中国に対するシリコンバレーの大きな2つの誤解とは? アリババ幹部が語る

アリババのロゴ

アリババは、アマゾンの模倣企業などではない。

  • アリババのバイスプレジデント、ブライアン・ウォン氏は、シリコンバレーは中国のテック市場について2つの大きな誤解をしていると語った。
  • 中国企業がモバイル決済やオンライン・エコシステム構築において、大きな革新を生み出すとそれは模倣と見なされるとウォン氏。
  • 一般的なイメージとは反対に、中国企業が望むのは競争を「支配する」ことではなく、融合とウォン氏は語った。

過去数十年にわたり、中国のテクノロジー業界は欧米メディアから、安価な模倣品ばかりとの評価を受けてきた。

Business Insiderのインタビューで、中国のテック企業大手、アリババのバイスプレジデント、ブライアン・ウォン(Brian Wong)氏は、その見解は極めて時代遅れと語った。

1. 中国から真のイノベーションが生まれている

「中国のマーケットから真のイノベーションが生まれていることは、今や誰の目にも明らか」

そう語る同氏は、カリフォルニア州パロアルト育ち、アリババに勤めて10年以上になる。

「中国の可能性、イノベーション、クリエイティビティは、シリコンバレーの企業にとって、新興市場向け製品を開発するためのインスピレーションとなっているはず」

同氏はeコマースとモバイル決済におけるイノベーションを例にあげた。すなわち、中国ではアリペイ(Alipay)の利用者は5億人を超え、16兆ドル(約1750兆円)のモバイル決済市場をほぼ独占している。中国のほとんどの若者は、すでに財布や現金を持ち歩かないライフスタイルになっており、支払いはほとんどモバイル決済を使っている。

中国が切り開いたビジネスモデルは他にもある。シェアサイクルだ。トップ企業のオフォ(Ofo)アリババが支援している。モバイク(Mobike)は最近、美団-大衆点評(Meituan-Dianping)が27億ドルで買収した

最もイノベーティブなことは恐らく、中国においてはエコシステムをベースとしたテクノロジー・プラットフォームが極めて当たり前なことだ。

アメリカのテック企業が、例えば配車サービスのウーバーやソーシャルメディアのフェイスブックなどのように、1つの機能に特化していることとは対照的に、中国の企業は様々な機能を持ったアプリに力を入れてきた。

アリババのアプリ、タオバオ(淘宝)は、eコマースのプラットフォームとしてスタートしたが、今や旅行の予約や映画チケット、ソーシャルネットワーキング、ライブストリーミング、フードデリバリー、エンターテインメントにまで広がっている。

テンセント(Tencent)のWeChat(微信)は、メッセージアプリとしてスタートし、今や決済、タクシー予約、シェアサイクルなどの機能を持つ。美団-大衆点評は、フード・デリバリーおよびレストラン予約サービスとしてスタート、その後は2社と同じような歩みだ。

中国のこうしたエコシステム・モデルは、モバイル決済アプリにも及ぶ。アリペイのデータとサービスは、タオバオと深く融合し、一方、アカウントは現在2300億ドルにものぼる同社の巨大な金融資本、そして消費者ローンやビジネスローンとダイレクトに結びつけられる。さらに全データは、セサミ・クレジット(芝麻信用)という信用情報サービスに送られる。

EVスタートアップ、ニオ(Nio)の創業者ウィリアム・リー(William Li)氏は、「ソーシャル・モバイル・インターネットの発展により、ブランドは将来、製品やサービスによって定義されるのではなく、抱えているユーザーによって定義されることになる」とBusiness Insiderに語った。

2. 中国のテック企業は脅威ではない

シリコンバレーの中国に対する大きな誤解の2つ目は、ウォン氏によると中国と中国のテック市場は「機会でなく脅威」という考え方。中国脅威論は、過去数十年間存在したと同氏。それは1990年代まで遡る。中国経済が低コストな製品の輸出で成り立っていた時代だ。

だが現在、中国経済は消費者主導型に変わった。この移行は、主に習近平国家主席と共産党が推し進めた。ただし、全てがそうではないことをいくつかの経済指標は示唆している

「アメリカ企業にとって、自社製品を販売する大きなチャンス」

だが、機会を掴みたければ、中国と中国文化について理解を深める必要があるとウォン氏。

「お決まりの『カンフー映画やテイクアウトの中華料理』の他に」

ウォン氏によると、アリババの創業者ジャック・マー氏は常に従業員に対して、中国には3つの哲学があると語っている。すなわち、調和を重んじる道教、忍耐や寛容を重んじる仏教、そして、秩序を重んじる儒教。

これらの哲学の背後にある原理・原則を理解することができれば、中国のテック市場の秘密をより良く理解することができるだろうとウォン氏は語った。

「中国は伝統的に、融合を重んじる。支配や競争ではない」とウォン氏。

「創造と融合を望んでいる」

[原文:The 2 biggest things Silicon Valley misunderstands about China, according to a top Alibaba exec

(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)

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