セクハラ辞任次官の退職金問題。なぜ調査結果待たず辞任?佐川氏は自主的に一部返納

セクハラ発言を繰り返したと報道された財務省の福田淳一事務次官の辞任が、4月24日の閣議で承認された。財務省は約5300万円の退職金の支払いは留保し、調査を続けるとした。これまで、中央省庁の幹部が辞任する際は、あとで退職金の一部を自主的に返納させる対応が取られてきたが、手続きを細かくみると、いくつかの問題が浮かんできた。

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セクハラ発言問題による福田事務次官の辞任で渦中にある財務省。退職金の支払いは留保し、調査を続ける。

「自主的返納」の可能性

国家公務員法によると、公務員に問題のある行為などがあった場合、重い順に、次のような懲戒処分がある。

  • 懲戒免職
  • 停職
  • 減給
  • 戒告

財務省によれば、福田氏のケースでは、懲戒処分を決めるには調査が十分でないことから、辞任後も調査を続けるとの判断に至ったようだ。しかし、すでに辞めてしまった職員には、懲戒処分を出すことはできない。

内閣人事局によると、処分を受ける前に辞めてしまったとしても、在職中に懲戒免職を受けるような行為があったと認められた場合は、退職金の全部または一部を返納させることができる。なお、国家公務員退職手当法にこうした規定がある。辞める前に懲戒免職の処分を受けた場合は、原則として退職金は支給されない。

福田氏のケースでは、今後の調査で、セクハラ行為が懲戒免職にあたると判断できないときは、退職金を返納させることができず、「自主的な返納」について財務省と福田氏側が協議することになりそうだ。今後の調査次第ではあるが、現時点で明らかになっている飲食店でのセクハラ発言だけで、免職に相当するかは、他の事案とのバランスを考慮すると、難しいものがありそうだ。

退職留保もできたはず

では、問題行動が明らかになった公務員は、処分前に辞めてしまえば退職金を受け取れるかというとそうではない。

人事院は2005年8月、各省庁に対して「職員の不祥事に対する厳正な対応について」との通知を出している。人事院によれば、懲戒処分を受ける可能性がある職員から辞職願が出たときは、「ただちにやめさせるのではなく、事実関係を十分に把握したうえで、懲戒処分に付すなど、厳正に対処すること」を求めている。

通常、国家公務員が事件の容疑者などになった場合、「官房付」などに異動させたうえで、捜査や内部調査が終わるまで辞めさせない。

こうした例を尊重するならば、福田氏についても退職金の支払いの留保だけなく、退職も留保したうえで調査結果を待つのが手続きとしては適正だろう。

ただ、人事院の担当者は「次官や長官といったトップの人たちを降格させてどんな仕事をさせるのか。調査の結果が出るまで給与を払い続けるのが妥当かどうか、といった問題も生じる」と指摘する。

学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる混乱の責任を取るとして辞任した佐川宣寿前国税庁長官の場合は、辞任する際に3カ月間の減給20%という懲戒処分が出ている。関係者によれば、佐川氏は、退職金から減給分を自主的に返納することで合意しているという。

(文・小島寛明、滝川麻衣子)

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