調査:ミレニアル世代の43%は2年以内に転職する —— 職場に止まる理由は収入じゃない

就活生

ミレニアル世代の43%が、2年以内に今の仕事を辞めたいと考えている。

2000年以降に成人を迎えた「ミレニアル世代」は、自分の将来をどう考え、仕事や企業に対して何を感じているのか?

デロイトがミレニアル世代を対象に毎年行なっている「デロイト ミレニアル年次調査」の2018年版報告書を発表した。

調査は、 2017年11月24日から2018年1月15日にかけて、世界36カ国の1万人以上のミレニアル世代(1983年〜1994年生まれ)と、6カ国1800人以上のZ世代(ミレニアル世代のあとに生まれた世代、この調査では1995年〜1999年生まれを指す)を対象に行われた。調査の結果わかったこととは?

1. 43%が2年以内に今の仕事をやめようと考えている

ミレニアル世代は、仕事を簡単にやめる。

ミレニアル世代の43%が、2年以内に今の仕事をやめるつもりだと回答した。今の仕事を5年以上続けると回答したのは28%に止まった。

Z世代に至っては、2年以内に仕事をやめると回答したのは61%にのぼり、5年以上続けると答えたのは12%だった。

また、2年以内に仕事をやめたいと答えたミレニアルのうち、62%が「ギグ・エコノミー(インターネットを通じて、非正規雇用者が単発あるいは短期の仕事を請け負うこと)」が、フルタイム雇用の代わりとして考えられる有効な選択肢だと答えた。その理由としては、 「より収入が上がるから」がもっとも多かった。

2. 62%が「企業はカネを稼ぐことしか考えていない」と見ている

ビル

ミレニアル世代が企業に求めるものは「収益性」だけではない。

企業の「倫理観」に対して否定的な考え方を持つミレニアル世代の割合も、前年までの調査と比較して急激に増加した。

さらに、ミレニアル世代の考える「企業が達成するべき課題」と「彼らが働く企業の優先課題」には、明らかな差異があったことがわかった。

ミレニアル世代の多くは、企業の成功は収益性だけで測られるべきではないと考え(83%)、「社会や環境にポジティブな影響を与える」「雇用を創出する」「社員のキャリア開発をする」などの目標を達成するためにも努力すべきだと見ている。

逆に、「自分たちの企業(組織)がなにを優先しているか」との問いに対しては「利益を得る」「効率性を高める」「商品やサービスを作り、売る」がトップ3に入った。

「企業が達成するべき課題」と「自分の企業の優先課題」

ミレニアルが考える「企業が達成するべき課題」と「自分の企業の優先課題」には乖離があった。

グラフ:「The Deloitte Millennial Survey 2018」を元にBusiness Insider Japanが作成

また「企業は倫理的だ」と答えたのは48%に止まった(2017年は65%)。企業のリーダー層が社会を良くすることに貢献していると答えたのは、47%だった(2017年は62%)。「企業にはおカネ稼ぎ以上の大志がない」と考えるのは6割を超えた

3. 職場にとどめるには高い給料「だけ」ではダメ

お金

ミレニアル世代を職場に惹きつけるのはおカネだけではない。

企業への忠誠心が薄く、すぐに会社をやめることを厭わないミレニアル世代。彼らを惹きつけるには、どうすれば良いのだろうか?

仕事を選ぶ時に重要視する要素としてトップだったのはやはり「金銭的な報酬」。次いで「ポジティブな職場カルチャー」「(時間や場所などの)柔軟性」が続く。

興味深いのは「(時間や場所などの)柔軟性」を感じている人は「企業への忠誠心」が高い傾向が見られたことだ。

「働く時間と場所に柔軟性がある」と 回答した人ほど、今の仕事により長くつき続ける、と考えている傾向があった。

4. ミレニアル世代は職場に多様性を求める

多様性

ミレニアル世代は、職場の多様性を重要視する。

Shutterstock / Jacob Lund

調査の結果、ミレニアル世代を職場に長く留めるためには「多様性(ダイバーシティ)」も重要な要素だということがわかった。

多様性のある職場環境で働いている人は、5年以上その職場で働きたいと考える比率は7割程度だったが、逆に多様性のない職場で働く人で、5年以上同じ職場に止まっていたいと考えている人は3割未満にとどまった。

では、ミレニアル世代の考える「多様性」とはなんだろうか?

「企業がもっとも重視すべき『多様性』とはなにか?」との問いに対して、年齢、ジェンダー、障害の有無、エスニシティ……よりも上回ったのは、「学歴」の多様性だった。ミレニアル、Z世代いずれも4割超が、「企業は学歴の多様性をもっとも重視すべきだ」と答えた。

多様性のグラフ

企業がもっとも重視すべき「多様性」としてもっとも多く挙げられたのは、「学歴」だった。(左がミレニアル世代、右がZ世代の回答、3つまで選択可)

グラフ:「The Deloitte Millennial Survey 2018」を元にBusiness Insider Japanが作成

5. 激変する時代、将来に不安があるミレニアル世代

物心ついた時からパソコンに触れ、スマホにも慣れ親しんでいるミレニアル世代。彼らにとって、IoTやAI、ロボティクスといったデジタルテクノロジーが実現する「第4次産業革命」は、自分たちが直面する、逃れられない社会の変化だ。その一方で、彼らはその変化に不安も感じている。

若者

ミレニアル世代は、テクノロジーがもたらす急激な社会変化に不安を感じている。

実際、ミレニアル世代は今後5年以内に、テクノロジーによって仕事環境に大きな変化があることを予測している。また、仕事の自動化などによって、よりクリエイティブで人間らしく、価値ある仕事ができるようになる、と考えているミレニアル世代も半数以上だ。

その一方で、テクノロジーが実現する社会変化に対して自分は準備できている、と答えたミレニアル世代は36%だった。また、11%が、次の時代に求められるスキルや知識をまったく持っていない、と答えた。

また、親世代と比較して金銭的に裕福な(もしくは同じレベルの)暮らしができると思うか、という質問に対しては、先進国と途上国で回答の違いが目立った。先進国のミレニアルは37%、途上国は65%がそう思う、と答えた。

(翻訳・西山里緒、編集・佐藤茂、写真・今村拓馬)

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