トランプ大統領(ホワイトハウス、2018年1月17日)。
REUTERS/Kevin Lamarque
- アメリカのトランプ大統領が予定されていた米朝首脳会談をキャンセルしたのは、北朝鮮の金正恩氏が先に会談の取りやめを言ってくると考えたからだ。24日(現地時間)、アメリカの政府関係者はNBC Newsに語った。
- トランプ大統領は、北朝鮮に先に席を立たれてはアメリカが交渉に必死であるかのように見えることを懸念していて、そうなる前に先手を打ったようだ。
- 大統領の突然の決断は、アメリカ国内だけでなく韓国の文在寅大統領を含め同盟国を驚かせた。
- ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も、大統領の会談取りやめの決断を後押ししたようだ。
トランプ大統領は、予定されていた米朝首脳会談を取りやめたとき、北朝鮮の最近の挑発的な声明を考慮に入れたと語った。政府関係者によると、大統領は金正恩氏が先に会談の取りやめを言ってくると考えていたと、NBC Newsは報じている。
「昨日まで何のヒントもなかった」首脳会談の準備に詳しいアメリカの政府関係者はNBC Newsに語った。
トランプ大統領が首脳会談の取りやめを真剣に考え始めたのは23日のことで、ペンス副大統領やポンペオ国務長官、ケリー首席補佐官、ボルトン補佐官(国家安全保障担当)と話し合ったという。マティス国防長官とも24日の朝に話した。
その結果、トランプ大統領は24日午前に金正恩氏宛ての書簡を公表し、平壌の最近の声明にみられる「激しい怒りとあらわな敵意」に触れた。北朝鮮は、ペンス副大統領やボルトン補佐官の北朝鮮の今後のあり方に関する発言に、強く反発していた。
ワシントン・ポストの報道によると、トランプ大統領は北朝鮮が先に首脳会談の取りやめを言ってくることを懸念していて、アメリカが交渉に必死であるかのように見えるのを防ごうと、先手を打ったという。
「シンガポールであなたにお会いするのをとても楽しみにしていました」トランプ大統領は書簡で述べた。
トランプ大統領の突然の決断は、アメリカ国内はもちろん、韓国の文在寅大統領を含め、同盟国を驚かせた。
ポンペオ国務長官は北朝鮮を訪問し、拘束されていた3人のアメリカ人の解放に貢献して以来、米朝の外交関係において最も重要な役割を果たしてきた。しかし、複数の政府関係者によると、強硬姿勢を見せるボルトン補佐官はポンペオ長官と一部アイデアをめぐり衝突、米朝首脳会談の取りやめを進言していた。
トランプ大統領の決断を受け、北朝鮮は「いつ、いかなる形でも」問題解決のためアメリカと会う意思があるとの声明を発表した。
「トランプ大統領の首脳会談に対するスタンスは、世界と朝鮮半島両方の平和と安定を求める世界の要求とは合致しなかったということだろう」北朝鮮は述べた。
(翻訳、編集:山口佳美)