著名な科学者たちがお薦めする、誰もが読むべき12冊の本

ビル・ナイ氏

科学者のビル・ナイ氏が挙げたのは『ヒルビリー・エレジー』だ。

REUTERS/Andrew Kelly

ベッド脇のテーブルに置かれた本を見れば、その人がどんなことを考えているのかが分かる。そして多くの有名かつ成功した科学者たちは、自身の専門分野を超えてあらゆる題材について本を読む時間を取っている。

Business Insiderでは、ウェブ上で確認できる過去の発言や個人のブログ、時には直接本人に聞くなどして、人気科学者ビル・ナイ(Bill Nye)氏や外科医から作家に転身したシッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee) 氏、研究のために世界中を回るジェーン・グドール(Jane Goodall)氏といった有名科学者たちがお薦めする本のリストをまとめた。

彼らが薦める本は、J.R.R.トールキンの『指輪物語』といったファンタジーからプラトンの『国家』といった古典まで、実にさまざまだ。

才気あふれる科学者たちが"読むべき"と考える12冊は以下のとおり。


1. J.R.R.トールキン著『指輪物語』 —— ジェーン・グドール氏

指輪物語

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ジェーン・グドール(Jane Goodall)氏はJ.R.R.トーキンの『指輪物語』3部作の大ファンだ。

グドール氏が、1970年代後半から1980年代前半にかけてタンザニアのゴンべでチンパンジーの研究をしながら、自身の息子にこの本を読んでいたのは有名だ。若いチンパンジーには物語の主人公「フロド」の名前を付けたほどだ。

グドール氏は映画『ロード・オブ・ザ・リング』も好きで、3部作の中でも『旅の仲間』が「本当に大好きなの」とW Magazineに語っている。

2. チャールズ・ダーウィン著『種の起源』 —— ニール・ドグラース・タイソン氏

種の起源

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天体物理学者ニール・ドグラース・タイソン(Neil deGrasse Tyson)氏が、全ての人が読むべきと考えているのが、チャールズ・ダーウィンの『種の起源』だ。

レディット(Reddit)のAMA(Ask Me Anything:何でも聞いて)のスレッドで、タイソン氏はダーウィンのこの本が「地球上の全ての生物と我々のつながりを学ぶ」のに役立つと語っている。

『種の起源』は進化生物学の基礎と考えられていて、自然選択による進化という概念を有名にした。

3. プラトン『国家』 —— カール・セーガン氏

国家

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世界で最も大きな影響を与えた政治理論に関する著書の1つ、プラトンの『国家』は大半の西洋哲学の基礎となっている(アメリカでは多くの大学1年生が課題として読まされる本だ)。

天文学者のカール・セーガン(Carl Sagan)氏はシカゴ大学で勉強しているとき、この本を自由な時間に授業とは関係なく読む、個人の"読書リスト"に加えていた。

プラトンのこの本はソクラテスとの会話として書かれているもので、正義と倫理の違いを評価している。

4. ジョージ・サンダース著『Lincoln in the Bardo』 —— ビル・ゲイツ氏

リンカーン・イン・ザ・バルド

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科学者ではないものの、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏がマイクロソフトやゲイツ財団を通じてテクノロジーと公衆衛生の分野に与えた影響は無視できない。

熱心な読書家であるゲイツ氏は毎年、夏に読むべき本のリストを発表している。ゲイツ氏は自身のブログで、ジョージ・サンダースの『リンカーン・イン・ザ・ブラド(未邦訳)』が2018年リストの中で「最も興味をそそられる」1冊だと述べている。同作品はブッカー賞を受賞した。

5. J.D.ヴァンス著『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 —— ビル・ナイ氏

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

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ビル・ナイ(Bill Nye)氏はJ.D.ヴァンスの自伝的著書『ヒルビリー・エレジー』のファンだ。

この本は、アメリカ・オハイオ州の田舎でのヴァンス氏自身の貧しい生い立ちを書いたものだ。その後、同氏は海兵隊員になり、イェール大学のロースクールへ進学、現在はベンチャー・キャピタリストとして働いている。ヴァンス氏の回想録は、低収入労働者の生活がどのようなものか、それが今のアメリカの政治にどのような影響を与えているか、説明しようとするものだ。

ナイ氏はVultureでこの本について書いている。「J.D.ヴァンスの物語が、我々がともに働き、全ての国民の生活の質を改善する助けとなるよう願っている」

6. エーヴ・キュリー著『キュリー夫人伝』 —— オリバー・サックス氏

キュリー夫人伝

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キュリー夫人ことマリー・キュリー(Marie Curie)は、放射線の研究や、ポロニウム、ラジウムを発見したことで知られる最も有名な科学者の1人だ。

著名な神経学者で作家のオリバー・サックス(Oliver Sacks)氏が、彼女の物語を啓発的だと感じるのも当然といえよう。

キュリー夫人の娘によって書かれた『キュリー夫人伝』では、キュリー夫人の暮らしや彼女の研究に対する情熱が描かれている。

7. ゲイリー・シュタインガート著『Absurdistan』 —— シッダールタ・ムカジー氏

Absurdistan

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シッダールタ・ムカジー(Siddhartha Mukherjee)氏は、類まれなる才能の持ち主だ。がんの専門医でコロンビア大学の教授を務めるムカジー氏は、2011年に出した著書『病の皇帝「がん」に挑む —— 人類4000年の苦闘』でピュリッツァー賞を受賞している。

