au初の“4K”Xperia、 デュアルレンズ搭載「Xperia XZ2 Premium」は買いか?

Xperia XZ2 Premium

例年とは異なり、4K解像度ディスプレー搭載の新型Xperiaは国内で初めてKDDIから発表された。

ソニーモバイルは、最新フラッグシップスマートフォン「Xperia XZ2 Premium SOV38」をauから発売する。発売時期は8月中旬以降を予定、価格は未定となっている。

auとしては念願の「Premium」なXperia

Xperia XZ2 Premium

Xperia XZ2 Premiumは5.8インチの4K解像度(3840×2160ドット)液晶を搭載する。

Xperia XZ2 Premiumは4K解像度液晶を搭載したXperiaの最上位クラス「Premiumシリーズ」の3代目にあたるモデル。Premiumシリーズはいままで、ドコモと、ソニーのグループ会社であるソネット(ソニーネットワークコミュニケーションズ)のnuroモバイルでのみ販売されており、auとしては初めての取り扱いだ。

KDDI 大井龍太郎氏

KDDI 商品・CS統括本部 商品企画本部 プロダクト企画部長の大井龍太郎氏。

今回のPremium採用に関して、KDDIの商品企画本部プロダクト企画部長の大井龍太郎氏は、「(KDDIでもPremiumシリーズを発売してほしいという)お客様の要望は非常に多く、今回お取り扱いさせていただいた」と語り、“事実上のドコモ専売”を嘆くauユーザーの声が大きかったことを明かした。

気になるのは、ドコモの動向が不明な現時点で最速の取り扱い表明となった待望のXperia XZ2 Premiumが、「買いの端末」なのかどうかということだ。

XZ2 Premiumの気になるポイントは以下の3つだ。

  • 暗い場所でも明るく撮れるXperia初の背面デュアルカメラを搭載
  • カメラを含めハードウェア的な新要素も多いが、一方で本体サイズは大きくなった
  • カメラのフル機能の実装が「発売日以降」のアップデートなど、未成熟な部分もある

フラッシュ要らずの高感度撮影がすごい

Xperia XZ2 Premiumの背面

Xperia XZ2 Premiumは、同シリーズとしては初の“背面デュアルカメラ”を搭載する。

Xperia XZ2 Premiumの最大の特徴は、なんといっても同シリーズ初となる背面デュアルレンズカメラの搭載だ。アップルやファーウェイをはじめ、グローバルでは背面に2つ以上のカメラを載せる端末が「当たり前」となりつつある。ソニーはカメラ機能に欠かせないイメージセンサーの開発・製造を自社で行っているが、自社端末への搭載は初。満を辞しての登場だ。

XZ2 Premiumの背面カメラは、一方が約1220万画素のモノクロセンサー、もう一方が約1920万画素のカラーセンサーで、2つのセンサーの情報を掛け合わせることで、暗所でもキレイな写真を撮影できる。

Xperia XZ2 PremiumとXperia XZの比較

Xperia XZ2 Premium(写真上)と2016年11月に発売された「Xperia XZ」(写真下)の暗所撮影のデモ。XZ2 Premiumの方が明るく撮れているのがわかる。

また、その「データを掛け合わせる」という部分にも、いままでのXperiaにはない工夫を施してある。それが新型画像処理プロセッサーである「AUBE(オーブ)」だ。AUBEはリアルタイムでのデータ融合を得意としており、XZ2 Premiumはその恩恵で、動画撮影時の“※ISO感度 最大12800”という世界最高峰(同社調べ)の超高感度動画撮影を特徴としている。

※ISO感度とは:
カメラが集められる光の度合いのこと。一般的に値(感度)が高いほど明るい写真が撮れる。一方、一般にISO感度が高くなるほどノイズは発生しやすく、いかに高感度でも低ノイズに抑えるかは、カメラ機能における技術開発のポイントの1つ。

新機能搭載でPremium史上「最大サイズ」のボディーに……

Xperia XZ2 PremiumとXZ Premiumの比較

Xperia XZ2 Premium(写真左)は、日本で発売されているXperiaの中では最大だった「Xperia XZ Premium」(写真右)より大きい。

Xperia XZ2 Premiumの実機を持ったときの率直な第一印象は「大きくて重い」だった。筆者は、2代目Premiumである「Xperia XZ Premium」を使っているが、それでも手にずっしりとしたものを感じた。

それもそのはずで、今回のXZ2 Premiumは重さにして従来比で約43g増の約235g、厚さは1.5倍にあたる11.9mm(それぞれ暫定公称値)と、相当な「巨大化」をしているからだ。

大型化の背景には、デュアルカメラの搭載、新型のバイブレーションシステムなどのハードウエア的な要素を凝縮した結果、という側面がある。

Xperia XZ2 PremiumとXZ Premiumの比較

Xperia XZ Premium(写真下)からXZ2 Premium(写真上)で厚くなったが、ヘッドホンジャックは廃止された。

Xperia XZ2 PremiumとXZ Premiumの比較

Xperia XZ2 Premium(写真上)では、従来まで右側面にあった指紋センサーが背面に移動している。

肝心の「デュアルカメラ」を生かした背景ボケ撮影は後日アップデート

ソニーのデュアルカメラ

最高峰のカメラ&映像体験を両立させたいなら、他の端末を買うという選択肢はなくなる。

また、現時点ではXZ2 Premiumのカメラ性能自体の総合評価も難しい。“デュアルレンズスマートフォン”の代表的な機能と言える被写体の背景をぼかす「背景ボケ機能」(いわゆるiPhoneで言う「ポートレートモード」)と、白黒写真を撮る「モノクロ機能」が「ボケとモノクロ撮影機能は発売後の8月下旬以降に提供予定」(Xperia担当の説明員)で、ボケ機能が未実装のまま発売されるからだ。

Xperia XZ2 Premiumの未実装機能

Xperia XZ2 Premiumのカメラの“本気”を体験するまで、2018年夏のスマートフォンNo.1を決めるの早い。

発表会場では「実装後の出荷ではだめだったのか」との質問もあったが、それに対しては「実装後の出荷も可能だが、その場合は発売時期がより遅くなってしまう」と応えている。ボケ機能を後日アップデートでの対応とした背景は、発売日を少しでも早めるというマーケティング的な側面を重視した結果ともとれる。

日本国内のシェア争いにおいて、シャープが肩を並べる状況まで追い上げており、中国メーカーのファーウェイも意欲的な端末を用意している。そんななかで勝負の端末であるXZ2 Premiumをどう作り込んでいくのか。auの新製品発表会時点では、Xperiaにまだ明確な強みは見えない、そんな印象が強く残った。

関連記事:iPhone最大の国内競合はXperiaではなく「AQUOS」に? 急成長するシャープ端末

(文、撮影・小林優多郎)

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