世界のIPO資金調達、過去4年で最高額800億ドル —— 2018年目玉は中国のケタ違いメガ上場

2018年の新規株式公開(IPO=Initial Public Offering)によって調達する資金の世界合計は5月25日現在までに、796億ドル(約8兆6400億円)に達する見込みで、同期間では2014年以来の最高額を記録する模様だ。フランクフルトやニューヨーク、上海証券取引所などで相次ぐ10億ドル超えの大型上場が貢献するかたちだ。

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2018年3月にフランクフルト証取に上場したSiemens HealthineersのCEO、Bernd Montag氏。

REUTERS/Kai Pfaffenbach

金融データを集計するDealogicが5月29日にまとめたレポートによると、すでに上場を果たしたドイツのシーメンス・ヘルシニアズ(Siemens Healthineers AG)が52億ドルを調達して同期間ではトップの座を占める。同社は、シーメンスがカーブアウト(子会社や事業などを切り出して別組織として独立させること)して、3月にフランクフルト証取に上場した企業で、医療のデジタル化が進む中で、画像診断装置や体外診断薬などの幅広い医療技術を開発している。

2016年にシャープを買収した、台湾のフォックスコン・テクノロジー(Foxconn Technology Group:富士康科技集団)のグループ会社、フォックスコン・インダストリアル・インターネット(Foxconn Industrial Internet=FII)も大型上場を計画している。同社は5月、株式の公募価格を発表し、上場で調達する資金が約43億ドルに達することを明らかにしている。

2018年グローバルIPO資金調達データ

出典:Dealogic

アマゾンやアップル、シスコシステムズなどをクライアント企業に持つFIIは今後、インダストリアル・インターネットやクラウドコンピューティング、5Gワイヤレステクノロジーにおける開発プロジェクトを本格的に進めていく方針だ。また、上場後、アリババ、テンセント、バイドゥの3社がFIIの主要株主になることも明らかになった。

2018年後半、世界の株式市場の注目はさらに複数の中国企業が計画するメガIPOに集まる。

ワイヤレス通信インフラの建設や保守などを手がけるチャイナ・タワー(China Tower Corp)とスマートフォンメーカーの小米科技(Xiaomi Corp)は、香港証取における株式上場でそれぞれ100億ドルというケタ違いの資金を調達すると言われている。Dealogicのレポートでは、2社の超大型上場が実現すれば、2017年に香港証取でIPOによって調達した資金の総額143億ドルを大きく上回ることになると強調。

DealogicのIPOに関するレポート

調達額が10億ドルを超える大型上場企業。

出典:Dealogic

またヨーロッパでも、オランダのフィンテック企業の「Adyen」が、早ければ6月にもアムステルダム証取に上場すると報じられている。同レポートは、Adyenの調達額は10億ドルを超える見込みだとしている。

日本では、フリーマーケットアプリを手がけるメルカリが6月に上場を予定しており、2018年の国内の大型上場として注目されているが、同社の時価総額は想定仮条件を基に算出すると最大で約3700億円程度。調達資金は最大で500億円程度と見られている。

(文・佐藤茂)

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