発表にあわせてアップデートされた最新版のGoogle Payアプリ。プリペイド型電子マネーやポイントカードしか追加できなかったGoogle Payがこの夏、進化する。
グーグルは、国内実店舗を対象とする決済サービス「Google Pay」の非接触決済サービスを拡大する。従来も「楽天Edy」「nanaco」といった電子マネーでの決済が可能だったが、そこに「Suica」「WAON」が加わる。さらに、2018年夏以降には一部のクレジットカードでの支払いにも対応する。
Apple Pay同様「Suica」「QUICPay」が利用可能に
Google PayでもQUICPayがサポートされる。
クレジットカード(もしくはデビッド、プリペイドカード)として、今回Google Payに加わると表明されているのは、JACCS、JCB、そして決済ベンチャー「Kyash」の3ブランド。対応クレジットカードを持つユーザーは、スマートフォンでカードの券面を撮影するか(JACCS、JCB)、カード番号を入力すれば登録が完了。カード会社によって異なるが「QUICPay/QUICPay+」加盟店舗での支払いが可能になる。
対応端末は、Android 5.0以降のおサイフケータイ(FeliCa)搭載の端末。FeliCaを搭載しない低価格なSIMフリースマートフォンやiPhoneでは利用できない。
多くのおサイフケータイ対応スマートフォンには、背面にアンテナの位置を示すマークがある(写真はドコモの「HUAWAEI P20 Pro」)。
グーグルとしては、スマートフォンと決済事業の両面でライバルのアップルとの差を縮めたいと思われる。アップルのApple Payは2016年10月に日本に上陸し、既に多くの国内クレジットカードの登録が可能になっている。
対応カードの種類にはまだ大差をつけられているが、Google Payはおサイフケータイの特徴である「かざすだけで、決済が完了する」という利便性がある(iPhoneの場合はSuicaを除き、決済前に指紋もしくは顔認証が必要となる)。
Google Payファミリーで異色を放つベンチャー「Kyash」
2017年12月末に20万ダウンロードを突破した決済ベンチャーの「Kyash」もGoogle Payに対応する。
とはいえ、今回のGoogle Payの機能強化は、実用上で大きなインパクトがあるものではない。いままでカード会社各社がおサイフケータイ向けに発行してきたQUICPayやiDの体験との違いがほとんどないからだ。
しかし今回、決済ベンチャーのKyashの参画は、異色の存在といえる。
KyashはiPhone/Androidで使える手軽な割り勘アプリとしてPRしている。
出典:Kyash
Kyashはプリペイド型のバーチャルVisaカードを発行するサービス。残高はコンビニや他のクレジットカード、ペイジーを通して銀行口座から入金できるのに加え、Kyashユーザー同士であれば手数料無料で個人間送金が行える。
つまり、Kyashは今回のGoogle Pay対応により、飲み会で割り勘の集金と精算、コンビニでお菓子を買う子どものおこづかいサービスなどに活用できるようになる。
同様のことができるサービスの代表格はLINE Payだが、LINE Payは本人確認に各種身分証のアップロードか銀行口座の登録が必要だ(KyashはSMS認証のみ)。
Kyashにとって実店舗対応は「経営上の最重要事項」
Kyash社長の鷹取真一氏。現在の目標は「100万ダウンロードをいち早く目指すこと」とのこと。
Google Pay対応はKyashにとっても収益拡大につながる重要な第一歩だ。Kyashの主な収入源は、クレジットカードと同じく加盟店からの決済手数料だ。つまり、オンライン・オフラインに限らず、Kyash残高を使えるユースケースが増えればKyashの収益増に直結する。
しかし、日本のスマートフォン市場のおよそ半数はiPhoneであり、今回のGoogle Payは利用できない。Kyash社長の鷹取真一氏はGoogle Pay以外の用途拡大に関しては「今後も実店舗を強化していく。Kyash社としては注力領域と考えており、今後の発表に期待していただきたい」と答えている。
(文、撮影・小林優多郎)