ミレニアルがどハマりする「バチェラー」シーズン1→2はこれだけ進化した

バチェラージャパンseason1

「テレビを見ない」と言われるミレニアル世代がハマる「バチェラー・ジャパン」。なぜ恋愛リアリティーショーはミレニアルを惹きつける(「バチェラー・ジャパンseason1」より)

アマゾンジャパン(バチェラージャパン)より

ミレニアル世代のみなさんが好きだとの情報を得て、「バチェラー・ジャパン」をアマゾンプライム・ビデオで見てみた。ハンサム&ハイスペックの独身男性1人をゲットすべく、女性たちがバチバチ火花を散らすという趣向で、アメリカ発、全世界225カ国以上で放送されているのだそうだ。

制作はアマゾン、ワーナー・ブラザース・インターナショナル・テレビ・プロダクション、YDクリエイション(吉本興業と電通デジタル・ホールディングスの合弁会社)。名前を並べただけで、横文字感とタレント充実感とお金ある感にあふれている。

逆に言うなら、強いタレントがいて、お金があって、グローバルな組織は、いまやテレビじゃないところで勝負しているのだなあ、と思う。

5月25日からシーズン2が始まったが、根が真面目なので2017年放送のシーズン1も全部見た。疲れた。ミレニアルの女子たちは恋愛ゴーゴー、婚活バッチ来ーいでしょうが、私はアラ還っすから、無理っす。と思っていたら、シーズン2になったらぐっと改善されていて、さすがアマゾン、ちゃんとPDCA回してるなー、テレビはこんなに回してないからミレニアル世代に見切られるのでは。そう思った。

というわけで、以下PDCA。どこをどんなふうに回したか、書いていく。

●その1 バチェラー「ワンパターン男子から、PDCA男子に」

初代バチェラー

初代バチェラー久保裕丈氏。

アマゾンジャパン(バチェラージャパン)より

この番組の生命線は、バチェラーの素敵さだ。シーズン1は東京大学院卒の「若きカリスマ経営者」だった。35歳。コンサルタント会社を経て、通販会社を起業、そこを売却して次なる起業準備中という人だった。もちろんハンサム。キックボクシングもする引き締まった体。経歴、見た目部門は、必要にして十分。

その人が女子25人とデートをし、女性を絞っていく。言ってしまえば、それだけ。だから番組は大きく「デートの実況」「女子同士の黒い会話」「バチェラーor女子1人ずつの独白」の3つで構成される。独白パートでバチェラーは、「デートの企画意図」「デートを経ての感想」をカメラ目線で語る。

ところがこの人、同じことしか言わない。

「バーベキューは、性格が出ると思います」

と言って女子たちに料理をさせる。

「アウトドアで遊ぶと、性格が出ると思います」

と言って山道で戯れる。

「非日常の中で、心を開いてくれると思います」

というのも多用された。まあ、行動の背景には性格があり、心を開くにはきっかけも必要だろう。にしても、いっつも同じ。イラッとして、飽きる。

と思っていたら、シーズン2のバチェラーは違った。シーズン1と同じ35歳だが、言葉で表現するのが好きそうなタイプ。初回の独白で、

「本当の愛は、怒りのない自己犠牲だと思っている」

と決めてみせた。

6歳から14歳までアメリカ在住、慶応大学経済学部卒のサイバーエージェント幹部社員。趣味はバスケットボール。ハンサム&締まった体はシーズン1のバチェラーと同じ。

勝手なイメージで恐縮だが、サイバーエージェントのような「イケてるIT企業」って、「目標設定」とか「振り返り」とか「フィードバック」とか、PDCA的なものが得意だと思う。少なくとも、彼は大変得意だ。

2代目バチェラー氏は、「目標設定」が得意だ。

アマゾンジャパン(バチェラージャパン)より

長い番組中、ずっと同じ所でデートするのもなんだから、沖縄に行く(シーズン1も2も)。2ではまず、「ビーチフラッグ」を全員でする。

「恋人、奥さんと過ごす時間の中でバカップルをすることが時に大切で、そういうことができる人かどうかを見極めたい」

と「目標」を設定する。ミスコン世界大会出場経験ありの女性と1対1デートをするときは、

「彼女の素(す)はなんぞや。その謎解きをしたいです」

と目標を表明、デート後には

「素の状態はどうだっけ、については、見せてくれていたものが素ということを再確認できた、ということだと思います」

と「振り返り」をする。

自分をどう思うかとグイグイ聞いてくる女子には、

「人としては尊敬している。女としては模索中」

とナイスなフィードバック。

以上、人生を語っていると思えば、薄っぺらい。だが「バチェラー」という業務を全うするには、これくらい変化すれば十分だろう。非連続の経営?

●その2 女子年齢「アラサーでしょ、今どきだから」

シーズン1のバチェラー・若きカリスマ経営者(35)は、婚活男子としては「若き」ではない。ところが、彼の選ぶ女子が若いのだ。当初6人いたアラサー女子はことごとく消えていき、最後の3人は22歳(2人)と24歳(1人)。若い子好きって、オヤジっすか。と毒づく私。

#hbd

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そこから最後に選んだ勝者は、22歳の学生。大学名は明らかにしないが、「政治経済学部」と表現し、「高偏差値大学」って匂いをプンプンさせている。田中みな実から計算高さを引いたような可愛い子。「世間知らず高偏差値女子」を選ぶバチェラー。なんだかなー。

と思っていたら、シーズン2は違った。シーズン1女性の最大派閥=20代前半(25人中14人)を大胆変更、20代前半7人、後半9人、30代前半6人に。6月2日時点で5人に絞られたが、27歳2人、28歳2人、31歳1人。

制作サイドがバチェラーにアドバイスしたのか、バチェラーのサイバーエージェント由来のバランス感覚か。いずれにせよ、P(話題の番組にするとPlan)→D(若い女子中心でDo)→C(若い子偏重は阻害要因かもとCheck)→A(アラサー重視へとAction)。

サイバーエージェントの藤田晋社長も、きっと渋谷で認めてくれるに違いない。

●その3 番組構成「客観を、毒と笑いで」

もう一つ、シーズン1から大きく変えたのが、番組構成。「デート」「女子同士の黒い会話」「独白」に加え、今田耕司&藤森慎吾&指原莉乃のトークコーナーが入った。

バチェラーのパネラー陣

アマゾンジャパン(バチェラージャパン)より

「この性格の悪さ、男の人は気にならないんですか?」と指原が今田&藤森に聞くと、「バチェラーの世界では、残ったもん勝ちだから」と藤森が答え、今田が「そこを分かってあの子はやってるからな。バチェラー、目を覚ませ」と締める。

これは勝ち残りゲーム。本来の性格など、どうでも良い。でもバチェラー、見破ってね。

そんな距離感で番組自体を眺め、解説する3人。

出演女子とバチェラーのあり様は、この国の男子と女子のあり様を映したもの。だから、断罪されるべきは、出演者だけではないのでは?

指原のちょうどいい毒の入れ方で、そんなことさえ考えたのは、買いかぶりすぎか。藤森&今田の笑いも、番組との距離の取り方を示唆してくれる。

先ほど告白したが、アラ還だ。女子が束になって、男子に選んでいただく番組を心から楽しむ気持ちにはなれない。シーズン1は好感度1割(ゆきぽよちゃんという20歳女子が支えてくれた!)だったが、シーズン2になり、「そんな本気にならずに、まあ見るか」と思うことにした。客観を得て、少し脱力。

誰が最後に選ばれるか、ちょっとだけ楽しみっす。

(文・矢部万紀子)

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