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日本の出生率は昨年、過去最低を記録。出生数は1899年に統計を取り始めて以来初めて100万人を割った。 新たなデータはこの傾向に近い将来も、歯止めがかからないことを示している。
国立社会保障・人口問題研究所は、現在1億2700万人の日本の人口が2065年までに4000万人近く減少すると予測。 人口統計学の専門家らは、家族をつくることに対する若年層の意欲(そして能力)が衰えていることや、移民の割合が低いことを人口減少の主な理由として挙げている。
日本学を専門とするハーバード大学の社会学者メアリー・ブリントン( Mary Brinton )氏は、アクティブな社会生活を犠牲にして長時間働くことを評価しがちな日本の労働文化に問題があるという。第2次世界大戦後の数十年間は、男性が働き女性が子どもを育てていたが、女性が労働市場に参入している昨今、男性も女性も家族をつくることは難しくなってきている。ブリントン氏はBusiness Insiderのインタビューで「これは家族の死だ」と語った。
他国も同様の問題に直面している。米国、デンマーク、シンガポールの出生率はそれぞれ1.87、1.73、0.81だ。しかし日本の状況が最も深刻だろう。 昨年、日本のある研究所が行なった調査では、回答者の大半がいつかは結婚したいと答えているにもかかわらず、日本の未婚男性の約70%、未婚女性の約60%が交際相手がいない状態だった。 日本の人口は2053年までに1億人を割るという暗い見通しを示すデータもある。2060年代に入る時点で少なくとも人口1億人を維持するという政府目標に反するデータだとジャパンタイムズは指摘した。
高齢化もまた日本の人口減少に多大な影響を与えている。 例えば過去数年にわたって死亡数が出生数を上回っており、この傾向はしばらく続くとみられる。現在、65歳以上の高齢者の人口比率は27%だが、2060年までに人口がわずか8800万人になるという予測では、うち約40%を65歳以上が占めると推計している。 安倍晋三首相は企業に労働時間の短縮を奨励するなど、ワークライフバランスの改善を支援する政策を打ち出しているが、多くの専門家は日本に染みついた労働文化がそうした政策の効果を抑え込んでいると懸念する。
イェール大学の政治学者フランシス・ローゼンブルース( Frances Rosenbluth )氏は2月のBusiness Insiderのインタビューで「日本政府がすべきことは何をおいてもまず、企業が女性を雇用するコストを支援することだが、これは家事労働のコストを社会化することになるため、中道右派政権にとっては難しいだろう」と述べた。
[原文:Japan's sex problem could cause the population to fall by 40 million by 2065]
(翻訳:Tomoko.A)