Michael Seto/Business Insider
- アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は「人間を消耗させるフレーズ」だと考えている。
- 仕事と人生はトレードオフだと考えるべきではないというのが、ベゾス氏がアマゾンの新入社員に送る最大のアドバイスの1つだ。
- 同氏は、仕事と私生活は天秤にかけるものではなく、1つの「環」をなすものだと考えている。
アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は、「ワーク・ライフ・バランス」というフレーズが嫌いだ。
「アクセル・シュプリンガー・アワード2018」を受賞したベゾス氏は、その受賞イベントで、アマゾンの新入社員に送る驚くようなアドバイスを明かした。
同氏は、アマゾンの新入社員について、仕事と私生活の間で「バランス」を取ろうとするのはやめるべきだと考えている。バランスを取るということは、この2つが一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないトレードオフの関係にあることを意味するからだ。仕事と仕事以外の生活は、よりホリスティックな関係にあるというのがベゾス氏の考えだ。
史上最も裕福な人物と言われるベゾス氏は仕事に対し、ユニークなアプローチを取っている。毎朝家族と朝食をともにし、就寝時には目覚まし時計をセットせず、ミーティングの予定は驚くほど少なく、毎日皿洗いの時間を確保しているのだ。
仕事と私生活の健全な調和を保つこの驚くようなアプローチは、ベゾス氏が自社の従業員に送る最大のアドバイスの1つだ。
「ワーク・ライフ・ハーモニー……つまり仕事と人生の調和を図るというのは、わたしがアマゾンの若い従業員や上級幹部に教えようとしていることだ。とりわけ新しく入ってくる人たちに」ベゾス氏は語った。「ワーク・ライフ・バランスについてよく聞かれるが、わたしに言わせれば、それは人を消耗させるフレーズだ。なぜなら、そこには明らかなトレードオフが存在することになるからだ」
仕事と私生活は天秤にかけるものと考えるよりも、2つは互いに組み合わさっているものと見る方がより生産的だと、ベゾス氏は言う。
「天秤にかけるものではなく、実際には1つの環をなしているのだ」
ベゾス氏にとって自身のキャリアと私生活は互いを補い合う関係にあり、この2つを対立する時間的制約として区別することはしないのだと言う。
「家庭で幸せな時間が過ごせていれば、エネルギーに満ちた状態でオフィスに来ることができる」ベゾス氏は言う。「そして、職場で幸せな時間が過ごせていれば、やはりエネルギーに満ちた状態で家に帰ることができる。どんな職場にもミーティングにやって来たとたんにその場のエネルギーをゼロにしてしまうような人がいる。誰もそんな人間にはなりたくないはずだ。オフィスに入ってきただけで、全ての人に活力を与えられるような人間でありたいだろう」
(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:山口佳美)