「コツコツと努力を続けること」ボストン・マラソンで優勝したデジレ・リンデン選手は言う。
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- ボストン・マラソンで優勝したデジレ・リンデン(Desiree Linden)選手は、アメリカ人女性として1985年以来初めてこの大会を制した。
- リンデン選手は、マラソンを完走するためのいくつかのアドバイスをくれた。
- マラソンは過酷だ。だが、リンデン選手のアドバイスを自身のトレーニングに生かせば、レースで良い成績が残せるだろう。
ボストン・マラソンで優勝したデジレ・リンデン選手は、歴史にその名を刻んだ。アメリカ人女性として1985年以来初めて、ボストン・マラソンを制したのだ。
リンデン選手は2012年のロンドン・オリンピック、2016年のリオ・オリンピックにもアメリカ代表として出場している。
2017年に行ったBusiness Insiderのインタビューで、リンデン選手は当初、マラソンは「常軌を逸した」競技だと思ったと語っている。しかし、オリンピックを目指す長距離走者のためのプログラム「Hansons-Brooks Original Distance Project」に参加してから、リンデン選手はマラソン界にその名をとどろかせてきた。
リンデン選手がBusiness Insiderに教えてくれた、マラソンを完走するためのいくつかのアドバイスを紹介しよう。
マラソンを走ると決めた理由を明確にしよう
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「多くの初心者は『マラソンはかっこいい』と思っています」リンデン選手は言う。「"やっておきたいことリスト"に載せたいのでしょう」
リンデン選手は、初めからフルマラソンに参加するよりも、まずは5キロや10キロといった短い距離で試してみることを勧めている。
「しっかりとした準備が整っていなければ、好きにはなれないでしょう」リンデン選手は言う。「マラソンと恋に落ちるチャンスを自分自身に与えてください。それは、レースに向け、忍耐強く、時間をかけて準備を積み重ねることで生まれるものです。そのプロセスが好きになれれば、一生を通じて走り続けることができます。本当に素晴らしいことです」
思い切って、申し込もう
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マラソンを完走したことのないランナーにとっては、大会に申し込むことで大きなモチベーションが得られるだろうとリンデン選手は言う。
申し込みをし、レースの参加費を払うことで、決心が固まるだろう。
自分にあった靴を選ぼう
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「見た目がかっこいいとか、値段が手ごろとか、目の前にあったからといった理由だけで選んではいけない」とリンデン選手は言う。
自分にあった靴を選びたいなら、ランニング・シューズに詳しい店に行くことをリンデン選手は勧めている。
Hansons-Brooks Original Distance Projectのメンバーであるリンデン選手は、Hansons-Brooksのシューズを履いている。
トレーニングでは、今に集中しよう
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「家を出たら『OK、この一歩、この1マイル、この瞬間を楽しもう』と思うことです」リンデン選手は言う。「やり残したことがどれだけあるかなど、人は後ろ向きな考えをしがちです。今、この瞬間に集中することが常に助けになります」
でも、やり過ぎはダメ
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トレーニングに一貫性は持ちたいものだ。リンデン選手は、トレーニングのやり過ぎや距離の伸ばし過ぎは、マラソン・ランナーに災いをもたらすと言う。
「一番避けたいのは、レースの8~10週間前に怪我をすることです」
健康的な食事でエネルギー補給を
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長距離走者にとって、十分なカロリーの摂取は必要不可欠だ。
「選択肢がどんなに限られていても、食べられるものは何でも食べます」リンデン選手は言う。
それでも、マラソンを走りたいランナーは「冷蔵庫や台所に置いておくものをしっかり見極める」べきだと言う。
リンデン選手は基本的に加工食品は避け、できる限り新鮮な自然食品を取るようにしている。
そして、レースの数日前からは、白米といった「シンプルな炭水化物」に切り替え、レース当日に胃の調子が悪くならないようにしているという。
睡眠時間をたっぷり取って、からだの回復を助けよう
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「睡眠は、回復の一番の手段です」リンデン選手は言う。「回復の最良の手段は、ベッドです。良く眠りましょう。それが次の日に向けて、からだを回復させます」
科学もこれを支持している。
2017年のセントルイス大学の医科大学院の論文は、「アスリートにとって、睡眠不足は怪我のリスクを高めるだけでない。睡眠は、怪我からの回復にも欠かせない」と指摘している。
大きなレースの前には、深呼吸でリラックスしよう
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「スタートラインに立つと、興奮せずにはいられません。これから大きなレースが始まるのだし、レース中に起こり得るさまざまな可能性を思えば、当然のことです」リンデン選手は言う。「ただ、こうした気持ちを抑えて、リラックスと集中をすることが必要です」
自分を甘やかしてはダメ —— マラソンを完走するのは簡単なことではない
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「どんなレースであれ、マラソンはきつい」リンデン選手は言う。「きついのはたまたまではありません。そもそも、きついものなのです。それでも素晴らしい経験をもたらしてくれるのです」
リンデン選手はマラソンの32キロ地点の前後から「頭」ではなく「心」で走り始めると言う。
「沿道の声援もエネルギーに変えることができます」リンデン選手は言う。
走り続けるのがしんどくなっても、自分の回復力を信じよう
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リンデン選手は、多くの人がマラソンを走ることで自身について学ぶと言う。
「思ったよりも自分はタフだったというのは、よく聞く話だ」リンデン選手は言う。「そこから立て直していける」
くじけそうになったら、トレーニングを思い出そう
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トレーニングは自分をどこまで追い込むことができるかを知り、その知識を42.195キロに生かすことだと、リンデン選手は言う。
「きつくなってきたら、『毎日やってきたことだし、そのときは大丈夫だった』と考えて、コツコツ努力し続けることです」
レースが終わったら、回復のために時間を取ろう
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「回復はフィニッシュラインを超え次第、始まります」リンデン選手は言う。
彼女は、レースが終わったら3分以内にエナジーバーやバナナ、ベーグルを食べることを勧めている。大半のマラソン大会は、食べ物を提供するブースを設けている。
その後は、十分な休息を取ろう。リンデン選手の場合、レースの後2週間はトレーニングを全くしないという。その時間が、次への目標に向かう原動力になるのだと、彼女は語っている。
(翻訳、編集:山口佳美)