スターシップ・テクノロジーズの自律型フードデリバリーロボット。
Facebook/Starship Technologies
- スターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)の共同創業者アーティ・ヘインラ(Ahti Heinla)氏は、通りすがりの人が同社のフードデリバリーロボットを蹴ることがあると、Business Insiderに語った。
- 同社ロボットの人との交流の大半は無害なものだが、怒りのはけ口にされてしまうことがあると同氏は言う。
- こうしたロボットは普及し始めて間もないが、これは人間がロボットに対して残酷になり得ることの表れかもしれない。
小型ロボットを使って料理を配達するスターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)は、通りすがりの人が同社のロボットを蹴ることがあると認めている。こうしたロボットは普及し始めて間もないが、これは人間がロボットに対して残酷になり得ることの表れかもしれない。
スターシップ・テクノロジーズは2014年、スカイプ(Skype)の共同創業者であるアーティ・ヘインラ氏とヤヌス・フリス(Janus Friis)氏が立ち上げた。同社の高さ22インチ(約56センチメートル)のロボットは、歩道を時速4マイル(約6.4キロメートル)で走って料理を配達する。
同社のビジネスはまだ始まったばかりで、先週2500万ドル(約27億5400万円)の資金調達に成功し、エアビーアンドビー(Airbnb)のベテラン、レックス・ベイヤー(Lex Bayer)氏を同社の新たなCEOに指名した。
規模を拡大し、世界中の何百万もの人に同社のロボットでサービスを提供することが狙いだ。
ヘインラ氏は、ほとんどの人が同社のロボットに対して好意的だが、例外もあるとBusiness Insider に語った。
「中には、通り過ぎるときにロボットを少しばかり蹴ったりする人もいます」ヘインラ氏は言う。
「さほど大きな問題ではないと思います。怒りのはけ口にする人がいても、わたしたちは大丈夫です。うちのロボットはただ走り続けるだけなので」
スターシップ・テクノロジーズのロボットが、人間の悪意ある行動に出くわすのは今回が初めてではない。ある関係者は2016年に、配達中のロボットに取り付けられている旗を破ろうとする人がいたと、Business Insiderに語っている。
しかし、ハインラ氏は人がロボットに深刻なダメージを与える可能性についても楽観的だ。もし誰かがロボットを本気で蹴ろうとしても、ロボットには9つのカメラや複数のサイレンが備え付けられていて、まず追跡することができる。
良い知らせは、大半の人は同社のロボットに対して、好意的な反応を示していることだ。スターシップ・テクノロジーズの広報担当者はBusiness Insiderに対し、同社のロボットがこれまでに出会った1500万人のうち、80%はロボットを無視したと語った。そして、その多くの交流は「極めて友好的」だったという。
人がロボットをいじめるというのは、新しい話ではない。日本のショッピングモールにロボットを置いた2015年のある研究では、周りに人がほとんどいないとき、子どもたちはロボットに対して「道を塞いだり、悪口を言ったり、暴力的な振る舞いをする」といった「反社会的な行動」を示すことが分かった。
グーグルによるAI(人工知能)の武器利用をめぐる問題や、ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)のドアを自力で開けるロボット犬に対する恐怖が取り沙汰される中、わたしたちはテクノロジーが人間をどう扱うかではなく、人間がテクノロジーをどう扱うかを心配した方が良いのではないだろうか? それにわたしたちの機械の友人たちは、AI革命後に誰に蹴られたかを覚えているかもしれない。
(翻訳:Yuta Machida、編集:山口佳美)