取引高約84兆円のアリババが目指す「単なるEC」からの脱却 ── 日本企業はどうする?

Japan MD center annual conferenceのフォトセッション

アリババグループは、東京都の日本橋三井ホールにてパートナー企業向けイベントを開催した。

中国のEC大手でソフトバンクグループ(ソフトバンクグループIRサイトより)の阿里巴巴集団(アリババグループ)は、5月22日に第3回目となるパートナー企業向けイベント「Japan MD center annual conference」を開催した。

同イベントでは、アリババグループの現状や今後の方針、出展済み企業からの取り組みが語られた。印象的だったのは、同社がオフライン領域でもシェアを拡大しようとしていること、そして、目先に迫る2020年までに中国での認知を高めようとする日本ブランドの姿だ。

取引高約84兆円の巨人、アリババが狙う「生活データ」

アリババの2017年の実績

アリババグループ全体での実績は、中国だけではなく世界でも最大手と言える規模だ。

アリババグループはB2C向けの「天猫(Tmall)」「天猫国際(Tmall Global)」、C2C向けの「淘宝網(Taobao)」、B2B向けの「Alibaba.com」などのECサイトを運営している。2017年度のグループ全体の取引規模は7680億ドル(約84兆円)、アクティブユーザー数は5億5200万人。中国だけではなく、eコマースのプラットフォームとして、世界で最大規模を誇っていると主張する。

アリババグループの張勇氏

イベントに登壇したアリババグループ CEOの張勇氏。

登壇した同社CEOの張勇(ダニエル・チャン)氏は、昨年度の実績を語りながらも、「(EC大手という)アリババグループのイメージを変えたい」と言う。その戦略を同社は「新小売(ニューリテール)戦略」として2017年から提唱している。

新小売戦略とは、販売チャネルをEC(オンライン)から現実世界(オフライン)に拡大し、それらで得たデータを同社のテクノロジーを使い解析、マーケティングなどに活用し、新たな顧客体験を創出しようというものだ。

新小売戦略の概要スライド

中国での「新小売戦略」の概要。ネットから実店舗へと拡大している。

中国国内ではすでに新小売戦略による展開を開始している。例えば、アリババ傘下である高級スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」では、新鮮な生鮮食品を扱っており、商品の購入やその商品を調理したメニューをその場で食べることもできる。

さらに、中国内37店舗から半径3キロ圏内に住んでいるユーザーは、ネットで生鮮食品を注文でき、最短30分以内に自宅まで届くようになっている。ユーザーとしては自宅でも店舗に行っても新鮮な野菜などが手に入りアリババは日常の食事の傾向などの、より詳細なユーザーの生活情報を得ることができるというわけだ。

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各業界の国内大手メーカーがアリババと提携

アリババのスライド

アリババでの日本ブランド人気は大きく成長している。

あくまでも、同社の主戦場は中国だ。では、日本企業にとっては、どのような関わりがあるのか。同社は日本企業の中国進出に、同社のプラットフォームを活用を促している。

同社によると、2017年度の日本ブランドの製品の売り上げは、越境EC専門サイトである天猫国際において前年度比122%、一般ECである天猫でも54%の成長を遂げているという。

また、イベントに登壇したサントリーホールディングス、アシックス、ストライプインターナショナル、コーセーの4社はそれぞれの旗艦店を天猫もしくは天猫国際に出店もしくは拡大していくと発表している。

2020年までにブランド認知と顧客体験の整備を進められるか

アリババグループのイベントに登壇する石川氏。

ストライプインターナショナルの石川康晴社長。

登壇したアパレルの製造・販売を行うストライプインターナショナルの石川康晴社長は「本日、4つのコミットメントをする」と宣言。前述の新小売戦略の活用やクラウドサービス「AliCloud」の導入、天猫国際への旗艦店展開、日本国内実店舗への「AliPay」導入を発表した。

ストライプの目的は、グローバルにおける同社ブランドの売り上げ拡大だ。AliPayで国内のインバウンドの情報を集め、天猫国際での販売実績を元に中国顧客の情報やグローバルでの商品価値の検証を行える。さらにそのデータをAliCloudで一元的に管理・分析し、新小売戦略で売上の最大化を狙おうというわけだ。

石川氏は中国での売上目標について「2020年までには7億元(約121億円)」とした。

(文、撮影・小林優多郎)

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