武田薬品:過去最高6兆円超の買収額は「危機感の大きさ」 —— 超大型買収とNY上場で挑む世界

企業買収を得意とする武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアーを買収することで合意した。買収額は約460億ポンド(約6兆8000億円)となり、日本企業による合併・買収(M&A=Mergers&Acquisitions)では過去最高となる。2019年上半期中にシャイアーの買収を完了させた後、武田は株式をニューヨーク証券取引所に上場する予定だ。

クリストフ・ウェバー武田薬品CEO

武田薬品・CEOのクリストフ・ウェバー氏。

REUTERS/Hannibal Hanschke

企業買収では多くの日本企業が買収成立後の統合プロセスなど(ポスト・マージャー・インテグレーション=PMI)で苦戦を強いられ、買収におけるリスクは依然として大きい。それでも、武田が大型買収を続ける真の狙いは、世界のメガ製薬企業と競い合うために世界の「タケダ」になることだろう。

「買収規模の大きさは危機感の大きさの裏返しではないだろうか」と話すのは、M&Aの助言を行うフロンティア・マネジメントの常務執行役員・光澤利幸氏。

光澤氏は「今回のメガディールは、脱日本を目指し、真のグローバル企業を狙う国内の産業界全体にとって大きな意味がある。現に、今回の武田の大型買収には資金面で日本の金融機関がサポートしている」とした上で、「武田がこの買収におけるPMIを乗り越えれば、他の日本企業はそこから多くを学ぶことができるだろう」と話した。

日本企業によるM&A金額トップ5(単位:$million)

ランキング 買収者 買収ターゲット 金額 発表日 状況
1 武田薬品 Shire Plc83,590 2018年4月保留
2 三菱東京フィナンシャル UFJ銀行 62,875 2005年2月 完了
3 ソフトバンク Sprint Nextel 36,142 2012年10月 完了
4 ソフトバンク ARM Holdings 31,792 2016年7月 完了
5 住友銀行 さくら銀行 26,004 2000年4月 完了

(出所:Dealogicが集計したデータを基にBusiness Insider Japanが表を作成)

武田が2018年5月8日に開示した資料によると、今回の買収で、シャイアーの株主はシャイアー株式1株あたり30.33米ドルの現金と武田が新たに発行する0.839の株式、または1.678のアメリカン・デポジタリー・レシート(ADR=米国預託証券)のいずれかを受領するという。

武田は同日、買収資金の一部として、三井住友銀行と三菱UFJ銀行、JPモルガン・チェース・バンクの3行から総額308.5億ドル(約3兆3600億円)のブリッジローン(短期間に限定したつなぎ融資)契約を締結したと発表。正に日本のメガバンク2行がメガファイナンスを提供して、メガ製薬企業になるためのメガディールを後押しした格好だ。

武田のCEO・クリストフ・ウェバー氏は資料の中で、「世界中の患者さんに革新的な医薬品と治療法を届けることができる、機動的で研究開発型のグローバル製薬会社へと変革を遂げてきた……さらに強いタケダへの変革を加速する」と述べた。ウェバー氏は5月9日、武田の東京オフィスビルで記者会見を開く予定だ。

武田が過去に買収した主な製薬企業

  • 2017年 米・アリアド(約6200億円)
  • 2011年 スイス・ナイコメッド(約1兆1000億円)
  • 2008年 米・ミレニアム(約9000億円)

(文・佐藤茂)

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