金融庁は2018年6月7日、仮想通貨交換業者としての体制が整備されていないとして、みなし交換業者のFSHO(横浜市)に対して、資金決済法に基づき登録を拒否した。2017年4月の改正資金決済法の施行以後、金融庁が交換業者の登録を拒否したのは初めて。
コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した事件の前、みなし業者は16社あったが、金融庁の監督強化で撤退を決める業者が相次ぎ、みなし業者は現在4社になっている。
REUTERS/Toru Hanai
金融庁は、コインチェックの不正流出事件後の2月19日、FSHOの立入検査に着手。3月8日から1カ月間の業務停止命令と業務改善命令を出した。1度目の業務停止命令後、金融庁が同社の対応を確認したところ、改善が不十分だとして、4月6日に2度目の業務停止と業務改善を命じていた。2度の措置の結果、金融庁は、なお管理体制の整備に問題があるとして、登録の拒否処分に踏み切った。
FSHOは、利用者が保有する仮想通貨を対面で受け取り、日本円を現金で手渡しするビジネスを行っていた。金融庁が調べたところ、同一の利用者と複数回にわたって多額の仮想通貨を交換し、一度に1億円を超える日本円を手渡ししたこともあったという。
マネーロンダリング(資金洗浄)などの可能性がある「疑わしい取引」について、交換業者は捜査当局などへの届け出の義務があるが、金融庁は、FSHOがこうした届出義務の履行など、法令順守の体制が未整備だったと指摘している。
FSHOが4月6日付で金融庁に提出した「業務改善措置報告書」では、旧経営陣を一掃するなどして経営体制を刷新するとしていたが、金融庁は、旧経営陣が実質的に会社を支配する状態が続いていたとみている。
これまでに、みなし業者のうち10社が撤退の意向を示しており、1社は「みなし」の要件に該当しなかったことが判明している。FSHOに対して金融庁が登録を拒否したことで、現時点でのみなし業者は4社になっている。みなし業者4社は以下のとおり。
- コインチェック
- バイクリメンツ
- みんなのビットコイン
- LastRoots
(文・小島寛明)