中国の空母「遼寧」。
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- オーストラリア国防当局は、中国はバヌアツにおける軍事的影響力の拡大に「関心を示している」と考えている。オーストラリアの9Newsが伝えた。
- このニュースに先立ち、中国は南太平洋の国々に資金援助を行って建設した埠頭を、海軍基地に変える意図はないと否定するニュースが伝えられた。
- 太平洋における中国の影響力の拡大は、オーストラリアとの緊張をより高めることになりそうだ。
オーストラリア国防当局は、中国はバヌアツ共和国を足がかりに、南太平洋における軍事的影響力を拡大する意図を持っていると考えている。9Newsが伝えた。
中国はバヌアツにおける軍事的影響力の拡大に「確かな関心を示した」と、国防当局の高官は9News語った。バヌアツ共和国は80あまりの島からなり、オーストラリアの東、1750キロの位置にある。だがこうした発言内容、あるいは中国の影響力の実態については、不明点も多い。
オーストラリアのフェアファクス・メディア(Fairfax Media)は数週間前、バヌアツにある中国資本の埠頭を将来、中国の海軍基地とすることに関する話し合いがあったと伝えた。だが、バヌアツ、中国、オーストラリアの関係者はこの報道を公式に否定した。
オーストラリアのマルコム・ターンブル首相は、バヌアツ共和国のシャーロット・サルウェイ首相から、埠頭を基地にすることを許可するつもりはないとの言葉を受け取ってもいる。
「オーストラリアの国益にとって最も憂慮すべきことは、バヌアツに将来、海軍あるいは空軍の基地が作られ、中国にオーストラリアを脅かし、アメリカやグアムにあるアメリカ基地を出し抜き、地域の安全保障上の危機に際して情報収集を行う足がかりを与えることだ」とオーストラリア国立大学のローリー・メドカフル氏は記した。
中国は太平洋の島々に多額の投資を行っている。2006〜2016年にかけて、中国は218のプロジェクトを実施、援助総額は17億ドル(約1850億円)にのぼった。
オーストラリアは先行きを注視している。中国から資金援助を受けたものの、資金を返せなくなった国々は、完成した埠頭などの所有権を中国、あるいは中国企業に譲渡することになる。
「太平洋の平和と安定を維持することは、我々にとって何よりも重要」とターンブル首相。
「太平洋の国々やオーストラリアの近辺に外国の軍隊の基地が作られることに大きな懸念を抱いている」
中国とオーストラリアの間の緊張関係は依然として続いている。
2017年、ターンブル首相は、内政に対する中国の影響力への不安が高まっていることを受け、海外勢力の干渉の定義を広げ、規制する法案を提出した。中国はこの法案を批判、以来、両国は互いに批判を繰り返している。
またその後の報道によると、4月はじめ、南シナ海において中国は大規模な海上軍事パレードを実施、オーストラリア海軍に「対抗」姿勢を示した。
(翻訳、編集:増田隆幸)