Reuters / KCNA
- 北朝鮮の金正恩氏は、来月シンガポールで開催が予定されている米朝首脳会談に対し、不安を感じているようだ。
- 金正恩氏は自身が国を離れている間に、軍事クーデターが起こるもしくは他の敵対勢力が正恩氏を権力の座から追放しようとするのではないか、懸念しているという。
北朝鮮の金正恩氏は、来月シンガポールで開催が予定されている米朝首脳会談に対し、不安を感じているようだ。22日(現地時間)、ワシントン・ポストが複数の関係者の話をもとに報じた。
報道によると、金正恩氏はトランプ大統領に会うことよりも、自身が平壌を離れている間に自国で何が起こるかを心配しているという。
同氏は、シンガポール滞在中に軍事クーデターが起こるもしくは他の敵対勢力が正恩氏を権力の座から追放しようとするのではないか、懸念しているのだと関係者はワシントン・ポスト紙に語った。朝鮮戦争が1953年に休戦して以来、金王朝は北朝鮮を支配してきた。
一部の専門家によると、北朝鮮で軍部の不満が高まっているという噂こそが、金氏にここ数年、権力の掌握に心血を注がせてきたのだという。
「金(正恩)氏の権力は揺るがないという考えは、根本的に間違っている」アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)のアジア部長を務めたビクター・チャ(Victor Cha)氏は2014年、コラムに書いている。
「独裁者たちは、金氏のように圧倒的な権力を行使するだろう。だが、その座を掌握し続けることに、彼らは病的なまでの不安を感じている」チャ氏は言う。「クーデターや暫定的な指導者たちに関するあらゆる世間の推測が独裁者の妄想を掻き立て、例えそれが間違いだったとしても、できるだけ早くその認識を修正しようとさせるのだ」
トランプ大統領も、北朝鮮が最近そのトーンを変えてから、米朝首脳会談について不安を示している。北朝鮮は、アメリカと韓国が定例の合同軍事演習を実施すると再び抗議の声を上げ始め、アメリカの国家安全保障担当の大統領補佐官ジョン・ボルトン氏の特定のコメントを潜在的な脅威と受け取った。
大統領は22日、予定されている金正恩氏との首脳会談について「今回の会談が実現しない可能性は極めて高い」と述べた。
「この先、開催されないという意味ではないが、6月12日は無理かもしれない」トランプ大統領は言う。
だが、韓国の文在寅大統領は楽観的な見方を崩していない。
「トランプ大統領の強いリーダーシップと、その力による平和というビジョンに感謝します。我々は史上初の米朝首脳会談を楽しみにしています」文大統領は米韓首脳会談の冒頭、トランプ大統領にこう述べた。
「わたしたちは朝鮮半島の完全なる非核化と世界平和という夢の実現に、また一歩近づきました」
(翻訳、編集:山口佳美)