医療用大麻を製造するカナダのキャノピー・グロースは、ニューヨーク証券取引所への上場を申請した。
Andrew Szeto for Tweed Inc.
キャノピー・グロース(Canopy Growth)は、企業価値で見ると世界最大級の医療用大麻製造企業。同社は5月14日(現地時間)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場に向け、アメリカ証券取引委員会に申請書類を提出、証券コード「CGC」で取り引きを開始する予定と発表した。
NYSEへの上場申請を行ったカナダの医療用大麻製造企業は同社が初。だが、同業種の上場は初めてではないとCBCは伝えた。同社の競合、カナダのクロノス・グループ(Cronos Group)は2018年2月、NASDAQに上場した。
2014年創業のキャノピー・グロースは、医療用大麻のP&Gと称している。複数のブランドを傘下に置き、ユーザーの好みに合わせた製品を展開。カナダの約27万人の登録済み医療用大麻ユーザーの約3分の1に製品を提供している。
キャノピー・グロースの本社を見てみよう。
キャノピー・グロースはカナダ中に大麻栽培用の温室を所有している。本社はオンタリオ州スミスス・フォールズという小さな町にある。以前はハーシーチョコレートの工場だった。
Andrew Szeto/Tweed, Inc.
同社はカナダの医療用大麻ユーザーの約3分の1に製品を提供。世界初の“大麻ユニコーン”と評価されている。
Andrew Szeto/Tweed, Inc.
出典:Health Canada, CBC and Business Insider
同社CEOブルース・リントン(Bruce Linton)氏は大麻の栽培から、オイルや他の製品の加工、配送用の包装など、全てを1社で行う方が品質管理を徹底できると考え、会社を設立したと語った。
Andrew Szeto for Tweed Inc.
1社で全てを行う垂直統合の方が、中間コストを削減できるため、より安価に製品を提供できる。
ハーシードライブ1という住所にある42エーカーの元チョコレート工場を2016年1月、同社は660万ドルで購入した。
REUTERS/Blair Gable
キャノピー・グロースは以前、テナントとしてここを使っていた。
同社は医療用大麻製造企業を複数所有している。
Andrew Szeto for Tweed Inc.
そのうちの1社、Tweed Inc.はデザイナージーンズメーカーに間違えられそうな、お洒落なブランディングを展開。
Andrew Szeto for Tweed Inc.
Vert Medicalはフランス語圏の市場を意識、一方、Bedrocan Canadaは患者に受け入れられやすい医療機関風のテイスト。
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2000年以降、カナダ国民には医療目的のために少量の大麻を所有、栽培する権利が認められている。2014年、カナダ政府はキャノピー・グロースなどの企業に、重い疾病に苦しむ患者向けに医療用大麻を大量に製造する許可を与え始めた。
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カナダの合法大麻の市場は2020年までに65億ドルに成長すると見られている。これは2017年にカナダ国民がウイスキーなどの蒸留酒に費やした51億ドルを上回り、ワインの売上金額に迫る規模。
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だが同社のNYSEへの上場申請は、アメリカの投資家の関心を大いに集める可能性がある。同業のアメリカ企業は、連邦政府が大麻をまだ合法化していないため、国内の主要証券取引所に上場できない。
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出典:Bloomberg
ユニコーンとなったキャノピー・グロースの大きな成長は、より多くの国が大麻を合法化すれば、同社のような企業は世界中の市場に進出できるという考えに基づいている。
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同社はすでに製品をドイツとブラジルに輸出している。
「結局は政策の問題」と2017年にリントン氏はBusiness Insiderに語った。「セクシーな話でも、エキサイティングな話でもない。政策が整備されなければ、ビジネスチャンスもない」
Andrew Szeto/Tweed, Inc.
(翻訳:まいるす・ゑびす、編集:増田隆幸)