CXOやCBCOって何する人?CEOやCFOだけじゃない、増殖する「チーフ・××・オフィサー」

ビジネスの場で名刺を交換して、オフィスに戻って役職を確認すると「取締役 CPO/CMO/CDO」……これ、なんて読むの?

珍しいところでは、「CBCO=チーフ・ブロックチェーン・オフィサー」や「CXO=チーフ・エクスペリエンス・オフィサー」などなど。

最近じわじわと増えつつある「C●O」=「チーフ・●●・オフィサー制」を導入する企業。でもそもそもこの呼び方、なぜ今増殖しているのだろう。

名刺交換

「ヤバイ、この役職、読めない……!」そんなことはありませんか?

Shutterstock / takasu

2つのCIOって?

近年「チーフ・オフィサー制度」が大企業からベンチャーまで、いろいろな企業で採り入れられてきている。三菱重工業は2014年から、三越伊勢丹ホールディングスは2018年から導入を開始している。

フランスに本社をおくアクサ生命は日本法人でも十数年前から同制度を採用している。今では、一般的なCEOやCFOの他、「チーフ・リスク・オフィサー(CRO)」や「チーフ・グローバルサービス・オフィサー(CGSO)」などがある。さらには「チーフ・インフォメーション・オフィサー」と「チーフ・インベストメント・オフィサー」があり、どちらもCIOという、ちょっと間違いやすい肩書きも。

同社担当者になぜこんなに「チーフ・オフィサー」が多いのか聞くと、対外的・対内的双方のメリットがあると説明してくれた。まず対外的なメリットは、社会課題に対応する会社の役割を「チーフ・オフィサー」として表すことで、会社としてどこに力を入れているかをわかりやすく表せるという。例えば「チーフ・リスク・オフィサー」を置くことで、企業として顧客が抱えるリスクに対応していることを示せる。

チーフ・リスク・オフィサー

「チーフ・リスク・オフィサー」と言われたら、こんな人をイメージしてしまうかも。

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対内的には、他国も含めたグループ全体で専門的知見を共有できるほか、「テクノロジー」「ファイナンス」など求められる専門性が肩書きで明確に示されるため、社員のキャリアパスが描きやすくなる、という利点があるという。

アクサ生命の子会社、アクサ損害保険には「チーフ・クレーム・オフィサー(CCO)」という役職もある。仕事は支払いの管理について責任を持つ立場。顧客が保険金の請求をするとき、正確・迅速に支払いができているかを担保するのが、「チーフ・クレーム・オフィサー」だそう。クレーマーの専門家、というわけではなさそうだ。

単なる「スーパー経理部長」?

椅子に座る人

あなたの会社に「名前だけ」チーフ・オフィサーはいませんか?

Shutterstock / alphaspirit

日本でも「チーフ・オフィサー制」が定着していているが、「日本企業のチーフ・オフィサー制は同じ看板を掲げながら、仕事の内容など実態は欧米企業と違う」という指摘もある。

ニッセイ基礎研究所の金融研究部主任研究員、江木聡氏によると、アメリカでチーフ・オフィサーを務める経営幹部は、多くが他社でも通用する専門家だという。

江木氏によると、投資家の中には「CFO(チーフ・ファイナンス・オフィサー)であれば、コーポレート・ファイナンスの知識があることが前提なのに、日本企業では“スーパー経理部長”みたいな人しかいない」と揶揄する声も聞かれるという。

さらにアメリカでは一歩先に進み、それぞれが高度に専門化したチーフ・オフィサーの垣根をどう取り払うか、という議論がなされていると同氏はいう。

例えば、現在のデジタル化の潮流から、マーケティングの専門家だけでマーケティングの議論ができるわけではなくなっている。チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)とチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)などをどう連携させていくか、複数の専門性を持つ人材をどう雇用・育成するかが課題になっているという。

当然、日本とアメリカでは企業文化も違う。単純にアメリカ企業の形だけを真似すればいいわけではなさそうだ。

現場にはわかりづらい?

書類の山

チーフ・オフィサー制度には、責任の所在がわかりづらくなるというデメリットも?

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日本でも、すでにチーフ・オフィサー制を廃止・削減する企業もでている。日本経済新聞によると、三菱自動車は2018年に「チーフ・オフィサー」のポストを削減しているという。

ある大手スタートアップ企業は、2018年に入ってチーフ・オフィサー制度を廃止した。その大きな理由は意思決定の速度を高めるためだ。この企業の担当者によると、チーフ・オフィサー制は現場の権限でサービスの改善をしづらくさせ、責任の所在がどこにあるかわからなくなってしまうという恐れもあったという。

また、現場の人間からは、どんな職種なのかがわかりづらかったかもしれない、と担当者は取材に打ち明けた。

こんなユニークな「チーフ・オフィサー」も

それにしても、チーフ・オフィサーが最近よく目につく!ということで、実際に企業で使われている(た)、ユニークな「チーフ・オフィサー」をまとめてみた。あなたの企業にも、こんな「チーフ・オフィサー」はいるだろうか。

  1. CCO(チーフ・コンペティティブ・オフィサー)トヨタ
  2. CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)note
  3. CHO(チーフ・ヘルス・オフィサー)DeNA
  4. CSO(チーフ・ストーリーテリング・オフィサー、あるいはチーフ・ストーリーテラー)Microsoft
  5. CTO(チーフ・たまごっち・オフィサー)CGO(チーフ・ガンダム・オフィサー)バンダイ

(文・西山里緒)

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