高速・一般道「GW 渋滞回避」の正解は? 無料カーナビアプリ3種を試す

カーナビアプリを使ってみたところ

ゴールデンウィークの車移動には渋滞がつきもの。スマートフォンアプリで効率的に回避したい。

今年のゴールデンウィークもいよいよ後半。渋滞のピークは3日や5日と予想されている。最新の道路とリアルタイムの渋滞情報あわかるスマートフォンのカーナビアプリは大型連休の必携ツールともいえる。

とはいえ、どのアプリが、どの程度の「渋滞回避性能」を持っているのかは、なかなか見えづらい。使い勝手や機能を3つ横並びで比較してみた。

カーナビアプリは複数使い分けるのがベスト

カーナビアプリにおいて、誰でも使えるオススメのアプリは3つだ。

カーナビアプリのスクリーンショット

左から「TCスマホナビ」「Yahoo!カーナビ」「Google マップ」。

それぞれに一長一短があるが、共通するのはリアルタイムな渋滞情報が表示でき、無料で利用できること。

そして、どれかひとつに絞るよりも、利用者の好みや使い方に応じてアプリを使い分けることがベストだ。渋滞情報の“情報元”は実は3つとも別なので、全く違う情報を表示する可能性もある。

また、車載カーナビ機にはない、スマートフォンアプリの長所として、自分と家族などスマートフォンを複数用意できるのであればひとつに絞る必要もない。助手席の人のスマホで別アプリを動かし、助言してもらう方法も使える。

トヨタの車載カーナビのノウハウ満載の「TCスマホナビ」

TCスマホナビの案内画面

TCスマホナビの案内画面。混雑していない道は水色で表示する。

TCスマホナビはトヨタが開発している。特にユーザー登録も必要ないので、ダウンロードしてすぐ使える。渋滞情報はトヨタ独自に生成したプローブ交通情報となっており、渋滞情報を元にしたルート検索が可能だ。

TCスマホナビのスクリーンショット

左が夜間の表示、右が広域表示。広域表示にすると高速道路の渋滞箇所だけ赤で表示する。

TCスマホナビの画面

東京・銀座の夜間の様子。細かな通りの渋滞情報まではないが、一方通行路はわかりやすく表示している。

ルートの引き方は一言で言えば「無難」。主に幹線道路を使い、走りやすい道でルートを案内する。場所を良く知る地元の人には不満のルートかもしれないが、慣れない場所で主な道路優先で案内してくれるのは、走っていて安心感がある。交差点の3D地図の表示箇所も多めだ。

また、起動中は画面がスリープにならないのでルート検索せず現在地に合わせた地図だけ表示し続けることもでき、まさに普通のカーナビ。電波の届かない場所でも使えるオフラインモードも持っている。

気になる点は起動時間が長めなことと、スリープしないため電池消費量が多めになりがちなところ。使い終わったら自分でアプリを止めることを忘れないようにしたい。

JARTIC交通情報を地図上で表示できる「Yahoo!カーナビ」

CA

左は運転力診断、右は昼間の情報を表示。Yahoo!カーナビはルート走行して目的地に到着すると、運転力診断結果が点数で表示される。家族に運転の上手さをアピールしたい。

Yahoo!カーナビはYahoo! IDの登録なしでも使えるが、ログイン後はJARTIC(日本道路交通情報センター)の交通情報がネットから取得できるのでIDの登録がオススメだ。交通情報はJARTICの情報なので、ただ渋滞していると表示されるだけでなく規制情報もわかる。

Yahoo!カーナビ

夜間は自動的に暗い表示になる。広域表示にしていくと高速道路のみ渋滞情報表示となる。詳細表示にズームインすると一般道の渋滞情報も表示する。

Yahoo!カーナビ

東京・銀座の夜間の様子。渋滞情報を表示している。一方通行の矢印はあまり目立たない。また、アプリ内では交通情報をニュースとして適宜配信している。チェックしたほうが良い

ルートは無難だが、幹線道路ということをあまり考慮せずに道案内することが多い。JARTIC交通情報のほか、ユーザーの走行時間情報を活用して渋滞かどうかを表示するプローブ情報も一部表示する。有料道路入口などでは、その場の景色を含めた3D地図の表示もある。

そして、Yahoo!の各情報へのリンクが多く、天候や人の密集具合、お店の情報などもカーナビアプリから呼び出すことができる。

加速度センサーを使った運転力診断機能があり、同乗者に運転が下手と文句を言われないためにも、点数は確認しておきたいところだ。

走行データが圧倒的な「Google マップ」

Google マップ

Googleマップの地図表示を見ただけで、情報の緻密さがわかる。渋滞の速度も表示しているのでわかりやすい。右は、東京・銀座の夜間の様子。

スマートフォンの位置情報などをもとに集めた走行データが圧倒的なのが「Google マップ」。Android端末には標準装備のアプリだが、iPhoneでもApp Storeからダウンロードできる。

