プレッピー系ブランドやケーブルTVの未来は危うい。
Strelka Institute for Media, Architecture and Design/Flickr/Attribution
- ミレニアル世代の次、Z世代(Generation Z)はフェイスブックをあまり使わない。彼らが好んで使うのはスナップチャットやインスタグラム。
- Z世代の多くは今はまだ10代、彼らが成人したときに苦戦が予想される8つの業界やサービスをピックアップした。
- 「一般的に、Z世代はテクノロジーを使いこなし、実用主義的、オープンマインド、個人主義的。だが、社会的な責任にも敏感」と市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのアン・ホジソン氏は語った。
イシャーン・ゴエル(Ishan Goel)氏は19歳、マーク・キューバン・カンパニーズ(Mark Cuban Companies)でマーケティング・ストラテジストを務めている。
ゴエル氏は、彼と同じZ世代にとって、フェイスブックは「クールではない」と語った。今のティーンエイジャーにとって、フェイスブックはグループチャットや親と話を合わせるためのツールにすぎない。
「誰も日常的に投稿したいとは思っていない」
Z世代は、おおむね1995〜2010年に生まれた人たちを指す。2018年1月の記事にあるように、現在、10代が大部分を占めるZ世代ではフェイスブック離れが進んでいる。
パイパー・ジャフレー(Piper Jaffray)が2017年に実施した調査によると、10代のうち、わずか9%がフェイスブックを「好きなソーシャルメディア・プラットフォーム」にあげた。Z世代はスナップチャットとインスタグラムを好んで使っている。一方、1つ上のミレニアル世代は、フェイスブックユーザーの中で最も大きな層となっている。
「一般的に、Z世代はテクノロジーを使いこなし、実用主義的、オープンマインド、個人主義的。だが、社会的な責任にも敏感」と市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのアン・ホジソン氏はBusiness Insiderに語った。
「なぜならZ世代は、個人主義的で、プライバシーを重視する。フェイスブックよりも、スナップチャットやシークレット(Secret)、ウィスパー(Whisper)のような匿名性が強いソーシャルメディアを好む」
ミレニアル世代は、固形石鹸、ダイヤモンド、ペーパータオルなどを買わず、これらの業界を苦境に陥れたと言われる。では、Z世代は? 見てみよう。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)やスペリー(Sperry)などのプレッピーブランド
Richard Drew/AP
パイパー・ジャフレーによると、ラルフ・ローレンやヴィンヤード・ヴァインズ(Vineyard Vines)のようなプレッピーブランドは、10代の市場で過去にないほどの低落傾向にある。市場全体での平均シェア14%に対し、10代では5%に落ち込む。
また調査では、ラルフ・ローレンが大きな打撃を受けていることが判明した。2002年以降、男性向けブランドではトップ10を維持してきたが、2018年にはトップ10から落ちた。代わって躍進したのは、アディダス、ヴァンズ(Vans)、シュプリーム(Supreme)のようなストリート系ブランド。
デパート
LM Otero/AP
若者の動向を探る調査会社Yパルス(Ypulse)のボビー・カライズ(Bobby Calise)氏によると、JCペニー(JCPenney)やメイシーズ(Macy’s)といったデパートのブランド認知度はZ世代の間でも高い。だが、実際にショッピングすることが多いのは、フォーエバー21(Forever 21)やアメリカンイーグル(American Eagle)などの若者向けブランド。
「データを見れば、1つの事実が明らか。JCペニーもメイシーズもZ世代から見るとクールではない。そして、10代をターゲットとするファッションビジネスでは、クールであることは極めて重要な要素」とカライズ氏は語った。
ゴエル氏も、Z世代はJCペニーやシアーズ(Sears)、Kマート(Kmart)といったブランドを、クオリティと個性に欠けると受け取っていると述べた。
「最後にJCペニーでショッピングしたのはいつ?」とゴエル氏。
若者を対象としたマーケティング企業ゼブラ・インテリジェンス(Zebra Intelligence)のCEOティファニー・チョン(Tiffany Zhong)氏も、Z世代はデジタルでのブランディングに長けた企業からオンラインで買うことを好むと語った。またZ世代の多くはインターネットでメーカーを探し出すことが得意で、商品をより安い価格で直接購入している。
ケーブルテレビ
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「もう誰もケーブルテレビを観ていない」とゴエル氏。
オーサムネスTV(AwesomenessTV)による2017年の調査では、60%以上の10代が、テレビを10時間観るよりも、ユーチューブを10時間観るほうがいいと回答した。
この調査でZ世代は、オンライン動画は何かを学んだり、笑って楽しんだりするためにベストと回答、一方で、家族と一緒に観る場合や世の中で起きていることを追う場合にはケーブルテレビが向いていると答えた。
