UQ mobileにて、「HUAWEI P20 lite」が3色のカラーバリエーションで発売される。
- 背面のデュアルレンズカメラで、ボケの効いたSNS映えする印象的な写真が撮れる高コスパ端末。
- ストレージ容量は32GBと心許ないので、写真をよく撮るのであればmicroSDカードの利用が必須。
- au版と違いSIMフリー・デュアルSIM仕様だが、実用上は1枚のSIMでしか利用できないので注意。
UQコミュニケーションズが、格安SIMブランド「UQ mobile」向けに、ファーウェイ製格安スマホ「HUAWEI P20 lite」の取り扱いを発表した。発売時期は6月中旬以降、一括購入価格は3万1212円(税込)の予定だ。
HUAWEI P20 liteは、その価格からもわかるとおり、そこそこの性能で手頃な値段を実現したミドルレンジ機だ。昨今スマートフォンで流行の特徴も押さえており、画面は縦横比19対9の縦長、カメラは背面に2つ搭載する「デュアルレンズ」仕様となっている。
SNS映えを簡単に狙えるデュアルレンズカメラ
ファーウェイらしいビビッドな色合いやボケの効いた写真が撮れる。
P20 liteの最大の特徴はやはりカメラ。背面には1600万画素のメインカメラと、※被写界深度撮影(背景ボケ撮影)用の200万画素カメラを搭載。ぼかしの効いた味のある写真が撮影できる。
※被写界深度とは:
ピントが合っているように見える範囲のこと。被写体にピントが合い、背景にはボケの効いている写真ほど“被写界深度が浅い”、一方で写真全体にピントが合っている場合は“被写界深度が深い”と表す。
ぼかしを強調した写真を撮影するにはカメラの「ワイドアパーチャ」機能を利用する。本機能を使った写真はプリインストールされた「ギャラリー」アプリで撮影後にも任意で被写界深度とピント位置を変更できる。
ワイドアパーチャで撮影。手前の魚にピントを合わせて、背景をぼかしている。
撮影後、被写界深度を深くして背景も鮮明にしてみたところ。
ファーウェイといえば、上級機のMateシリーズやPシリーズで老舗カメラメーカー・ライカとカメラ機能のコラボをしていることでも知られる。
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そのノウハウがP20 liteなどのノーマル機種にも活かされているのかは不明だが、写真の写りは非常に印象的な色づくりだ。青い空はより青く、赤い物はより深い赤色で表現される。そのため、SNSなどで「いいね!」が押されそうな、目で見ているよりビビッドな写真ができあがる。
HUAWEI P20 liteの標準カメラモードで撮影。全体的に明るくからっとした印象。
同じくHUAWEI P20 liteの標準カメラで撮影。水面もキレイに表現されている。
同じファーウェイのP20 シリーズでも最上位機種のProとは、背面カメラの数、構成、画像を処理するチップセットの種類が違う(写真はP20 lite)。
P20 liteとP20 Proではレンズの数も違うが、P20 ProではライカレンズとAIアシスト機能による暗所に強い超高感度撮影機能が実装されている。P20 liteもある程度は暗い場所でもキレイな写真は撮れるが、端末一括価格で10万円以上するP20 Proほどではないことは覚えておきたい。
キャリアモデルと「ほぼ同じ」性能、でもちょっと安い?
写真はau版のP20 lite。外観は背面のauロゴ以外で区別はつかない。
UQコミュニケーションズは、KDDI(au)のいわゆるサブブランドだ。その「本体」であるauでも、P20 liteは2018年夏モデルとしてラインナップされている。ある意味、キャリア端末にも採用できる品質の高さがあるとも言えるが、スペック表をみていくとUQ版とau版とでは異なる部分がいくつかあることがわかる。
1. ストレージ容量がau版の半分
ストレージ容量は32GBと写真をたくさん撮って保存するなら心許ない。
1点目は、ストレージ容量だ。au版が64GBなのに対し、UQ mobile版は32GBと半減している。au版の価格はまだ発表されていないが、これにより端末価格はUQ mobile版の方がいくぶん安くなる可能性がある。
本機は最大256GBのmicroSDXCカードに対応しているので、写真や動画をたくさん撮る人は、大容量のmicroSDカードを装着するといいだろう。
2. ドコモSIMも認識、ただし、2枚のSIMカードの使い分けは×
HUAWEI P20 liteのスロット1にNTTドコモのSIMを挿したところ。しっかりと電波をつかんでいる。
2点目は、スマホに詳しい人が注目するSIMカードスロットの仕様。
UQ mobile版の本機は、UQ(au)SIM以外にも、サポート外ではあるもののドコモSIMも認識して、4G LTEで通信できた。いわゆるSIMフリー仕様だ。
ただし、SIMスロットの機能にはやや注意が必要だ。SIMスロットの構造は、2枚のSIMが挿さるいわゆる「デュアルSIM」仕様だが、試用機では、スロット1側でしか、4G LTE通信ができなかった(専門的になるが、スロット2にドコモSIMを挿して、APNなど各種設定をしても、ドコモのネットワークには接続できなかった)。
UQ mobile広報によると、試用機は開発最終版で、製品版相当とのこと。実機でもこれと同じ動作になる可能性はある。
2枚のSIMは挿せるが、実質的にスロット1側のSIMカードしか使えない状態だった。とはいえ、SIMフリーであることは用途を広げる意味でうれしい。
3. テザリングが追加料金なしで使える
PCやタブレット、ゲーム機などをインターネットにつなげられる「テザリング」機能は無料で使える。
最後は、端末と言うよりキャリアの料金設定の問題だが、モバイルWi-Fiルーター代わりに使えるテザリング機能がオプション料金無料で利用できる。
auではピタット/フラットプランなどで月額500円(税別)のオプション料金が発生するが、UQ mobileでは現時点でテザリング利用のためのオプション料金は存在しない。
通信設備は異なるので実際の速度の差はあるが、UQ mobileはauのネットワーク設備を借りる形で運営している。同じauのエリア内で無料でテザリングが使えるのはビジネスユーザーとしては心強い。
カラーバリエーションのラインアップはau版とUQ mobile版で変わらない。左からサクラピンク、ミッドナイトブラック、クラインブルーの3色。
P20 liteは格安SIM系では今夏、大いに狙い目の機種
このようにHUAWEI P20 liteは強力なカメラ機能と、キャリアも認める高品質な端末づくりが魅力。ストレージ容量の差はあるとはいえ、UQ mobileは通信費がそもそもauより低価格なので、浮いた通信費でmicroSDカードを買ったとしても、十分コストパフォーマンスの高い製品だと言えそうだ。
メーカーの持つ最高の技術を結集するハイエンド機をめぐる争いはこれまで通り注目だが、足元ではこういったミドルレンジ機の機能・性能向上も相当ホットな状況になっている。「ミドルレンジ争い」は今後も注目していきたい。
(文、撮影・小林優多郎)