アマゾンは、返品が多すぎるユーザーを締め出しているようだ。
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- アマゾンは、返品が多すぎるユーザーを締め出している。ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。
- 同社は3月下旬と4月上旬、数百のユーザーアカウントを停止した。これは、不正レビューに関連していると見られている。
- ベスト・バイ、ホーム・デポ、ビクトリアズ・シークレットなどでも顧客の返品回数を記録している。返品ポリシーを悪用していると疑われるユーザーには対応策を講じているケースもある。
アマゾンは、返品が多すぎるユーザーを締め出しているようだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルは5月22日(現地時間)、アマゾンが商品を返品したユーザーのアカウントを停止したことへの苦情の声を取り上げた。
アマゾンはどうやら、返品が多いユーザーのアカウントを停止する前に、彼らにアラートを送り損ねたようだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、アマゾンから締め出されたと語る2人のユーザーの声と、多数のネット上の声を紹介。さらに商品を数点を返品した後にアマゾンからメールを受け取ったというユ―ザーの声も取り上げた。
@amazon、ワオ、最高のカスタマーサービス、とても個人的で、思いやりがある! 私が書いた返品理由をちゃんと読んでいる?(去年返品したのは6個くらいだけど、それでも多すぎる?) それに交換を依頼した商品は、全く届かなかったからなのだけど。
4月上旬に伝えたように、アマゾンは3月下旬と4月上旬に数百のアカウントを停止した。ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じた2人は、その時にアカウントを停止されたようだ。
このアカウント停止は、不正レビューに関連していると見られている。
アマゾンから締め出された人たちの非公開フェイスブックグループのメンバーの中には、ギフトカードなどの報酬と引き換えに好意的なレビューを投稿するなど、アマゾンのポリシーに違反したことを認めた人もいる。
また無料もしくは割引価格で入手した商品のレビューを投稿したかもしれないが、違反とは知らなかったと語るユーザーもいれば、アマゾンのポリシーに違反した覚えは全くないというユーザーもいる。
返品は小売業にとって悩みの種。コストがかかるだけでなく、一部のユーザーは、サードパーティ・セラー(外部の販売業者)の評価を不正に高めるために、報酬と引き換えに商品を購入し、返品している可能性がある。
「我々は、全ての人にアマゾンを使ってもらいたい。だが、数は少ないが、長期にわたって弊社のサービスが悪用されるケースがある」とアマゾンの広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
「我々はこうした決断を決して簡単なものとは考えていない。だが、我々は世界中に3億人を超える顧客を抱えており、全ての顧客の購買体験を守るために適切な対応を講じる」
こうした問題に直面しているのはアマゾンだけではない。ベスト・バイ、ホーム・デポ、ビクトリアズ・シークレットなども、密かに顧客の返品回数を記録し、返品ポリシーを悪用していると疑われるユーザーには対応策を講じているケースもある。
ウォール・ストリート・ジャーナルの3月の記事によると、リテール・イクエーション(Retail Equation)という企業は、顧客の返品を数年間にわたって遡ることができる「返品レポート」を保有している。小売業者は、リテール・イクエーションから疑わしいユーザーについての報告があれば、対応策を取ることができる。
リテール・イクエーションによると、不正行為がアメリカの小売業者に与える被害額は、年間170億ドル(約1兆9000億円)にのぼる。
「我々のシステムは、小売業者が『レシート無しでは、返品不可能』あるいは返品は購入後14日間のみといった、より厳しい返品ポリシーを導入することなく、99%の消費者に対して、より寛大かつ柔軟な返品ポリシーを提供することを可能にする」と同社のウェブサイトには記されている。
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)