データセンターは、深さ約36メートルの海底に沈められ、オークニー諸島から海底ケーブルで電力が供給される。
Microsoft/Red Box Pictures
マイクロソフトは海の中にデータセンターを設置する実験的な取り組みを行っている。
再生可能エネルギーを利用して人口が集中している海沿いの都市に、より高速なサービスが提供できるか否かを確認することがその目的。
無謀とも思える“ムーンショット(壮大な計画)”、プロジェクト・ナティック(Project Natick)で、マイクロソフトはスコットランドのオークニー諸島(Orkney Islands)近くの海底にデータセンターを設置した。
データセンターは、深さ約36メートルの海底に沈められ、オークニーから海底ケーブルで電力が供給される。
マイクロソフトがこの島を選んだのは、データセンターを再生可能エネルギーで稼働させるため。オークニーは再生可能エネルギーの拠点となっている。
マイクロソフトが取り組むプロジェクトを見てみよう。
海の中にデータセンターを設置するというアイデアは、ある社員が思いついた。2014年、同社のAI&リサーチ部門がプロジェクト化した。
Microsoft
プロジェクト・ナティックの最終的な目標は、より大きな規模で、90日以内に世界中のどこでもデータセンターを開設できるようにすること。
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データセンターの開設には通常、1〜2年かかる。だが、世界中でより多くの人がインターネットにつながるようになれば、より迅速な開設が不可欠になる。
マイクロソフトは2017年、カリフォルニア沖に実証実験用のセンターを設置、105日間稼働させた。Xboxのゲーム「Halo」のキャラクターにちなんで「Leona Philpot」と呼ばれた。
Microsoft Research
Leona Philpotで防水性能を確認したのち、同社はスコットランド沖のオークニー諸島にノーザンアイルズ(Northern Isles)データセンターを開設。最大5年間、運用する予定。
Google Maps/Business Insider
マイクロソフトがオークニー諸島を選んだのは、ここが再生可能エネルギーの拠点となっているため。
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同社はフランス政府系の造船会社ネーバルグループ(Naval Group)と提携して、海底に沈めるデータセンターを建造。
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ネーバルグループは潜水艦建造の専門知識を有している。今回、潜水艦の冷却に使用される熱交換システムを、12基のサーバーラックを持つデータセンターの冷却に応用した。
チューブ状の外殻が、864台のサーバーと冷却システムを覆う。データセンターはフランスで作られ、スコットランドに船で運ばれる。
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長さは約12メートル。大きく思えるが、ノーザンアイルズデータセンターは通常のデータセンターと比べると、かなり小さい。8万台のサーバーを収容するセンターもある。
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この特別なデータセンターは500万本の映画を保存できる。
プロジェクトメンバーたち。
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海底に沈める際は、たくさんのバラストを積んだ土台に取り付けられ、海の中へ。
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準備ができ、一部が海に入ると、遠隔操縦の船を使って、オークニーから引かれた電力ラインと光ファイバーケーブルをデータセンターに接続。そして、スイッチオン!
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海底に向かって沈められる様子。
Microsoft
データセンターは、深さ約36メートルの海底に沈められる。10個のウインチ、クレーン、ガントリークレーン(門型の大型クレーン)、遠隔操縦船が活躍。
Microsoft
プロジェクトチームは来年まで監視を続ける。電力消費量、湿度、温度、音などをチェックする。
Microsoft
あくまでも調査プロジェクト、一般的なものにはならないかもしれない。
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「ムーンショットは、成功するとは限らない」と同社AI&リサーチのバイス・プレジデント、ピーター・リー(Peter Lee )氏は語った。
「だが、偉大なことにチャレンジすれば、多くの学びがあり、予想もしなかった成果が得られる」
マイクロソフトによるプロジェクトの紹介動画。
(翻訳、編集:増田隆幸)