Reuters
- ノルウェー中央銀行の副総裁は、同国が事実上のキャッシュレス社会だと考えている。
- ノルウェーでは、物理的な貨幣の使用は驚くほどまれで、現金を使った取り引きは10%以下だという。
- キャッシュレスは世界各地で広まっていて、イギリスでは40%近くの人々が将来、現金を全く使わなくなるだろうと見ている。
ノルウェーは事実上、世界初のキャッシュレス社会になった。同国の経済政策に詳しい政治家の1人が語った。
イギリスのロンドンで開催された国際的な金融サービス・フォーラム「シティ・ウィーク(City Week)」で、ノルウェー中央銀行の副総裁ジョン・ニコライセン(Jon Nicolaisen)氏は、同国における現金を使った取り引きは非常に少なく、キャッシュレスと言ってもいいほどだと主張した。
「現状はキャッシュレスと言ってもいいと考えている」ニコライセン氏は、紙幣の未来に関するディスカッションの中でこう述べ、数字を示した。
「我々の最新の数字によると、ブロードマネーのうち現金は3%以下だ」同氏は言う。「コーヒーを買うといった現金による取り引きは、全体の10%以下だ」
その上で、マネーは今、そのほとんどが電子的に送金されていて、ノルウェーの送金の90%が何らかの電子的な手段を通じて行われているという。
「いろいろな意味で、わたしたちの社会はすでにキャッシュレスになっている」同氏は続けた。
ニコライセン氏は、キャッシュレスの広まりは中央銀行の考えとは関係なく、日々お金を使うノルウェーの消費者の望みをシンプルに反映したものだという。
「我々に現金をなくしたいとの考えはない。他の支払い手段を選んだのは、国民自身だ」同氏は言う。
キャッシュレスが広まっているのはノルウェーだけではない。スカンジナビア半島全体で現金離れが進んでいる。2015年の初めには、スウェーデンでも実質的なキャッシュレス化が進み、物乞いをする人や大道芸人の中にはクレジットカードの取り扱い端末を持つ人まで出てきたとも言われている。
Business Insiderが2015年に書いているとおり、「スウェーデンでは、あまりに多くの現金を使うとテロリストや犯罪者ではないかと疑われ、銀行に通報されることもある」のだ。
ノルウェーとスウェーデン、そしてフィンランドはマネーの未来に対して、先進的な考えを持っていることで有名だ。フィンランドは国民に無条件で一定額を給付するユニバーサル・ベーシックインカムの社会実験を進めている。
キャッシュレスはイギリスでも進みつつある。Business Insiderの最新の調査によると、イギリス人の約40%が将来、現金を全く使わなくなると考えている。
世界全体としては、今後10年以内に現金が完全に姿を消す可能性があると、ニコライセン氏は言う。
(翻訳、編集:山口佳美)