カルビーと順天堂大学の共同研究の記者発表には、プロゴルファーの中嶋常幸氏(右から2人目)も参加した。
大ヒットしたシリアル食品「フルグラ」の市場拡大を目指し、カルビーが順天堂大学とタッグを組む。グラノーラが健康に与える減塩などの効果を共同で研究する。
現在、フルグラ事業の売り上げは200億円台後半だが、カルビーは順天堂大学との新たな取り組みを通じて、50代以上をターゲット層とすることで、売り上げ1000億円突破を目指すという。
2018年6月6日に記者会見した松本晃・会長兼CEOは、「8年ほど前から、朝食は毎日フルグラです。カルビーの社員だからではなく、こんなに美味しくて健康にいいものはないと思っているのですが、本当に健康にいいのか、証明しないといけない。しっかりとデータで証明したい」と述べた。
順天堂大学との共同研究について発表するカルビーの松本晃・会長兼CEO
グラノーラは、穀類、ナッツなどの原料にシロップを加えて焼いたシリアル食品の一種(ドライフルーツなどを加えたものが「フルグラ」)。カルビーによれば、150年前にアメリカの医師が考案した食品だという。カルビーと順天堂大学は、共同研究講座「グラノーラ健康科学・予防医学講座」を設置。同大医学部附属順天堂医院の天野篤院長が代表を務める。
和食の朝食には、塩分が多い特徴があるという。フルグラを朝食とし、摂取する塩分を減らすことが、高血圧、心臓病などの予防にもたらす具体的な効果を研究・検証する。
天野院長は「私どもがエビデンスをつくることをお手伝いする。高齢者の高いQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を確立する一助になれば」と話した。
カルビーのフルグラ
カルビーの開示資料によれば、フルグラの売り上げは、2017年3月期には約291億円にのぼったが、2018年3月期には約263億円と、約28億円減った。海外での消費が47.7%減少したことが響いた。
現在、フルグラの購買層は30〜40代の女性が多いという。「塩分少なめの朝食」を打ち出すことで、さらに上の年齢層への浸透を図る。
(文・小島寛明)