再生可能エネルギーにシフト、中国の巨大水上太陽光発電所

ソーラーパネルを水上に浮かべるためのフロートを運ぶ作業員。

ソーラーパネルを水上に浮かべるためのフロートを運ぶ作業員。

Kevin Frayer/Getty Images

中国は大気汚染が最もひどい国の1つ。いくつかの都市は常に厚いスモッグに覆われ、毎年、数千人の死者が出ている。

複数の調査によると、中国の大気汚染関連死の主な原因は石炭

大気汚染を改善するため、中国政府は少なくとも3600億ドル(約39兆円)をクリーンエネルギー・プロジェクトに投資し、2020年までに再生可能エネルギー関連で1300万の雇用を創出することを目標に掲げた。

中国の最新のエネルギー関連の巨大プロジェクト—— 安徽省にある2つの巨大な太陽光発電所、うち1つは5月から稼働 —— は、中国をそのゴールへ近づけるかもしれない。

見てみよう。

大気汚染関連死をめぐる懸念の高まりを受け、中国は再生可能エネルギー・プロジェクトへの投資を拡大しようとしている。

中国のエネルギー企業サングロウ・パワー・サプライ(Sungrow Power Supply)が建設中の巨大水上太陽光発電所の近くにある国営の石炭火力発電所の外にある市場。中国・安徽省。2017年6月14日。

中国のエネルギー企業サングロウ・パワー・サプライ(Sungrow Power Supply)が建設中の巨大水上太陽光発電所の近くにある国営の石炭火力発電所の外にある市場。中国・安徽省。2017年6月14日。

Getty Images

最新の調査によると、石炭が引き起こす大気汚染によって2013年、36万6000人が若くして死亡した。

2017年末、中国は爆発によって崩壊し、水没した炭鉱跡に巨大な水上太陽光発電所を建設した。

建設中の写真。2017年6月13日。

建設中の写真。2017年6月13日。

Getty Images

2017年5月に稼動を開始した太陽光発電所は、16万6000枚のパネルを使って、1万5000世帯に供給するのに十分な40メガワットを発電できる。

パネルを整える作業員。2017年6月13日。

パネルを整える作業員。2017年6月13日。

Getty Images

出典: The South China Morning Post

現在のところ世界最大の水上太陽光発電所で、最大25年操業可能。

2017年6月13日。

2017年6月13日。

Kevin Frayer/Getty Images


中国のエネルギー企業サングロウ・パワー・サプライ(Sungrow Power Supply)が、炭鉱跡にできた湖に発電所を作った。

湖ができたのは10年以上前。発電所の近くで船に乗る漁師。2017年6月15日。

湖ができたのは10年以上前。発電所の近くで船に乗る漁師。2017年6月15日。

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爆発で鉱山が崩壊し、湖ができた。

後ろに見えるのはこの漁師の家。鉱山の爆発で洪水となり、今は水の中。

後ろに見えるのはこの漁師の家。鉱山の爆発で洪水となり、今は水の中。

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ガーディアンが記したように、湖や貯水池の上に太陽光発電所を建設することで、地元の農地や野生生物を守ることができる。

2017年6月13日。

2017年6月13日。

Getty Images

出典: The Guardian

湖の水がソーラーパネルを冷やし、発電効率も高まる。

中国・安徽省にある巨大な水上太陽光発電所。

Getty Images

フロートを使ってソーラーパネルを水に浮かべる。

中国・安徽省にある巨大な水上太陽光発電所。

Getty Images

2017年12月、中国長江三峡集団公司が、さらに大きな水上太陽光発電所の建設を開始。

水上太陽光発電所

Getty Images/People's Daily

場所は同じく安徽省、総工費1億5100万ドル(約165億円)の発電所は最大150メガワットを生み出し、約9万4000世帯に供給可能。

水上太陽光発電所

Reuters

新しい発電所は2018年5月に稼働予定。

水上太陽光発電所

Reuters

中国が「大気汚染との戦い」を開始してから、4年目。中国はこの戦いで大きく前進している。

中国大気汚染。

Getty Images

中国国内200カ所以上に設置したモニターを調べたところ、健康被害が最も大きいと考えられている汚染物質、微小粒子状物質の濃度は2013年と比較して平均32%減少していることが明らかになった。

中国・安徽省ジョ州市でソーラーパネルを点検する作業員。

中国・安徽省ジョ州市でソーラーパネルを点検する作業員。

Reuters

河北省ケイ台市は最も濃度が下がった。低下率は52.2%。

太陽光パネル

Getty Images

研究者によると、このまま大気汚染を緩和できれば住民の寿命は2.4年延びる。

中国はすでに、太陽光、風力、水力といった代替エネルギーにおける世界最大の投資家となっている。

水上太陽光発電所

Getty Images

出典: The Guardian

2つの新しい太陽光発電所は、中国をはじめ世界各国における石炭などの化石燃料の緩やかな衰退を意味している。

中国・安徽省にある巨大水上太陽光発電所。

Getty Images

2015年、スウェーデンは化石燃料の使用を段階的に廃止し、太陽光、風力、スマートグリッド、よりクリーンな移動手段への投資を強化し始めた。ニカラグアも同年、2020年までに再生可能エネルギーの割合を53%から90%に引き上げることを目標に掲げた。

中国は石炭からの離脱を図った大国の1つ。2017年、13の省で進行中だった104の新たな石炭火力発電所の開発を取り止めた。

中国の安徽省では、石炭火力発電所や太陽光発電所近くの市場に露店と客が集まっている。

中国の安徽省では、石炭火力発電所や太陽光発電所近くの市場に露店と客が集まっている。

Kevin Frayer/Getty Images

アメリカの化石燃料への依存度は10年前に比べれば低下している。だが、トランプ大統領は苦戦続きの石炭業界の活性化を約束している。

石炭産業

Daniel Berehulak /Getty Images

2018年1月中旬には、輸入品の太陽光パネルに30%の関税を課すと発表、関税は今後4年間で約15%にまで軽減される。トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」政策の一部である関税措置は、アメリカの太陽光業界に打撃を与える可能性がある

現在、石炭は依然として世界の電力生産の40%以上を担っている。しかし専門家は、その数字は今後10年以内にピークを迎え、その後、低下すると見ている。

中国・安徽省淮南市の国営の石炭火力発電所。

中国・安徽省淮南市の国営の石炭火力発電所。

Getty Images

出典: IEABloomberg

そして、太陽光や風力といったクリーンエネルギーは石炭をしのぐほど安価になるだろう。

カリフォルニア州ロサンゼルスのアパートの屋根に設置されたソーラーパネル。

カリフォルニア州ロサンゼルスのアパートの屋根に設置されたソーラーパネル。

Thomson Reuters

[原文:China's latest energy megaprojects show that coal is really on the way out

(翻訳:R. Yamaguchi、編集:増田隆幸)

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