イスラエル軍が撃ち込んだ催涙ガス弾から逃げるパレスチナ人デモ参加者(ガザ地区南部、2018年5月15日)。
Ibraheem Abu Mustafa/Reuters
- イスラエル軍は武装していないパレスチナ人デモ参加者を狙撃用ライフルで撃ったことで、「越えてはならない一線」を越えたと、ある元イスラエル兵は語った。
- 14日(現地時間)には、エルサレムに新たに開設したアメリカ大使館をめぐり、ガザ地区とイスラエルとの国境沿いでパレスチナ人デモ参加者とイスラエル軍が衝突、60人のデモ参加者が死亡した。
- トランプ政権は、ガザ地区で暴力が発生したのはパレスチナのテロリスト集団ハマスのせいだと繰り返し、イスラエルの自衛権を支持した。
ある元イスラエル兵は、ガザ地区で武装していないパレスチナ人デモ参加者を狙撃用ライフルで撃ったことで、イスラエル軍は「越えてはならない一線」を越えたと語った。
「わたしたちは、フェンスから300メートル離れたところにいた非武装のパレスチナ人デモ参加者に向け、イスラエル国防軍の狙撃手が銃撃するのを見た 」10年前までイスラエル軍の狙撃ユニットに所属していたナダフ・ワイマン(Nadav Weiman)氏はスカイニュースに語った。
「わたしが狙撃手だった頃からは大きな変化だ。個人的には、我々が絶対に越えることのない"レッドライン(越えてはいけない一線)"だと考えていた」ワイマン氏は加えた。
同氏は現在、この地域の本当の現状に光を当てるべく元イスラエル兵たちが作った非営利団体「Breaking the Silence(沈黙を破る)」で働いている。
14日には、エルサレムに新たに開設したアメリカ大使館をめぐり、ガザ地区とイスラエルとの国境沿いでパレスチナ人デモ参加者とイスラエル軍が衝突、60人のデモ参加者が死亡した。
ガザ地区では3月以来、抗議活動が続いている。「グレート・リターン・マーチ(Great Return March)」と呼ばれるこれらのデモは1948年のイスラエル建国70周年 —— パレスチナ人の間では「ナクバの日」として知られている —— に関係している。この日をきっかけに戦争が始まり、数十万のパレスチナ人が故郷を追われ、難民となったのだ。
そして、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレム(パレスチナ人も彼らの首都だと主張している)に移すというトランプ大統領の決断は、抗議活動を激化させた。
ガザ地区とイスラエルの国境沿いで、パレスチナ人デモ参加者とイスラエル軍が衝突した。
Samantha Lee/Business Insider
3月に抗議活動が始まって以来、パレスチナ人の107人が死亡、1万2300人以上が負傷した。中には暴力に訴えるデモ参加者もいたが、イスラエル側に犠牲者は出ていない。
この間、非武装のデモ参加者に対する銃撃は複数報じられており、実際にその様子を捉えた動画も存在する。
イスラエルはその国境を守るためだけに、デモ参加者に対し、実弾を使う準備をしていたと主張している。
トランプ政権は今週、ガザ地区での暴力はパレスチナのテロリスト集団ハマスのせいだと繰り返し、イスラエルの自衛権を支持した。
しかし、国連はイスラエルの武力行使を非難し、イギリスやフランス、ドイツといったヨーロッパの主要なアメリカの同盟国はこうした暴力について懸念を示している。
(翻訳、編集:山口佳美)