私語をしたり、携帯を見ている生徒を検知する顔認証技術の展示。
AP Photo/Mark Schiefelbein
- 中国、杭州市にある高校は生徒を30秒ごとにスキャンする顔認証技術を導入した。
- このシステムは教室内での生徒の感情や行動を分析するだけでなく、図書室や学生食堂ではIDカードや財布の代わりとなる。
- 顔認証技術は中国で広く導入されており、犯罪予測などに使用されている。
- 一方で、このシステムを学校で使用することには、プライバシー面での懸念が生じている。2017年、教室内の監視映像をライブ配信していた数百のチャンネルが閉鎖された。
中国の高校では、生徒の行動を監視・分析するために、顔認証技術を使用している。
杭州第11高校(Hangzhou No. 11 High School)では、30秒ごとに教室をスキャン。生徒の表情を記録し、幸せ、怒り、恐怖、困惑、興奮の5項目に分類する。
また同システムは、書く、読む、手をあげる、机で寝るなど、生徒の行動も記録する。
中国紙グローバル・タイムズ(Global Times)によると、この「インテリジェント教室内行動管理システム」は、出欠も記録する。また、生徒の顔は、学生食堂で昼食代を支払うときや図書室で本を借りるときにも使われる。
教室内の画像は保存せず、データはクラウドではなく、ローカルサーバーに保存されるため、生徒のプライバシーは守られていると同校の副校長は語った。
中国のセキュリティソフト企業、奇虎360(Qihoo 360)は2017年、プライバシーに関する懸念の高まりを受けて、数百の監視映像のライブ配信チャンネルを閉鎖した。閉鎖されたチャンネルでは、プール、レストラン、教室などの公共空間に設置された監視カメラの映像がライブ配信されていた。教室の映像に関しては、パスワードは1個だけだった。
しかし、中国の幼稚園で虐待行為などが増えていることもあり、セキュリティシステムの人気は高まっている。現在、北京では全ての幼稚園で監視システムの導入が求められており、一部のシステムは地元警察の監視システムにもつながっている。
顔認証技術は、中国において効率を上げ、治安を向上させるために使われ、導入数は増加している。カメラは信号を無視して道路を横断する人を捕まえたり、逃亡犯を見つけたり、人の行きつけの場所を特定したり、犯罪を予測することにまで使われている。
だが、学校に監視カメラを導入している国は中国だけではない。
インドのデリーは2018年初め、全ての公立学校に監視カメラを導入すると発表した。親たちは教室の様子をリアルタイムで確認できるようになる。
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)