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- アメリカのアマゾンと住宅建設大手のレナーは9日(現地時間)、いわゆるスマートホームの建設を両社が協力して進めることを発表した。
- これらのスマートホームは、アマゾンの音声AI「アレクサ(Alexa)」の技術をフルにいかした住宅になる予定で、住人はテレビや照明、サーモスタット(温度自動調節器)、カーテンといった家の中のさまざまなものをアレクサを通じてコントロールすることができる。
- アマゾンの新たな業界への参入は競合他社の市場価値に大きな影響を与えてきたが、住宅建設関連株は比較的落ち着いている。
世界を支配するために、アマゾンはあらゆる手を尽くしている。
同社が進出を目指す最新の"未知の領域"が明らかになったのは9日、住宅建設大手のレナーとの協力を発表したときだ。両社はアマゾンの音声AI「アレクサ」を活用したいわゆるスマートホームを共同で開発する。
2社は「アマゾン・エクスペリエンス・センター(Amazon Experience Center)」と呼ばれるショールームを置いて、家庭生活で有用なアマゾンの多様なテクノロジーを紹介する。同社のプレスリリースによると、音声アシスタントのアレクサだけでなく、商品の自動配達、プライムビデオやプライムミュージックといったエンターテインメントもこれに含まれる。
興味のある消費者は、見学することが可能だ。ショールームはすでにアトランタ、ダラス、ロサンゼルス、マイアミ、オーランド、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンD.C.でオープンしていて、アレクサの技術をフルにいかした住宅がどのようなものか体験できる。テレビや照明、サーモスタット、カーテンといった家の中のさまざまなものをコントロールできるのだ。
2社の共同開発は一見、物珍しく映るかもしれない。だが、新規参入に対するアマゾンの積極的な姿勢を考えれば、驚くことではない。
アマゾンは2月、UPSやフェデックス(FedEx)のような配達サービスを独自に立ち上げる考えを示した。そのひと月前には、JPモルガン、バークシャー・ハサウェイとともにヘルスケア分野への進出を発表していたし、2017年6月にはホールフーズ(Whole Foods)を137億ドルで買収すると発表した。
そして、これは始まりに過ぎない。
これら全ての発表に共通するのは、業界関連株が発表直後に下落し、数十億ドルが失われてきたということだ。
だが、9日の発表後、住宅建設関連株に大きな影響は見られない。
確かに業界大手のDRホートン(DR Horton)、トール・ブラザーズ(Toll Brothers)、パルトグループ(PulteGroup)は9日、3%以上下落した。だが、資産管理会社ロバート・W・ベアードのマイケル・アントネリ(Michael Antonelli)氏は、これはアマゾンの動きを恐れてというよりも、材木費の高騰や金利上昇の影響によるものだと指摘する。
アマゾンと協力することで、長期的にはレナーにもプラスになると同氏は見ている。
「まず間違いなくアドバンテージになるだろう」アントネリ氏はBusiness Insiderの電話取材に答えた。「住宅購入の新たな世代はミレニアルだ。アレクサやその他のガジェットをフル装備した家を見せれば、彼らは熱狂するだろう」
アマゾンの株価は2018年に入って約36%上昇している。
(翻訳、編集:山口佳美)