フィリピン政府が計画している無公害都市「New Clark」の完成イメージ。
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フィリピンの首都マニラは超過密都市で、渋滞がひどいことでも知られている。カーナビアプリを提供するウェイズ(Waze)が2016年に実施した調査で、マニラは「地球上で最も渋滞している」都市とされた。
主要な交通手段が車に限られていることも、大気汚染問題を悪化させている。
マニラのスモッグと渋滞の解決策として、フィリピン政府は全く新しい、より持続可能な都市「New Clark」の開発を計画している。
開発費用は140億ドル(約1兆5000億円)、面積はマンハッタンを超える。ドローン、自動運転車、ビルの水とエネルギーの使用量を減らすテクノロジー、巨大なスポーツ複合施設、多くの緑地などが導入される。
「New Clark 」を詳しく見てみよう。
機能別に5つの区域 —— 行政、ビジネス、教育、農業、娯楽 —— に分けられる。
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具体的な設計はこれから。開発企業は、環境の持続可能性と気候変動への対応力を優先させると語った。
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海抜は最も低いところで184フィート(約55メートル)、洪水の心配はなさそう。
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建物にはエネルギーと水の使用量を減らすテクノロジーを導入。
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街を走る自動運転車はCO2を排出するガソリン車ではなくEV。
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さらに、巨大なスポーツスタジアムと農産加工団地を整備。
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開発企業のBCDAグループとSurbana Jurongは2022年に建設を開始する予定。
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新都市はマニラの過密状態を緩和する「双子都市」となると、Surbana JurongのCEO、Heang Fine Wong氏はCNBCに語った。
年末の買い物で混み合うマニラのマーケット。2017年 12月29日。
Reuters
出典:CNBC
「マニラは徐々にこれまでと違うタイプの都市になる。New Clarkには新しいテクノロジー企業が集まるだろう」と同氏。
たくさんの人が行き交うマニラの通り。2014年11月27日。
Getty Images/Clive Brunskill
New Clarkのビジョンはまさにユートピアのよう。
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壮大な計画だが、いくつかの問題に直面している。例えば、New Clarkに移住するようマニラの住民を説得しなければならない。新しい鉄道ができれば、2つの都市を移動する時間は半分になる。
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またフィリピンの経済成長はうまく行っていない。新都市の開発には膨大な費用がかかる。Wong氏によると、官民のパートナーシップがプロジェクトを財政面から支援する。
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近年、世界各国、特に中国で非現実的な都市開発計画が発表された。実現したプロジェクトの多くは、人を惹きつけることができず、ゴーストタウンとなった。
中国・天津市の開発地域。
Zhang Peng/LightRocket via Getty Images
天津市の開発地域は「中国のマンハッタン」を目指したが、ほとんどが建設途中で放置され、人はほとんどいない。
新都市の建設が既存の問題を解決することはほとんどない。だが、計画を作ることは、都市プランナーにとって、何ができるかを想像する手助けになるだろう。
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[原文:The Philippines is planning a $14 billion 'pollution-free' city that will be larger than Manhattan]
(翻訳:R. Yamaguchi、編集:増田隆幸)