Atlantic

ゴミのサンプルを採取するエリアを5カ所選び、巻き尺で印を付けた各エリアの砂をふるいにかけた。

貝殻の代わりに化粧品のボトルを使うムラサキオカヤドカリ

貝殻の代わりに化粧品のボトルを使うムラサキオカヤドカリ。

Jennifer Lavers


ゴミを数え、重さを測り、種類や色で分類した。また、珍しいケースだが、どの国から流れ着いたのかが判別できたゴミに関しては、国ごとにも分類した。しかし、ほとんどのゴミは調べるには、小さすぎるか、破損が激しすぎた。

破損したプラスチックボトル

Jennifer Lavers


3カ月半をかけて、ラバーズたちは、5万3000個のゴミの破片を数えた。計算では、ヘンダーソン島の海岸14平方マイル(約36平方キロメートル)には、3700万個以上のゴミの破片が散らばっていることになる。

ゴミで埋め尽くされた白浜

Jennifer Lavers

アトランティックによると、ヘンダーソン島のプラスチックゴミの密度は、世界一かもしれない。ラバーズは毎日、少なくとも3750個のゴミの破片が流れ着いていると推定している。

ラバーズは、ヘンダーソン島をきれいに掃除することは不可能だと語った。彼女は人々がプラスチックの使用と廃棄により気を配ってくれることを願っている。ヘンダーソン島と同じ運命をたどる島をこれ以上増やさないために。

グーグルストリートビューで見たヘンダーソン島その3

Google Street View

「気候変動についての国際的なやり取りから学んだことあるとすれば、環境についての国際的な合意が成立するには長い時間がかかり、実行にはさらに時間がかかるということ」とラバーズは語った。

「その間に、私たち個人にできることはたくさんある。やらなければならない。すぐに」

[原文:Alarming photos of the uninhabited island that's home to 37 million pieces of trash

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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