ホリエモンがJAXA津田氏と熱弁した宇宙探査 —— 「ロケットが鳥人間コンテスト並みの安さになれば」

堀江貴文氏と津田雄一氏

宇宙探査を行う側とロケットでそれを支援する側、双方から「やってみたいこと、行ってみたい目的天体」について次々と目標が挙げられた。

2018年5月26日、宇宙ミュージアムTeNQにてデアゴスティーニ・ジャパンによる「『はやぶさ2』応援プロジェクト JAXA・津田雄一氏×堀江貴文氏スペシャルトークショー」が開催された。

JAXA宇宙科学研究所で小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーを務める津田雄一氏に対し、インターステラテクノロジズの創業者である堀江貴文氏がミッションへの期待とロケット開発企業として宇宙探査へ協力する展望について語った。

小惑星イトカワに期待を寄せる堀江氏

堀江貴文氏

トークショー冒頭から小惑星探査機「はやぶさ2」の模型やミッションに強い関心を示す堀江貴文氏。

堀江氏は衛星打ち上げロケットの実現を目指すインターステラテクノロジズで研究開発を続けながら、日本の宇宙探査にも深い関心を寄せているという。2003年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」のときには、動画共有サイトを通じて数々のミッションを見守っていたと語った。

堀江氏は冒頭から津田氏へ「(はやぶさの目的地)小惑星イトカワは岩石質中心のS型だったけれども、はやぶさ2のリュウグウのようなC型小惑星では何があると思いますか? 水が蒸発しないで残っているとすればどんな形? アミノ酸のような高分子がある可能性は?」と期待される成果について次々と質問。

小惑星探査機「はやぶさ2」

小惑星探査機「はやぶさ2」。

出典:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

津田氏は「水は化合物の形で、有機物の中に閉じ込められているのではないかと思います。アミノ酸につながるものがあるかもしれない。それが見つかれば、太陽系、地球になぜ生命があるのか、という疑問の解明につながるものが発見されるかもしれません」と応じた。

およそ1カ月後の6月後半から7月上旬ごろにはやぶさ2は小惑星リュウグウを周る軌道に到着する予定で、堀江氏が期待を寄せる小惑星の科学的調査も始まる。

大学のサークルレベルで打ち上げられるような未来

津田雄一氏

津田雄一プロジェクトマネージャー率いる「はやぶさ2」プロジェクトにとって、この夏からは小惑星「リュウグウ」到着、着陸とサンプル採取、小型探査ロボット投下と重要なミッションが続く。

津田氏からは、ロケット企業「インターステラテクノロジズ」の名称に言及。「はやぶさ2のような惑星間(インタープラネトリー)を越えて、恒星間(インターステラー)飛行を名前にされている。凄みを感じます」と目標の高さに期待を寄せる発言があった。

堀江氏は、「宇宙探査の大きな問題点は、打ち上げロケットの費用が高いところ。(はやぶさ2に搭載された推進機関)イオンエンジンでも、安い費用でバンバン打ち上げられれば、大学の研究室の予算規模で『こんなイオンエンジンをやってみよう』という研究開発ができる」といい、ロケット開発の目標のひとつに宇宙探査の支援があることを明かした。

IKAROS イメージ

JAXAの小型ソーラー電力セイル実証機IKAROS。

出典:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

津田氏が過去に関わった、太陽光の力で宇宙を航行するJAXAの小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」にも触れ、「大学の研究室で使える予算規模で軌道に打ち上げられるロケットがもしあれば、鳥人間コンテンストのノリで『月に誰が一番はやく到達できるか』を研究室やサークルレベルでやれるようになり、技術がものすごく進歩すると思う。JAXAの予算で10年に1回しか探査機を打ち上げることができないという状況では、試行錯誤のレベルは限定されてしまう」と宇宙輸送が宇宙探査に与える影響について将来の展望を語った。

津田氏は「人工衛星は大学でも開発できるが、打ち上げロケットが問題。打ち上げ機会が提供されれば、宇宙探査の世界はもっともっと広がると思う。火星と木星の間の小惑星帯にはたくさんの小惑星があり、トロヤ群というもっと遠い小惑星へ行くミッションも提案している」と言う。低コストで高頻度に打ち上げられるロケットにより、宇宙探査が進む未来へ津田、堀江氏の二人とも意欲を見せた。

はやぶさ2模型と津田氏

デアゴスティーニ・ジャパンによるパートワーク型はやぶさ2模型「小惑星探査機はやぶさ2をつくる」は、津田氏を始めとするプロジェクトメンバーが監修している。披露された試作機3号機の完成度に津田氏も笑顔に。

はやぶさ2模型

はやぶさ2でミッション中に探査機本体から離れる「サンプルコンテナ」や小型ローバ「MINERVA-II」、小型着陸機「MASCOT」などは、模型でも着脱可能だ。本体から外した後の様子も可能な限り再現されているという。

はやぶさ2模型 太陽電池パドル

太陽電池パドルを実物と同様に折りたたみ、ロケット打ち上げ中の様子を再現できる。

(文、撮影・秋山文野)


秋山文野:IT実用書から宇宙開発までカバーする編集者/ライター。各国宇宙機関のレポートを読み込むことが日課。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、書籍『図解ビジネス情報源 入門から業界動向までひと目でわかる 宇宙ビジネス』(共著)など。

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