イギリス人は「ブレグジット」したくない?
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- 最新の世論調査によると、イギリスではブレグジット(EU離脱)に否定的な人が増えている。
- ICMとガーディアンが行ったこの調査では、EU離脱がイギリスにとってプラスになるのか、懐疑的な有権者がこれまでになく多いことが分かった。
- こうした変化の背景には、もともと残留を希望していた有権者の間で広がる悲観的な見方と、離脱を希望していた有権者の間で広がる先行きの不透明感がある。
- 調査結果は、反ブレグジットを主張するキャンペーンにも使われている。
イギリスでは、これまでになくEUからの離脱を否定的に捉える人が増えている。離脱を望んでいた有権者の間でも、ブレグジットが生活にどのような影響をもたらすのか、不安の声が高まっている。
ICMとガーディアンが行い、30日(現地時間)に公表された最新の世論調査によると、ブレグジットはイギリス人の生活に経済的、社会的に悪い影響を与えるだろうと考える人が増加していることが分かった。
調査によると:
- イギリス人の45%が、ブレグジットはイギリス経済に悪い影響を及ぼすと考えている。一方で、良い影響を与えると考えているのは30%だ。
- イギリス人の39%は、ブレグジットはイギリスでの暮らしに悪い影響を及ぼすと考えている。良い影響を与えると考えているのは32%だ。
- イギリス人の32%は、ブレグジットは自身の家計に悪い影響を及ぼすと考えている。良い影響を与えると考えているのは14%だ。
イギリスのEU離脱をめぐる国民投票が2016年に行われて以来、ICMではブレグジットに関する世論調査を行ってきたが、今回の数字はこれまでで最もブレグジットに否定的なものとなった。
これは、もともとEU残留を希望していた有権者の間で、国民投票が実施されて以来、ブレグジットに対する否定的な見方がさらに広まったことが大きい。しかし、ICMによると、離脱を希望していた有権者もブレグジットがどのような影響をもたらすのか、不安を感じる人が増えているという。
「これらの調査結果から、全体としてブレグジットを否定的に捉える人が増えているのは、2016年に残留を望んだ有権者の間で否定的な意見が強まったことが原因である可能性が高い。一方で、離脱を望んだ有権者もブレグジットがもたらすであろう影響がどのようなものになるのか、次第に不安を感じてきているようで、調査に対しても(『良い影響を与える』ではなく)『分からない』と回答している」ICMのアレックス・ターク(Alex Turk)氏は述べている。
「離脱派の間でブレグジットの不透明感が高まっている可能性があるというこの結果は、今後も注視すべきものだ。残留派がブレグジットは良からぬアイデアだとの確信を強める一方で、離脱派がぐらついでいけば、興味深い展開が待っているかもしれない」
調査結果は、EUを支持するグループによって、イギリスをEUに留まらせようとのキャンペーンにも使われている。
投資家ジョージ・ソロス(George Soros)氏が支援する反ブレグジットを掲げるグループ「Best for Britain」は6月、メイ首相の総選挙での失敗から1年のタイミングに合わせて、イギリスのEU離脱を食い止めるための独自の計画を発表する予定だ。
[原文:British people are now more negative about Brexit than ever before]
(翻訳、編集:山口佳美)