最大の特徴は、スマートフォンの位置情報などグーグルが収集したビッグデータを元にした、圧倒的な情報量。他のナビアプリでは全く情報がない道でも、渋滞情報が得られることは心強い。

通常の渋滞情報が「混雑」「渋滞」の2つのステータスしかないことに対し、Googleマップなら全く動かないような渋滞はさらに色濃く表示するので、本当に避けるべき渋滞の判断ができる。

DB

銀座でもズームインすると詳細な道まで渋滞情報を表示している。真っ赤になった道に迷い込まないように注意したい。Android版のGoogle マップでは「運転モードを開始」とすることで、ルート設定なしでも画面のスリープなしに地図を表示し続けることが可能(写真右)。

ルートはひと言で言えばアクロバティック。通行実績などから判断していると思われるが、渋滞箇所があれば、裏道で先回りするようにすぐ促され、入っていくのをためらうほどの細い道へ曲がれと指示がくることもある

ただし、今まで知らなかった抜け道を教えてくれることもあり、比較的土地勘のある場所で使うと、渋滞回避に効果的だ。

ルートはアクロバティックだが、それでも大丈夫というのなら、複数ルートが一度に画面表示されて到達時間の差もわかるためGoogleマップだけに従うのも悪くない。

なお、ルート検索なしにカーナビ画面を表示しっぱなしにすることはAndroidでは「運転モードを開始」としてできるが、iPhoneでは非対応というのが残念だ。

用途やシチュエーションで使い分けよう

では、実際にどのように使うかと言えば、

  • 情報を得るなら「Google マップ」
  • きちんと道案内されて走りたいなら「TCスマホナビ」や「Yahoo!カーナビ」

という使い分けになると思う。残念ながらGoogle マップの道案内は走りにくいルートで案内されることが多いからだ。

少し凝った使い方だが、同乗者から借りるなどしてスマホを2台用意して、GoogleマップとTCスマホナビの2台を同時にルート検索して走行するという方法もある。通常はTCスマホナビの案内に従い、渋滞を見つけたときだけGoogleマップのルートに乗るように回避、その後は再びTCスマホナビの案内に従う、という使い方だ。

実は、この方法は筆者が日常で実践している。都市部などではTCスマホナビとGoogleマップのどちらに従うかを判断しながら進んで行くのだ。

位置情報の取得方法とバッテリーに注意

スマホのバッテリー表示

カーナビアプリは電力を多うため、バッテリーの残量に気をつけたい。

撮影:小林優多郎

カーナビアプリを使う上での注意事項がいくつかある。

GPS主体で位置を特定するので、GPS信号の取得が難しいビルの谷間などでは不正確になりやすいが、これは仕様と思ってあきらめるしかない。ただし、都市部では近隣のWi-Fiのアクセスポイント情報から位置情報を補完できるので、Wi-Fi設定も必ずオンで使用したい。

そして、使用中はバッテリーの消費が激しいので、充電アダプターを使うなどして電源を確保したほうがいい。

百均のスマートフォンホルダーなども活用

100円均一のスマートフォンホルダー

ホルダーは絶対に利用したいアイテム。下辺が隠れてしまい、手に持たないとアプリの操作出来ないものもあるので慎重に選びたい。

スマートフォンを手に持ったままの走行はあり得ないので、ホルダーは絶対に必要だ。100円ショップのカー用品コーナーのものでもあるだけでぐっと使いやすくなる。

ホルダーを選ぶ際は横幅に注意し、横幅が狭いものではiPhoneでも大型の「Plus」シリーズやAndroidスマートフォン、分厚いジャケットを装着しているとはまらないものがある。

また、ケータイの支え方にも注意。下辺を覆うようなタイプでは肝心な操作部分にタッチできなかったり画面が隠れたりする。

そして、充電器も必要。これも100円ショップにあり、いいものが見つかれば充電器、充電ケーブル、ホルダーの3点を300円(税別)で済ませられる。

渋滞が予想される連休後半は、スマートフォンを駆使して、少しでも快適な移動につなげよう。

(文、撮影・正田拓也)


正田拓也:PCとの関わりは8ビット機やBASIC全盛の時代から。Windowsとの深い関わりは小規模企業の兼任システム管理者時代から。その後、Wab媒体記者などを経てフリーライターへ。得意分野はPC全般からハンダゴテを使った自作系、通信系、電気工事系まで。

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