ZOZOSUIT改良版の製造コストは1枚1000円、目指すは世界一という前澤社長の頭の中。

ファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するスタートトゥデイが4月27日、2018年3月期決算を発表した。売上高は984億円(同28.8%増)、営業利益が326億円(同24.3%増)、親会社株主に帰属する純利益が201億円(同18.3%増)の増収増益だった。取り扱う商品の総額を示す商品取扱高は、2705億円(前年同期比27.6%増)と、大幅の伸びを見せた。

同社の前澤友作社長は、2017年11月に発表した「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の生産がうまくいかず、数量を確保できずに出荷が大きく遅れたことを謝罪。改良版の自動体型採寸スーツを開発し、すでに配送を始めたことを明らかにした。

2018年1月に発表した、ZOZOSUIT着用前提で購入するプライベートブランドは、2021年度までに、売上高で初年度計画の10倍に相当する2000億円を計画しているという。

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ZOZOsuit

待望のZOZOSUITは突如、改良版が発表された。

出典:スタートトゥデイ

ZOZOSUITの抜本的変更

改良版のスーツは、これまでの近距離無線通信(Bluetooth)を用いて伸縮センサーの伸び具合を採寸する方式から、ドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影して読み取る方式に変更。

電子製品を使用しないことで電池切れの心配がなく、洗濯もできるようになり、ユーザーに大きなメリットが生まれる。大量生産が可能になり、コストも1000円と大幅に抑えることに成功した。2018年度(2019年3月期)に600万〜1000万着を無料配布する計画という。

この採寸スーツの仕様変更に伴い、改良前の設備投資や購入部材、投資した有価証券、センサー技術への前払金など、約40億円分を特別損失として計上した。

前澤氏。

初めての中期経営計画には、世界企業への道程が描かれている。この先が注視される。(1月30日撮影)。

撮影:今村拓馬

前澤社長は「これまでは国内のみに甘んじていた。次の5年、10年は世界に出ていくフェーズになる」とした上で、「オンラインSPA(製造小売業)業者として世界ナンバーワンを目指す」と長期目標を設定。

そのためには「グローバルアパレルの中でトップ10入りすることが必須」であり、「10年以内に時価総額5兆円」を達成すると語った。また、PBの海外売上比率を10年後に80%まで引き上げる考えを示した。

3年後に3倍

そうした長期計画の基礎となるのが、今回同社が創業以来初めて発表した中期経営計画の3年間で、具体的には、3年後の2021年に商品取扱高が7150億円、売上高は3930億円、営業利益は900億円と、いずれも2018年3月期実績の3〜4倍増を目指すという。

また、中期経営計画の期間、既存のBtoB事業について再強化を図ることや、検討を続けてきたゾゾタウン上での広告事業に着手することなどを明らかにした。

こうした計画を達成するインセンティブとして、同社は3年、6年、10年トランシェのストックオプション導入を検討しており、その90%以上を前澤社長に付与する計画だという。

在職期間中にあらかじめ決められた時価総額と売上高の条件を満たした場合に権利行使が可能になるもので、中期経営計画の3年間については、売上高3930億円、時価総額2兆円を達成すれば15万5000株。在職6年で時価総額3兆円なら9万3000株、10年で5兆円なら6万2000株を得られる。

(文・川村力)

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