想像通り、ムカジー氏はさまざまなジャンルの本を読んでいる。そして、ゲイリー・シュタインガートの大ファンだ。

旧ソ連が舞台のフィクション『Absurdistan』について、ムカジー氏はニューヨーク・タイムズに語っている。「ものすごくうっとうしい男がフライト中、本に熱中してにやにや笑っている? ぼくのことだ」

8. ザビーネ・キューグラー著『ジャングルの子 —— 幻のファユ族と育った日々』 —— ジャレド・ダイアモンド氏

Child of the Jungle

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ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)氏は人類学者で、その著書『銃・病原菌・鉄』はベストセラーとなった。

キャリアの多くをパプアニューギニアの研究に費やしてきたダイアモンド氏は、ニューヨーク・タイムズに、ザビーネ・キューグラー(Sabine Kuegler)のこの本には、「ニューギニアの人々の目から見た欧米社会が良く描かれている」と語った。

ドイツ人宣教師の子どもとして、キューグラー氏はパプアニューギニアのファユ族の中で数少ない白人として育った。

この自伝的著書は、彼女が17歳のときに森を後にし、ヨーロッパの全寮制の学校へ通い始めたときに感じたカルチャー・ショックを説明している。

ダイアモンド氏はこの本について、こう書いている。

「欧米人にとってニューギニアのジャングルがショックを与えるように、ヨーロッパはザビーネにショックを与えた。ザビーネの言葉を通じて、わたしたちは初めて見るかのように信号や電車、人混みを経験する。ファユ族から見れば、ヨーロッパのチョコレートの多様性は素晴らしいが、ヨーロッパ人の互いの扱い方は素晴らしくない。この本には、非欧米人が共有する新鮮な視点から見た、欧米の生活が描かれている」

9. ハンス・ロスリング著『Factfulness』 —— スティーブン・ピンカー氏

Factfulness

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スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)氏は心理学者で、ビル・ゲイツ氏が挙げた2018年のお気に入りの本2冊のうちの1冊『Enlightenment Now』の著者だ。

ピンカー氏はガーディアンのインタビューで、ゲイツ氏のもう1冊のお気に入りの本である『Factfulness』を薦めていた。著者のハンス・ロスリング氏は2017年2月に亡くなった。

ピンカー氏とロスリング氏がゲイツ氏の賞賛を勝ち得たのは、2人が現在と未来に対して、楽観的な見方を持っているからだ。

ロスリング氏はその著書の中で、人々は世界を感情的な視点から話し過ぎると言い、出生率、平均余命、性別による賃金格差といった統計データをもとに、世界は良くなっていると示している。

10. カール・ジンマー著『She Has Her Mother's Laugh』 —— ジェニファー・ダウドナ氏

She Has Her Mother's Laugh

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ジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)氏は、カリフォルニア大学バークレー校の有名な生化学者で細胞生物学の専門家だ。

ダウドナ氏はBusiness Insiderの取材に対し、カール・ジンマー(Carl Zimmer)の最新作『She Has Her Mother's Laugh』をお薦めの1冊に挙げた。今まさに起きている遺伝子技術の革命に関する著書だ。

世界で最も優秀な科学ジャーナリストの1人であるジンマー氏はこの本の中で、世代を越えて受け継がれる"遺伝"の概念を探求している。

ダウドナ氏は、この本が「個人の遺伝子に影響を与えるであろうテクノロジーのチャンスと課題を反映した、遺伝科学の素晴らしい全体像」を見せてくれると言う。

11. アイザック・アシモフ著『ファウンデーション』3部作 —— ミチオ・カク氏

ファウンデーション

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物理学者で未来学者のミチオ・カク氏は、SF作家アイザック・アシモフの大ファンだ。

アシモフの『ファウンデーション』3部作は、天の川銀河の向こう側にある人間が植民地化した数百万の惑星からなる架空の銀河帝国の崩壊を中心を描いた作品だ。

カク氏は2018年3月、ガーディアンで「銀河帝国の盛衰というアシモフのサーガに魅了された」と書いている。

イーロン・マスク氏も、自身のキャリアパスにアシモフの3部作が影響を与えたことは間違いないと語っている

12. カール・オーヴェ・クナウスゴール著『わが闘争』 —— アトゥール・ガワンデ氏

わが闘争

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外科医で作家のアトゥール・ガワンデ(Atul Gawande)氏は、ノルウェーのカール・オーヴェ・クナウスゴール(Karl Ove Knausgaard)の大ファンだ。

ガワンデ氏はニューヨーク・タイムズに、クナウスゴールの自伝『わが闘争』に「魅了された」と語った。

「自宅で行った葬儀の際の父親のからだであれ、ある日の朝食の準備であれ、その描写の詳しさは、読み手に別の人物の人生を実際に体験しているかのように感じさせる」

[原文:12 books famous scientists think you should read]

(翻訳、編集:山口佳美)

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