だがおそらく、最も象徴的なのは、10代の3分の1が寝落ちするにはケーブルテレビが一番と答えたことだろう。
印刷メディア
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よほど世間に疎い人でない限り、印刷メディアが落ち込み続けていることはご存知だろう。
ゴエル氏とチョン氏はともに、Z世代は本を読むときも便利さを好み、スマートフォンや電子ブックリーダーを使っていると述べた。これはZ世代に限らない。2017年、2億6600万部の電子ブックが売れた。2010年には7000万部弱だった。
「スターバックスで電子書籍を読むことができる。バーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)より便利」とゴエル氏。
前の世代とは違って、Z世代は新聞を開くことにノスタルジーを感じていない。Adweekが伝えたレスポンス・メディア(Response Media)の調査によると、Z世代の多くはソーシャルメディア、主にツイッターでニュースを読んでいる。
「すべてオンラインで見つけることができる」とチョン氏はBusiness Insiderに語った。
「しかもすべて無料」
パンドラ(Pandora)
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コンサルティング会社フルーエント(Fluent)の調査によると、パンドラの有料サービスを使っている人は、ミレニアル世代では約10%、Z世代では6%に留まる。
Z世代は他の世代よりも、アップルミュージック(Apple Music)やスポティファイ(Spotify)、ユーチューブ・レッド(YouTube Red)を好む。
従来型の高級品
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「世界的な金融危機の頃に大きくなったため、Z世代は若いころから、経済的な問題や将来のキャリアについて現実的で、意識が高い」とユーロモニター・インターナショナルのホジソン氏。
Z世代は、ソーシャルメディアで自慢できるトレンドに飛びつきがち。だが、高価なものである必要はない。
ソーシャルメディアで話題になるファッショントレンドとしてオーサムネスTVのレポートが例にあげたものは、スペースバンズ(2つに結んだおだんごヘア)、ピンバッジ、政治的メッセージが書かれたTシャツ、キラキラメイクなど。
Business Insiderの2016年の記事は、以下のように記した。
「“一生もの”と呼ばれるような高級アイテムは、ソーシャルメディアではあまり意味がない」
クロックス(Crocs)
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クロックスは、ブランドをあまり信じないZ世代に愛されていない。
Yパルスがモニターしている160以上のブランドの中でも、クロックスはZ世代への影響力が特に乏しい。
「トムス(TOMS)やスペリーと比べて、クロックスはZ世代の話題にのぼらない」とYパルスのカライズ氏。
「クロックスは誕生して16年の若いブランド、Z世代はこういうものだと割り切って、より若い層にアピールするほうが良いかもしれない」
ファッションの世界では、クロックスは復活しつつある。バレンシアガ(Balenciaga)は2018年2月、クロックスとコラボした厚さ13センチのサンダルを850ドルで発売した(日本での価格は税込み10万3680円)。
だが、高級ファッションはZ世代の興味を引かないだろう。リーマンショック後の世界金融危機の頃に大きくなったため、Z世代は節約志向が強いとユーロモニターのホジソン氏は語った。
ファミリーレストラン
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Z世代は、食べ物も自己表現の手段と考えている。だから、アップルビーズ(Applebee's)のようなファミリーレストランは、似つかわしくないと考えている。
「Z世代は、“個性を表現している”“こだわりを守っている“という点について、アップルビーズよりも、チックフィレイ(Chick-fil-A)を3倍以上評価している」とカライズ氏。
ミレニアル世代はファミリーレストランを苦境に追い込んだ。そしてZ世代はほぼ確実に、ファミリーレストランに終えんをもたらすだろう。
Z世代を対象としたYパルスのブランド調査でも、オリーブ・ガーデン(Olive Garden)、アイホップ(IHOP)、アップルビーズなどのファミリーレストランはすべてスコアが低い。
こうした店の人気はここ数年、下がり続けている。消費者の好みがファミリーレストランからファストカジュアル(ファストフードとファミリーレストランの中間の業態)にシフトしているから。
Z世代が外食する際には、極端な流行りモノ、本物志向、ソーシャルメディアで話題になったモノ、自然発生的なモノを好む。こうした要素は、ファミリーレストランチェーンとは必ずしも結びつかない。
※敬称略
[原文:Generation Z is already moving away from Facebook, and 6 more industries could be next]
(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:増田隆幸)